【夢を見る、未来を見る】
SHIZUGAKU SOCCER NIGHT SCIENCE

「根拠なんてなくてもいい。まずは夢を語ることから始めるべきだ。語り続けることで夢は信念になる。賛同した人たちからの協力も得られる。いろいろなことが動き、自分も成長して、いつの日か夢は現実になっていく」三浦知良

 同じ目線のままでは、決して今の水平線は広がることはなく、新しいものは見えてこない。例えむちゃでも、はったりでもいいので、思いっきり背伸びして挑戦することだ。
 少しでも高いところから見れば、新しい水平線が見えてくるはず。足元を固めることばかりに一所懸命になっていたら、濁った視線が映し出すのは、フィルターがかかったいつものつまらぬ景色のみ。サッカーを見ても、その目からは何もつかめない。高い塔を建ててみなければ、新たな水平線は見えてこない、
 「未来」とは「未だ来ない」と書く。未来はそのままでは見えない。その水平線の向こうの、見えないものを自分たちで見ようとする日々が未来をつくる。
 こう考えるとわかりやすい。いま見えているものはみんな過去のものだ。少しでもプラスを生み出せ。待つな。転がり出せ。待っているだけだったことに気付けるかどうかだ。
 そしてもう一つ。諦めるな。失敗するかもしれない。そりゃそうだ。むしろ失敗の繰り返しだ。挑戦しようと決心したら、一度やると決めたら、くじけずにゴールを目指し走り続けろ。
競争なんだ
 これは、ある日、卒業する部員たちに言った言葉だ。
 今日、諸君の話を聞いたけど、元気がないな、夢がないな。「俺はプロになってやろう」「いつか大成してやろう」って、迫力のある言葉がなにもない。非常に残念だ。
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 人生はチャレンジ!
 チャレンジしなければ人生ではないんだ。覚えておくがいい。「あぁ、俺はこれでいい」と思ったら終わりなんだ、人生は。常に先を目指し、高みを目指して努力するから、人生っていうのは素晴らしく、充実してくるんだ。
 残念なのは、中学で二度も日本一になったのに、なんで高校ではもっと燃え滾たぎって高みを目指せないんだ。出来ないのか。満足してたんじゃないのか。
 どっかで自分に妥協してるんだよ。高校に入って、中学の時以上にもっと自分を駆り立てて、もっと努力して、燃えなきゃダメなんだよ。燃え上がってチャレンジすることが人生なんだよ。
 今の日本の世の中では、これこそ大事なんだよ。それを君たちを見てすごく強く感じたよ。みんながおとなしい。ものわかりがいい。今の学校の先生にとっては都合がいいことなんだろうがな。
 「先生の言うこと、みんな聞きます。ハイッ」。これじゃ、先生にとっては優等生でもダメなんだよ。
 とんでもない選手に育つ、あるいは育てるということは何か。先生や指導者にとっては、言うこと聞かないようなとんでもない奴を育てて、優れた選手にすることが大事なんだ。学校ってのはそういうところでなくちゃダメなんだ。
 今の学校は、先生の言うことを全部聞く子がいい生徒。監督の言うことを「ハイそうです」って言うのがいい選手。これじゃな……。
 監督の言うこと聞かなくても、ガンガンやっちゃうようなとんでもない選手がいればいるほど、強いチームになるんだ。そういう選手が集まって一つになる時、ものすごく強い、手の付けられないようなチームになる。
 バルセロナやレアルを見てみろ。みんな個性が違うんだ。一人として同じ奴はいない。でも試合になると一つになって戦う。死ぬ気になってな。
 イエローカードもらったってレッドもらったって大丈夫なんだ。九人対十人で試合やっても大丈夫だ。すごいプレーをして、魅了して、会場を「オーッ」て言わせて、勝てるんだ。
「あれはなんだ。あのすごさは」
 そう言わせることが大事なんだ。平均的で、言われたことを素直に、おとなしくやってて……。これじゃ世の中では通用しないんだ。よく覚えておいたほうがいい。この世の中はサッカーに限ったわけじゃない、常に競争なんだ。