スポーツ指導者の資格
IDA SOCCER NIGHT SCIENCE 52
隋人観美
(その人だけが持っている美を観ろ)
指導者の覚悟
「人に長たる者は、孤独寂寥(こどくせきりょう)に耐えねばならぬ」森 信三(哲学者・教育家)
サッカーで人を育てたいと思ったら、覚悟することだ。金は絶対に儲からない。人を育てるには、信念と愛情という免許が必要になる。俺が俺がと、見返りを求めるならやってはいけない。
学ばない者には、この業に就く資格はない。責任を子どもに押し付けるのなら、すぐにやめなさい。彼らを激しく叱咤できないで、もっともらしいことを言ってしたり顔をするのなら、直ちにやめなさい。
指導者の資質
能力の高い選手、言うことをよく聞く選手を使うのは、どの指導者にもできる。だがな、足りないところがあったり、ちょっとおかしかったりする選手もいる。そういう選手のいいところを開花させ、使えるようにするのが指導者だ。指導者の資質・能力というのは、そこに表れる。
そもそも才能って見えないことが多い。人間はそのほとんどを眠らせている。眠っている才能は半端じゃない努力で、ようやく花開くんだ。選手と一緒に朝起きて、年中休みなく、文句もいわれ、冷やかな目も浴びて、揶揄もされる。よほどでなくちゃできない。けど、その努力がおもしろい。
多くの指導者は、戦力的にも我慢せざるを得ないところから出発する。十分とは言えない環境の中で「夢を食って」暮らすことになる。いろんな障害に遭うたびに、その情熱をメラメラと燃え上がらせるんだ。選手もその家族も、指導者のそんな姿を見て初めて、苦労の多い環境に自らの足を踏み入れるんだよ。親御さんも「私の子どもに苦労させてください」って言ってくるんだ。
