民主役員人事、党内融和と実務重視 幹事長室に小沢系
民主党は5日、野田佳彦内閣の発足に伴う党役員人事を発表した。党運営の柱となる輿石東幹事長を支える幹事長室には、小沢一郎元代表の側近を配置。選挙対策委員長や都道府県連を束ねる組織委員長などには労組出身議員を充てるなど輿石氏の影響力がにじむ布陣となった。「逆転国会」での与野党協議に当たる政策調査会や国会対策委員会には仙谷由人元官房長官や松本剛明前外相など重量級を登用した。(1面参照)
「党運営の基本的な考え方は党内融和、一致結束だ」。輿石氏は5日の記者会見で改めて強調した。輿石氏を支える筆頭副幹事長には小沢元代表を支持する衆院当選2~4回議員でつくる「一新会」会長の鈴木克昌氏を起用。3人の副幹事長の1人には元代表の元秘書である樋高剛氏が入った。 ■旧民社系グループ厚遇 政調でも前原誠司政調会長と前原グループ幹部である仙谷政調会長代行の下に、元代表に近い三井辨雄政調会長代理が就き「前原―仙谷」ラインの抑え役となりそうだ。 選挙や組織対策の実務を担うポストで厚遇されたのが党内中間派である旧民社党系グループだ。選挙の公認権を持つ選挙対策委員長に高木義明前文科相、地方組織とのパイプ役となる組織委員長に古本伸一郎氏、企業・団体の陳情を受ける企業団体対策委員長に池口修次氏が就任した。 高木氏は三菱重工労組、古本氏はトヨタ自動車労組、池口氏はホンダ労組の出身。労組との関係が深い旧民社系議員の登用は、組織との関係を重視する輿石氏の意向と見られる。一方、党資金を扱う財務委員長ポストには野田グループの武正公一氏が就いた。松下政経塾の出身で首相とも近い。 菅直人前首相や鳩山由紀夫元首相、岡田克也前幹事長、江田五月前法相らは軒並み最高顧問に就任。仙谷氏が就いていた代表代行職は設けなかった。岡田氏は衆院予算委員会の筆頭理事に就く。 委員会開催に際し現場の調整を担う立場で、与党の幹事長経験者としては異例の人事だ。 参院民主党は輿石議員会長が党幹事長と兼務となり負担が増したため、平田健二幹事長、羽田雄一郎国会対策委員長が留任し、「輿石体制」が継続する。菅直人前首相が参院自民党から引き抜き、同党を除名された無所属の浜田和幸氏は総務政務官から外務政務官に横滑りした。 ■気心知れた「身内」で 一方、首相官邸の体制の核は首相自身の出身でもある日本新党人脈。細川護熙元首相が率いた日本新党から1993年に衆院初当選を果たした首相は、官房長官と官房副長官に同期当選の藤村修氏、長浜博行氏をそれぞれ起用した。内閣官房参与には細川元首相の政務秘書官を務めた成田憲彦駿河台大教授を内定した。 首相補佐官には「松下政経塾の後輩だから使いやすい」との理由から本多平直氏を起用。野田グループから手塚仁雄、長島昭久両氏も就任した。安全保障問題に詳しい長島氏の起用は官邸の安全保障問題の検討機能を強化する狙いがある。 政務秘書官も財務相時代に引き続き同塾出身の河井淳一氏を充てた。日本新党、政経塾、グループと気心の知れた「身内」で官邸の布陣を固めた。 官邸と党の連携に腐心した面もある。斎藤勁官房副長官は衆参の国会対策委員会で仕事をしてきた。首相補佐官に就いた参院議員の水岡俊一氏とともに、輿石氏との意思疎通が密になるとの期待もある。 |