今年も前半が終了。みなさん、お疲れさまでした。
読めば誰が書いたのかバレバレなんですが、このコラムでは伝統的に誰も名乗らないので、敢えて名前は伏せておきます。
前日久しぶりに三ッ沢球技場へ行ってきました。カードはJ2で、横浜FC-長崎です。プロの試合に50歳の選手が入ると、どんなことになるのか、1度くらいは確認しておきたかったからです。試合は後半早々に横浜が勝ち越しますが、1点差なので予断は許しません。これじゃカズの出番はないかと思ったら、なんと残り25分以上もあるのに交代出場。これには対戦相手・長崎の高木監督も「ビックリ」でした。
みなさんには、未知の領域のお話をします。ヒトがトシを取ると、どう変わっていくかについてです。
1993年に「ドーハの悲劇」という出来事がありました。カタールのドーハで、米国ワールドカップ最終予選が集中開催され、日本が最終戦の終了間際に失点し、出場切符を逃したのです。ドーハに3週間近く滞在したので、その間にはプレスマッチ(各国ジャーナリスト同士の試合)もしました。圧倒的に多いのが日本人プレス。試合を組んでも、日本チームは溢れかえっているので、ある時僕は助っ人でイランチームに加わりました。当時ちょうどオレンジソックスのリーダーくらいの年齢です。40歳代後半のセルジオ越後さんのボールを奪いまくって調子に乗っていました。50歳近いと言っても、相手は本場ブラジルの名門コリンチャンスの元選手ですからね。
ちなみに、その前年には長男が生まれました。どうでもいいんですが、もう33歳だったのに、役所で出生届を提出したら「ずいぶん若いお父さんね」とけげんな顔をされました。長男が小学6年生の時には、ヤツの全力疾走に並走しながら余裕でアドバイスをしていました。ところがそれから3年…、「よ~い、ドン」と自分で言いながら、もうその瞬間にヤツが3メートルも前にいます。僕は当時のセルジオさんと同じくらいの年齢になっていました。先日眼科で言われました。
「若い頃、いい思いをしたんだから、老眼くらい我慢するんだね」
10年くらい前まで「2.0」だったのに、急速にモノが見えなくなりました。若い頃足が速いのを武器にしていると、年齢を取ってから苦労するのとなんだか似ている気がしました。
長くてすいません。カズの話に戻ります。結局カズは約25分間でボールに3度触りました。20~30歳代の中に1人50歳代。ま、立場としては、オレンジソックスの中の僕みたいなものです。ただ根本的に違うのが、オレンジソックスでは、多少(とても?)気づかってくれる人もいますが、さすがにJ2の真剣勝負の場では、カズへの「忖度(そんたく)=今はやりの言葉ですね」はありません。トラップミス、ワンツーミス、その後はキープして思い切り削られていました。率直にカズを使った横浜は1人少ないようなものです。勝ち切りたいチームが、敢えて1人減らすような選択をしたのだから、そりゃ、相手の監督も目を丸くするわけです。
さて、僕がオレンジソックスに参加しているのは、もちろん「近くて便利」「個サル利用」「憩いの場」…という側面も否めませんが、割りとみんなの目的意識が一致していると感じられるからです。どういうことかというと、同じような年齢の体育会育ちのオッサンたちには、スポーツを楽しむという習慣がありません。いいトシこいて、みんな相手を打ち負かそうと、目が釣り上がってます。そう考えると、カズ、よくやるよね、と別の意味で感心するのですが…。
前半戦最終日は、基礎練→ループシュート練習→移動鳥かごなど盛りだくさん。元少年クラブを指導した立場からすると、実はこういうメニューを考えるのって、すごく大変です。だから個人的には、一番頑張ってるリーダーも、遠慮しないでもっと先頭切って楽しんじゃって良いのでは、と感じています。