なぜ、スティーブージョブズは禅を学んだのか?

イメージ 1 「Stay Hungry! Stay Foolish!」
 これは、スタンフォード大学での卒業式に、スティーブ・ジョブズが祝辞として述べた伝説のスピーチです。
 「Stay Hungry! Stay Foolish!」「ハングリーであれ!バカであれ!」には隠されたジョブズの深い思いがありました。
 2005年、彼はすい臓ガンを患いながらも、スタンフォード大学を卒業する学生たちに、「君たちの時間は限られている!他人の人生を生きて、時間を無駄にしてはいけない」と伝えてから、最後にこのセリフを3回も繰り返し、熱く語ったのです。いったい、このスピーチにはどんな思いがあったのでしょうか。
 彼は世界的に革新的なイノベーションを起こし、音楽を聴くスタイル(iPodやiTunes)や電話やパソコン(iPhoneやiPad)などを含め、ビジネススタイルすら変えてしまいました。
 すべてをシンプルに! 感性を豊かに!
 これこそが、スティーブージョブズが私たちに教えてくれたメッセージではないでしょうか?
 かつて、パソコンや家電製品はどれも分厚い取り扱いマニュアルなどが付いており、それを読みながら、私たちは新しいパソコンや家電製品などを使い始めるのが常識でした。
 しかし、彼が21世紀に送り出した「iシリーズ」のiPod・iTunes・iPhone・iPadなどには何も付いておらず、感性で使いこなすしかなかった。しかし、今や世界中でほとんどの者が使いこなしています。
 つまり、私たち人間には独特の感性が備わっており、その感性に従えば、マニュアルはなくても、自由に操作ができることを彼が経営していたアップルの新しい「iシリーズ」は教えてくれたと思います。
 ところで、スティーブ・ジョブズと禅に深い結びつきがあることをご存知でしょうか。
 ジョブズは青年時代から禅と接し、曹洞宗の僧侶である乙川弘文老師に師事していたのです。ジョブズは、72年に大学に入ると東洋思想に傾倒し始め、特に學問的要素が強い仏教や禅に強い影響を受けたのです。
 ジョブズが語ったところによれば、「抽象的思考や論理的分析よりも直感的な理解や意識のほうが重要だと、このころに気づいたんだ」(ウォルター・アイザックソン『スティーブ・ジョブズⅠ』講談社)といいます。
 禅を深く学んだジョブズの「Stay Hungry! Stay Foolish!」 (ハンフリーであれ!バカであれ!)」には〈日々是好日〉「にちにちこれこうじつ」という禅の心が入っていると言われています。
人は100パーセント、裸で生まれ、裸で死ぬもの
 私たち人間は、世界中、今も昔も、裸で生まれて、裸で死んで行きます。これには例外がなく、100パーセントなんです。
 これを神の言柴では〈本未無一物〉と言います。
 この言葉は禅の真髄とも言われ、禅宗の開祖とされる達磨大師の流れをくむ『六祖壇経』に書かれています。
 確かに、私たちは何も持たずに、この世に生まれてきました。茶碗も箸も服も持たず、車も家も持たず、1円も持たずに生まれてきて、また1円も持たずにあの世に旅立つのです。100パーセント全員が。もちろん、地位も名誉も消えます。
 しかし、私たちは、生まれてから大人になる過程でどんどん欲が出てきますよね。そして、物やお金や地位や名誉や権力など、何かに執着するようになります。
 そもそも、私たちの人生の法則は〈無〉なのです。
 〈禅〉とは体験の宗教と言われていますが、実は〈禅〉とは宗教というよりも、むしろ〈學問〉なのです。
 もともと、〈禅〉はインドで生まれ、中国で育ち、日本に渡って定着したものです。いわゆる三国伝来なのです。今となっては、本来の〈禅〉が実践の思想として受け継がれているのは、日本だけなのです。
 だからこそ、あのスティーブ・ジョブズをはじめ多くの西洋人が、〈禅〉を学びに日本に来たのです。今でも多くの西洋人、とりわけアメリカ人のエリートやフランス人には人気が高いのです。
 彼らだけではなく、アジアや中南米などいろんな外国の方々が〈禅〉を学ぶのは、それが極めて人間として学ぶべきことが多いからなのです。
 もちろん、私たち日本人には原点とも言うべき學問です。
――以下略――
成功者はなえ、「まあるい生き方」を実践するのか?より