稲盛和夫氏。京セラの創業者であり、経営破綻に陥った日本航空を僅か2年8か月で再上場に導いた名経営者の原点とは。

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会社(京セラ)がうまくいって、利益も何億円と出るようになっていました。

上場した頃、私の給与は年間700~800万円だったと思いますが、会社の利益は10億円、20億円という単位でした。

元はといえば、私がつくった会社ではないか。私の技術があって始まった会社、私が夜も寝ないで頑張ってやってきた会社ではないかと思いました。

その会社が10億円も20億円も利益を出しているのに、それに比べたら私の給与は少なすぎるのではないか。

もし月給を1000万円もらっても、年間たったの1億2000万円ではないか。それくらい私がもらってもおかしくはないのではないか。そういう気持ちがふっと出たことがあります。

慢心して、自分の企業を私物化しようとしていたわけですが、安岡正篤先生の本に出合って、そのことに気がつきました。

そして自分自身を戒める意味も込めて「謙虚にして驕らず、さらに努力を」という標語をつくって会社内に掲げることにしました。

そこにはさらに「自分の才能を私物化してはならない」という趣旨の文章を加えました。

続き略

http://www.chichi.co.jp/i/event2013/i-35magazine.html