出典・日経
19日のニューヨーク外国為替市場で円相場は一時1ドル=75円95銭まで急伸し、3月17日に付けた過去最高値(76円25銭)を更新した。米欧の景気減速懸念や財政・金融不安を背景に世界的に株安が連鎖し、リスクを避けようとする大量の投資資金が円に流れ込んだ。米金融緩和の長期化観測に伴う日米金利差の縮小も円買いにつながった。大幅な円高は景気に悪影響を与えるほか、産業空洞化を通じて日本経済の成長力低下につながる恐れがある。
19日の海外市場では、欧州で主要株価指数が大幅続落で始まったことなどを受け、円買いが強まった。ニューヨーク市場では1ドル=76円台前半で取引が始まった後、じりじりと水準を切り上げ、投機筋の大量の円買いをきっかけに午前10時(日本時間午後11時)すぎに最高値を突破、75円台に突入した。
その後は利益確定の円売りなどで76円台半ばまで戻す場面もあった。正午(同20日午前1時)現在の円相場は76円46~48銭。
節目とみられていた最高値を突破すると、損失確定を目的とする個人投資家らの円買い・ドル売りが加わり、円の上げ幅が広がった。ただ政府・日銀による円売り介入への警戒感もあって、円高の一段の進行には一定の歯止めがかかっている。
外為市場では7月以降、米財政問題や米国債の格下げを材料にドル離れが進んだ。米国など世界景気の減速懸念もあり、市場ではリスクのある株式や新興国通貨を売って、対外債権国通貨である円や国債を買う流れが強まっていた。
9日に米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和の長期継続を決めたことで日米金利差が縮小し、円高に拍車がかかった面もある。足元では欧州の金融不安が再浮上し、投資家のリスク回避姿勢が一段と強まった。
円相場は1995年に79円台の最高値を付けた後、今年3月の東日本大震災直後に76円25銭まで上昇した。ただ、瞬間的に最高値を突破した過去2回と違って、今回は円相場が高値圏で定着する兆しをみせており、日本の輸出企業の収益により大きな悪影響を及ぼす公算が大きい。
高い法人税率や電力不足もあって、製造業が国内での生産を縮小し、海外シフトを進めるきっかけになる可能性もある。その場合、国内雇用への影響は避けられない。
政府・日銀は8月4日に約4カ月半ぶりとなる円売り介入に単独で踏み切った。4兆5000億円規模の大量介入で円相場は77円台前半から80円台に急落したが、その後は再び為替相場が円高に振れていた。
市場では介入警戒感が強まっているが、日米欧でそろって景気減速への懸念が高まるなか、日本だけが為替介入に踏み切ろうとしても、米欧当局の理解を得られないとの指摘がある。一部の投機筋は当局の足元を見透かすように積極的に円買いを進めている。
◇
円の最高値更新を受け、政府・日銀は円売り介入の検討に入った。円が一段と急伸し、円高進行に歯止めがかからない場合には、相場の状況を見極めながら介入に踏み切る見通しだ。野田佳彦財務相は19日午前の記者会見で、円高進行には「適時適切に対応する」と明言。8日の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の緊急声明で市場安定への国際協調を確認したのを踏まえ、海外の通貨当局に円売り介入への理解を求める。
19日の海外市場では、欧州で主要株価指数が大幅続落で始まったことなどを受け、円買いが強まった。ニューヨーク市場では1ドル=76円台前半で取引が始まった後、じりじりと水準を切り上げ、投機筋の大量の円買いをきっかけに午前10時(日本時間午後11時)すぎに最高値を突破、75円台に突入した。
その後は利益確定の円売りなどで76円台半ばまで戻す場面もあった。正午(同20日午前1時)現在の円相場は76円46~48銭。
節目とみられていた最高値を突破すると、損失確定を目的とする個人投資家らの円買い・ドル売りが加わり、円の上げ幅が広がった。ただ政府・日銀による円売り介入への警戒感もあって、円高の一段の進行には一定の歯止めがかかっている。
外為市場では7月以降、米財政問題や米国債の格下げを材料にドル離れが進んだ。米国など世界景気の減速懸念もあり、市場ではリスクのある株式や新興国通貨を売って、対外債権国通貨である円や国債を買う流れが強まっていた。
9日に米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和の長期継続を決めたことで日米金利差が縮小し、円高に拍車がかかった面もある。足元では欧州の金融不安が再浮上し、投資家のリスク回避姿勢が一段と強まった。
円相場は1995年に79円台の最高値を付けた後、今年3月の東日本大震災直後に76円25銭まで上昇した。ただ、瞬間的に最高値を突破した過去2回と違って、今回は円相場が高値圏で定着する兆しをみせており、日本の輸出企業の収益により大きな悪影響を及ぼす公算が大きい。
高い法人税率や電力不足もあって、製造業が国内での生産を縮小し、海外シフトを進めるきっかけになる可能性もある。その場合、国内雇用への影響は避けられない。
政府・日銀は8月4日に約4カ月半ぶりとなる円売り介入に単独で踏み切った。4兆5000億円規模の大量介入で円相場は77円台前半から80円台に急落したが、その後は再び為替相場が円高に振れていた。
市場では介入警戒感が強まっているが、日米欧でそろって景気減速への懸念が高まるなか、日本だけが為替介入に踏み切ろうとしても、米欧当局の理解を得られないとの指摘がある。一部の投機筋は当局の足元を見透かすように積極的に円買いを進めている。
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円の最高値更新を受け、政府・日銀は円売り介入の検討に入った。円が一段と急伸し、円高進行に歯止めがかからない場合には、相場の状況を見極めながら介入に踏み切る見通しだ。野田佳彦財務相は19日午前の記者会見で、円高進行には「適時適切に対応する」と明言。8日の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の緊急声明で市場安定への国際協調を確認したのを踏まえ、海外の通貨当局に円売り介入への理解を求める。