人物を磨く五つの要諦

 

①去稚心(稚心を去る。) : 目先の遊びなどの楽しいことや怠惰な心や親への甘えは、学問の上達を妨げ、武士としての気概をもてないので、捨て去るべき。

②振気(気を振う。) : 人に負けまいと思う心、恥を知り悔しいと思う心を常に持ち、たえず緊張を緩めることなく努力する。

③立志(志を立てる。) : 自分の心の赴くところを定め、一度こうと決めたらその決心を失わないように努力する。

④勉学(学に勉む。) : すぐれた人物の素行を見倣い、自らも実行する。また、学問では何事も強い意志を保ち努力を続けることが必要だが、自らの才能を鼻にかけたり、富や権力に心を奪われることのないよう、自らも用心し慎むとともに、それを指摘してくれる良い友人を選ぶよう心掛ける。

⑤択交友(交友を択ぶ。) : 同郷、学友、同年代の友人は大切にしなければいけないが、友人には「損友」と「益友」があるので、その見極めが大切で、もし益友といえる人がいたら、自分の方から交際を求めて兄弟のように付き合うのがよい。益友には、次の5つを目安とする。

厳格で意思が強く、正しい人であるか。

温和で人情に篤く、誠実な人であるか

勇気があり、果断な人であるか。

才知が冴えわたっているか。

細かいことに拘らず、度量が広い人であるか。

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橋本左内(幕末の偉人/『啓発録』の著者)