「最初はスタメンじゃなかった…」旗手怜央が2ゴール
 
[12.28 キリンチャレンジカップ U-22日本代表 9-0 U-22ジャマイカ代表]
 
 自らの手でつかんだ先発の座。そして、つかんだチャンスをしっかりと生かした。U-22日本代表MF旗手怜央(順大→川崎F)は、2得点を奪って自身の存在価値を証明してみせた。
 
 合宿2日目のフォーメーション練習。旗手は主力組ではなく、控え組としてプレーしていた。そして翌日の午前中も控え組に入っていたが、午後の紅白戦に入ると、MF岩崎悠人(札幌)に代わって主力組に。そして、その流れのまま、ジャマイカ戦でスターティングメンバーに名を連ねた。自身も感じていた。最初はスタメンではなかったと――。
 
「最初は悠人がスタメンな感じだったので、それが自分の中で悔しくて。ただ、自分がやるべきことを、しっかりやった上での今日のスタメンだったと思う。コツコツやっていれば、森保さんが見てくれているんじゃないかと今回の合宿で感じられた」
 
 そして、指揮官の期待に結果で応えた。1点をリードして迎えた前半16分、安部裕葵(バルセロナ)のスローインから最終ライン裏を突いたMF松本泰志(広島)のクロスにファーサイドで反応。右足ボレーで突き刺して自身1点目を奪取する。そして同19分にはMF中山雄太(ズウォレ)のスルーパスから左サイドを駆け上がったDF東俊希(広島)のクロスを、今度は左足ボレーで合わせてゴールを陥れた。
 
「1点目も2点目も大然がニアに走ってくれて、相手を引き付けてくれた。そのおかげで自分がフリーになれた」と味方への感謝を示しつつ、「でも、ああいうシュートを外しがちだったけど、それをしっかり決められて良かった」と充実した表情を浮かべた。
 
 今代表でシャドーのポジションは最激戦区となる。今回招集されたMF安部裕葵(バルセロナ)らだけでなく、MF三好康児(アントワープ)、MF堂安律(PSV)、MF食野亮太郎(ハーツ)、MF久保建英(マジョルカ)とライバルがひしめく。「シャドーにはいっぱいライバルがいる」と覚悟の表情を見せた男は、「今のままでは(五輪に)出られない。来年フロンターレで試合に出て結果を残せば、さらに道が開けると思う」とプロの世界でのさらなる成長を誓う。
 
https://web.gekisaka.jp/news/detail/?294407-294407-fl

iOS版およびAndroid版で配信中の『ゲキサカアプリ』では、ユーザーが出場選手を採点。キックオフから試合終了30分後まで受け付けられた採点の平均点が発表された。

 最も評価が高かったのは、ダイレクトシュートで2得点決めたMF旗手怜央で『7.42』。2位はFW前田大然で『6.82』、3位はMF三笘薫で『6.61』だった。

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川崎Fへの加入が内定しているMF旗手怜央(はたて・れお、22=順大)が2得点と躍動し、東京五輪代表入りへ猛アピールした。前半16分、左サイドを抜けたMF松本のクロスを右足でダイレクトで合わせ、直後の19分にはMF東のクロスに左足を振り抜きゴール。「得点は前の選手からしたら証明できるもの。大観衆の前で緊張もあった中、しっかり決められたのは自信になった」と話した。

小学時代からシュート力は飛び抜けていた。父浩二氏は、PL学園で「K・Kコンビ(桑田&清原)」の1学年先輩で、84年に遊撃手として甲子園に出場。父の「アスリートはまず、食べることが必要」の教えに、幼少時代から食事を多く摂り、小6時の体重は70キロ。三重県出身だが、中学は強豪静岡学園中のセレクションを受けた。案内したサッカー部員が旗手を見て「柔道部と間違えて来ている生徒がいる」と監督に報告に走ったほどだ。

体は重いが、シュートを打たせたら強烈な弾丸シュートをネットに突き刺し続け、当時の川口修監督はシュート力を高く評価。中学は不合格も「高校でもう一度来てください」と伸びしろを期待された。旗手は「静学は蹴る止めるの技術の徹底からしてすごい。プロになるには静学」と再び高校で門をたたいた。トレーニングで体形も研ぎ澄まされ技術も磨かれていった。

来季は川崎Fに加入する。11月下旬から練習に参加し、パススピードや視野、ポジショニングなど頭の回転のテンポアップに励み、しっかり結果につなげた。2列目はMF久保、堂安らライバルがひしめく。「現状で(五輪に)出られることはない。でも、フロンターレでの練習で成長もすごいものになるのは分かっている。試合に出て結果を残せば間に合う」。急成長で五輪の道を切りひらく覚悟だ。