【川崎F】大島僚太が帰ってくる! 連覇へのラストピースとして「背中を押したいし、引っ張れるプレーをしたい」

2021-10-23

サッカーマガジン編集部

川崎フロンターレのナンバー10が復活へ秒読みだ。大島僚太が長期離脱から全体練習に合流し、いよいよ復帰の時を迎えようとしている。長いリハビリの苦しさを乗り越え、8月に父になった男が、チームの連覇への最後のピースになる。

「行けと言われれば出られる状態」

 ついに、大島僚太が帰ってくる!

 今季はAFCチャンピオンズリーグのグループステージでケガから復帰、5試合に出場し、第3戦のユナイテッドシティ(フィリピン)戦では美しすぎるゴールを決めて、自ら祝砲を上げた。帰国して7月17日の第18節清水エスパルス戦で、ついにJ1にも復帰、ここでも1ゴールを挙げる。しかし、続く21日の天皇杯3回戦、ジェフユナイテッド千葉戦で途中出場ながら古傷の右足内転筋を痛めて途中交代、それから再び長期離脱を強いられた。

 ただ、振り返るとこの2ゴールが素晴らしいのだ。ACLの一発は42分、左の三笘薫からの横パスを内側で受けると、反時計回りに中にターン、中央のレアンドロ・ダミアンに預けて落としてもらい、それを軽やかに右足で蹴り出してGKの伸ばした手の先に送り込んでいった。「その場その場の思いつきのプレーの連続だった」とその時に振り返っている。

 清水戦のゴールは50分のチーム2点目。登里享平が中央に強いパスをつけ、受けた脇坂泰斗が短く前へ。登里のパスをまたぐようにして前に進んでいた大島が「3人目」の動きになるという仕掛けになって受けると、しっかり蹴り込んだ。どちらもまさに、川崎Fらしい、大島らしいゴールだった。

 2位の横浜F・マリノスに勝ち点9差をつけて首位を快走しながら、残りが6試合、というタイミングで全体練習に合流できた。「監督に行けと言われれば出られる状態」だ。

 もちろん、鬼木達監督は「段階を踏みながらになる」と起用については明言を避け、本人も慎重で、プレーすることが「めちゃめちゃ怖い」と正直に口にする。それでもやはり、この天才の復帰はファン・サポーターはもちろん、監督も選手たちも待ち望んでいる。戦力になるから、というだけではなく、純粋に大島の楽しいサッカーが見たいという欲求だ。

「僕自身は試合に絡んでいないので、ここまで貢献したとかいう話ではないですけど」と前置きしながら、超過密日程で勝ち続ける仲間を誇らしく見ていた。

「(中断明けで)ここからもう1回始まるところで、みんなの背中を押したいですし、僕自身も引っ張れるプレーをしたい」

 無理はせず、しかしそのひらめきあふれる楽しいプレーで優勝への最後の一押しを。2021年の大島に託されたミッションは、それだ。

https://soccermagazine.jp/j1/17490584

【川崎F】橘田健人こそDNAを受け継ぐマルチローラー。「日本で一番うまい選手」大島僚太から盗みたいもの

2021-10-23

サッカーマガジン編集部

明治安田生命J1リーグも残り6試合。川崎フロンターレは連覇へ向けて着実に進んでいるが、シーズンが深まるごとに橘田健人の存在感が増している。インサイドハーフ、アンカー、右サイドバックをマルチにこなす才能を生かして、優勝へとひた走るチームを支えている。

上写真=橘田健人の存在感がますます上昇中。最後まで走り続けるスタミナにも注目だ(写真◎J.LEAGUE)

「もっとボールを受けて」の自己改革

 川崎フロンターレでプレーするということは、素晴らしい先輩たちからフットボールを学ぶことができるということだ。ルーキーの橘田健人にとっては、大島僚太の復帰が最高の喜びであり、大きな刺激になっているようだ。

「僚太さんが帰ってきて、素晴らしいお手本です。日本で一番うまい選手だと思っているので、少しでも自分のものになるように意識して見ています。少しでも多く僚太さんから盗みたい」

 目を輝かせてそう語る橘田自身も、強烈な存在感は1年目のそれとは思えないほどだ。インサイドハーフを主戦場にしながら、最近ではアンカーでプレーすることも増えてきて、ときには右サイドバックにも入る。振り返ってみると、今年の川崎Fに橘田がいなかったら、かなり困ったことになったのではないだろうか。

 夏に田中碧がドイツへと移籍して不安視されたインサイドハーフのポジションを、しっかりと埋めてみせた。右サイドバックで出ずっぱりの山根視来のバックアップとして、少しだけだが代わりにそのポジションに入って休ませることができた。守田英正が昨季限りでポルトガルに渡り、ジョアン・シミッチがファーストチョイスになったアンカーでも、シミッチの不調をカバーするパフォーマンスを見せている。インサイドハーフと左右のワイドと左サイドバックをこなす旗手怜央とともに、そのマルチロールの才能でチーム力を高めている。

 その意味では、いわば救世主。そんな背番号22がいま、大島からの刺激を全身にたっぷりと浴びているわけだ。

「​​圧倒的にボールを失わないので、相手のプレスが来てもボールが止まるし、ボールを動かすふりをしてボディーフェイントでかわすのは、他の選手と違って圧倒的にすごい」

「ボールを受けたときに相手を見ながら逆を取るプレーや、味方が受けやすいところに出すパス、ゴールに直結するパスができるようになりたい」

 大島から取り入れるべきプレーイメージが、どんどんと湧いて出てくる。

 守田、田中という日本代表も同じだ。カタール・ワールドカップアジア地区最終予選第4戦のオーストラリア戦で起死回生の勝利をもたらした2人は、川崎FのDNAをたっぷりと日本代表に注ぎ込んだ。

「自分が目指すべき選手たちでもあるので、いつかああいうプレーができるようになりたいと思いました」

 そして、川崎Fで彼らが務めたポジションは、橘田が引き継いでいる。

「攻撃の部分で、アンカーで出場する場合はもっとボールを受けてビルドアップの安定の質を高めて、良いボールを配球するプレーをしなければと感じていたので、意識して取り組んできました」

 大島僚太、守田英正、田中碧。彼らの特徴を組み込んだハイブリッド版と表現したら失礼かもしれないが、偉大な先輩たちのエッセンスを取り入れたパフォーマンスで、残り6試合にさらなる活躍を期待しても良さそうだ。