2月の株価展望 戻り一服、9000円の攻防へ 国内外に不安要因 |
2012/01/27 12:05 日経速報ニュース 1200文字 |
2月の東京株式市場で日経平均株価は戻りに一服感が強まりそうだ。欧州債務問題に対する過度な悲観論の後退や、米景気の回復期待などを手掛かりに、心理的な節目である9000円を超える場面もあろうが、目標達成感から上値が重くなる公算が大きい。1月中旬から「リスクオン(リスク資産の選好)」の流れに乗って一本調子で上昇してきただけに、反動が警戒される水準でもある。再び国内外の不安材料を直視する雰囲気が広がった場合、8500円程度までの調整が想定される。
欧州債務問題を巡っては、財政不安国の国債入札を無難に通過しており、ひとまず市場の不安は和らいでいる。外国為替市場でユーロ売りが一服し、一時は1ユーロ=100円を突破した円の対ユーロ相場は下落傾向に転じ、国内株式市場では輸出株に採算改善を期待した買いが膨らんでいる。このまま輸出株の上昇が続くようなら、日経平均は上値余地が広がる。 ただ、波乱の芽は残っている。イタリアでは2月から国債の大量の国債償還が始まり、「債務不安がギリシャからポルトガルに飛び火する兆しがある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長)との警戒感も根強い。欧州中央銀行(ECB)による欧州金融機関への資金供給が奏功し、現在の株式市場は悲観の後退を通り越して楽観に傾いている。悪材料が飛び出した場合、株価の下げ余地が大きくなりかねない。 米連邦準備理事会(FRB)は25日、米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の声明で「実質ゼロ金利政策を少なくとも2014年後半まで続ける」と明言した。米金融緩和の長期化は株価の支えとなろう。ただ、2月は月末に期限切れを迎える給与税(社会保障税)の減税延長を巡る与野党の紛糾が見込まれ、一時的にせよ株価の逆風となりかねないことには注意が必要だ。 国内にも懸念要因は多い。発表が本格化した11年4~12月期決算で、日電産が業績予想を下方修正し、ファナックは増益率が鈍化した。コマツは中国向けの減速が伝わるなど、最近の株高傾向とは裏腹に良好とは言えない。 日本の11年の貿易収支は1980年以来31年ぶりの赤字に転落。超円高や東日本大震災という特殊要因を考慮しても、根底にある輸出立国の土台崩壊、つまり世界における競争力の低下は看過できない。貿易赤字を手掛かりに円安に振れた場面で、輸出関連の主力であるトヨタやホンダ、ソニーなどが急伸した構図に、冷静さの欠如や違和感を指摘する声が出ている。 日経平均を構成する225銘柄の予想PER(株価収益率)は海外市場に比べて割高な15倍台に達し、PBR(株価純資産倍率)は約1倍まで戻した。株価の割安感が後退し、これまで買いを膨らませていた商品投資顧問(CTA)など短期資金による利益確定売りや、3月決算期末を控えた国内機関投資家による換金売りを誘いやすい。〔日経QUICKニュース 〕 |