忌まわしかった日本のW杯初出場フランス あれから17年。  

「外れるのはカズ。三浦カズ…」あの日本が初出場だったフランスW杯、最終メンバー発表。
調子を落としていたが、間違いなくW杯に導いてきてくれたのはカズだと日本国民はみんな知っていた。
暴動かと思ったとき カズはいつもと同じようにおしゃれなスタイルで、確か金髪にベレー帽をかぶっていた。
岡田監督の批判は一言も発せずこういってフランスを去った。
「日本代表の魂は、俺の魂は、あそこに(残されたメンバーの中に)置いてきた」  なんて男らしい日本人だと思った。 
その時のカズにとって「夢の夢」だった日本のW杯出場は、彼の30年の人生のすべてだったとも言えるにも関わらずだ。
少年の時以来の目標、ブラジルで歯を食いしばって頑張れた夢だったにも関わらずだ。  
怒り収まらないのは井田勝通だった。
W杯後、 友好な関係だった岡田氏に「お前は最悪だ」と激しく非難をぶつけ決別を宣言した。
それも数年後、1年札幌遠征に行っていた井田監督に、偶然にもコンサドーレの監督になっていた岡田監督から和解のあいさつがあり「井田先生。できればお食事を」と。
既に井田の怒りが収まっていたのは、絶対にカズの代表を外された時の日本代表を我に優先させる素晴らしい態度があったからだと思っている。 
余談だが、 岡田氏も実は井田と和解するその日は、前々から決まっていた大切な娘さんの誕生日祝う食事の日だった。
予定されていた大切な家族の祝いの場をキャンセルして「和解の酒席」は設けられたそうだ。  
カズの日経新聞の記事を読んで、 自分の味わった境遇へは、 いっさい愚痴を言わず、 逆に、理不尽に代表を外された小笠原への気遣い、 W杯の変わらぬ深い思い、 期待される代表候補への重圧への励まし、 そして代表監督への配慮さえ。
本当に日本人の鏡だなと思う。 
だが、当時街頭インタビューで「これが企業の論理だ」と言い放つサラリーマンの軽い発言には「それは違うぞ」と今でも殴ってやりたくなる。
17年たち中年になったこのサラリーマンは果たしてどうなっているか。成功するわけがない(笑)
だがそれも杞憂だ。
だって、カズは無言で示す。
47歳の今も現役を続ける我々を勇気づけるカズの存在がその確かな答えなのだろう。
ありがとうカズ。