先輩とは

IDA SOCCER NIGHT SCIENCE 夢に向かう君に

昔「なんで1年違うだけでヘコヘコしなけりゃなんないんだ。あほらしい」

とJ下部出身の素直なおバカが俺に良いお題をくれた。

 

先輩というものは、下級生に顎上げて、馬鹿面下げて威嚇するものに非ず。

困った後輩の相談に乗るだけではなく、進んで手伝いをしてやるものだ。

先輩というものは、「挨拶がダメだ」と威張るのに非ず。

挨拶はこう気持ちよくやるものだと、近隣の方に、見ず知らずの人にも、後輩にも「元気よい挨拶」を、いや後輩にこそ率先して行い、挨拶とは何であるかを示すものだ。

先輩というものは、食事当番に文句を言い、不満をぶつけるに非ず。

進んで朝早く起き、誰よりも規律正しく食事し、かたずけの先頭に立ち、スポーツマンの生活の何ぞやを後輩に示すものだ。

 

 これらができない上級生にアドバイスの資格はない。威張る上級生は、間違いなく下級生の時、ろくに一年生の仕事ができなかったし、挨拶もできず、しっかりとした生活も送れなかった奴ばかりだ。いじめられたらそれを倍にして後輩に当たる、そんなアホなことやりたいなら、転校して他でやれ。

 

 いつの時代も威張り腐った先輩は、賢い後輩に心の底から軽蔑される。一生だ。50歳の同窓会でも60歳の還暦同窓会でも、冷ややかに「あいつ」と笑い者になり続ける。

 威張ることに熱心な三年がチーム内にいて、栄えある全国リーグで勝負できるわけがない。そんな上級生の興味は、崇高な方向にないのはサルにでもわかる。

 冗談はやめてくれ。このままひたむきに戦えず、味方の悪口を言い合っていれば負けだ。負けても、自分の不甲斐ない姿は見えず、「あれが悪い。こいつがダメ」と他人の悪口しか出てこないだろう。

 高い緊張感を持って、全国大会への挑戦に集中している選手が、つまらぬ文句を言ったり、生活がだらしなかったり、後輩をいじめたり、眉毛が細かったり、大声で寮を歩き回ったり、寝坊したりするわけがない。目標への緊張感がない強豪チームなど、いまだ一度もお目にかかったことはない。「強いチームになりたい気持ち」を自分自身の生活の中に戻して振り返ってみるといい。

 いいか、年上だから、先輩だからって、尊敬されることは絶対にない。先輩は、前から横から後ろから見ても、立派だから尊敬されるんだ。尊敬されるのにふさわしい先輩になれないことは恥ずかしい。そう思える気風が大切だ。

 

上下関係という洗礼

 

 上下関係の洗礼を受けない男など、使えない。

 幼稚で理解できない自分の殻を破り、模範を受けいれ、持つ。

 社会に出て、言い訳と楽な道の選択しか考えられない男をよく見る。大切なことは「上下関係」や「理不尽で受け入れ難いことも潔く受け止められる我慢」だ。これは高校生の時期にしか培うことができないということ。大人になってからでは、それを身につけるのはキツイ。

 ちょっとサッカーや勉強ができると誤解している生意気な小僧にはわからない。打ちひしがれ、挫折し、理不尽の中から、親から自立した謙虚な強い男となる。尊敬される大人として持つべき「謙虚さと自信」をあわせもつ人となる。苦労に耐えることができ、親の苦労や愛情をおもんばかれる大人に変わる。