【選手権は青春だ。青春と涙の流し方】
毎試合、半分の選手が負けて引退する場面に居合わせることが多い選手権予選会場。
高校サッカー終わりを告げるホイッスル。
幸運な1チームの選抜のために122チームが敗北する。
泣くのを「ワリとしゃれていけてる」と思うか「かるい涙は男の恥」と思うか。
試合で頑張りぬいた選手で、いや、試合に出ていなくても、
毅然と最後まで、会場を去るまで口元を引き締め行動する選手をいつも注目する。
きっと一人になってはじめて嗚咽するだろう彼ら。
そしてそのことはだれにも語らず、 だれにも知られず、 すくっと次の日に自分でスタートラインをひける彼ら。
そういう頼もしい彼らを望み、そこから想像する。
泣いて解決する事は多くないことを前を向く若者は知っている。
遊びではない世界の戦場で泣く間などないことは父から学んだ。
「人生はそんな薄いもんじゃない」と。
「ここが出発だ」と。
そして真剣勝負。
いつの瞬間も負ける準備をし赴(おもむ)くという哲学も学んだ。
浅い恋愛ごっこをさえ利益のためにメディアが特集を組む「軽薄うすっぺら」な時代。
その「涙」が本物なら、今までの努力が悔いないものなら、涙は一人の時にとっておけ。
苦しい時に人生の目標を見つめ立ち上がる男を育てたい。
軽くない男を育てたい。
重厚で賢く熱い男を育てたい。
余命半年と告げられた女房から
「○○、私の前で泣いちゃダメだよ」
と
男の涙の深い意味を諭された情けない男の反省文だ。