主演はもちろん 中川大志くん

友里奈は あの女優さんが頭に浮かびおねがい

昨日 書いちゃいました

そして今日 話に出てくる友里奈の元夫は……大志くんも共演したあの方が浮かんでいます爆笑

最終話の後に明かそうかな…


第二話 魔法の鏡?


友里奈が公園から連れてきた男

正確に言えば助けたのだが 

どうやら男は記憶を失くしていて しかも何も持っていない 鎧を身に着け刀を差しているだけ

ドラマか映画のエキストラなのかと友里奈は思い込んで疑わなかった


友里奈は男に東堂柚流(ユズル)という名前をつけ 

まずは美容院に向かった

自分の経営する学園で働いてもらうにしても

髪が長すぎ

ユズは友里奈に言われるまま
(自分は何も覚えていない この人の言うことに従うしかない)
覚えているのは昨夜の暗い公園
目が覚めたときの友里奈の部屋 
金属の箱に乗り 友里奈が丸いものを動かし
外に出たら同じような箱が凄い速さで走っているし 歩いている人は鎧など身につけていない 
わけがわからない世界

友里奈のいいなりになっていても
嫌な感じはしなかった
根拠はないけど 悪い人でないのはわかった

髪は短くなり シャンプーをしてドライヤーで乾かしてもらっている間 昨夜より前の記憶を思い出そうと目を閉じているユズ 

友里奈は雑誌を読みながらもチラチラとユズを見る
髪を切ると さらに若く見えた
(大学生かも……田舎から出てきて一人住まい?)
なじみの美容師には 今度説明するからと予約の電話で言ってある それでも何か言いたそうだったが
「じゃ また今度…」
美容院を後にした

「次は着るものね……好みがあったら遠慮なく言ってね」
既製品だがスーツを買い求め

普段着やスポーツウェア ほとんど友里奈が選んだ

「どれにする?何色が好き?」

何を聞いても答えに困っているのをみて

友里奈はしびれを切らしたのだった



(これまで自分で服を買ったことがないのかしら)

服どころか どこに行っても戸惑っているようだった


ユズはすっかり友里奈を頼っている様子

それならば……と 友里奈は考えていた午後の予定を決行することにした


ランチはなじみのカレーハウス

ユズは初めの一口だけ妙な顔をしたが

そのあとは ナンをちぎるのも上手に

そしておいしそうに全部をたいらげた




午後は友里奈の通うジムで体験レッスン

初心者クラスのエアロビクス

ダンベル マシントレーニング

何をしても申し分のない動きで 筋力も十分

ユズ…何者?

タダモノではないんだわ……この子は


そのあとは職場の小学校に立ち寄り

音楽室に向かった

友里奈は理事長でありながら音楽の授業に出ている

それは友里奈自身の希望でもあった

音大出身で歌や楽器もこなせる友里奈

ピアノの鍵盤蓋をあけると 一曲弾き始めた


『ショパンのノクターン』

ユズは美しいメロディを奏でる友里奈の細い指に見とれていた

「ユズも弾いてみる?」そう言われて鍵盤の前に座ってはみたものの ただ指で触れるだけ

(ピアノは経験無し……か)

記憶がなくなっているせいかもしれない

もしかしたら弾けるのかもしれないけど

 

ユズは微かに笑みを浮かべたようだった

(音楽が好きなのね ユズ……音に触れていることが嬉しいんだわ……)
友里奈の心も満たされていく


太鼓やトライアングル 木琴や鉄琴

様々な楽器を試してユズは楽しそうだった

そして 特に興味を示したのがシンバル

(あれ?これ……なんだか……)

ユズの何かが眠りから目覚めたように

両手に持った皿のようなものを軽く合わせ

次はもう少し強く弾き合わせると

何だか懐かしい感じがした


友里奈は思う

(シンバルの叩き方……強弱や合わせる角度とか……よく知っているわ……歌 歌はどうかしら……

でも いいわ……今日のところはこのへんで)

あまり色々要求しても気の毒だ

楽しそうだけど 相当疲れているだろう


帰りの車 ユズは助手席から街を眺めていたが

少しだけ眠っていた

(いいわ…仮眠を取っていたほうが)

なぜなら

友里奈はひとつ思い出したことがあったのだ

部屋に戻って 早くユズに話したかった

その……思い出したことを


それは『武士の鏡

元夫の翔平がいつだったか 持ってきたもの


精神科医の翔平は研究発明にも積極的で

試作品といっては友里奈の所にもってくる


見れば手鏡なのだが翔平いわく

日付けが変わってすぐの一分間

月明かりの下でこの鏡を見て

その光で自分の顔を映してほしい 

そうすると 昔の記憶が少しずつ蘇るのだ

一分間なのでそんなにたくさんの情報は蘇らない

そしてそれは個人差がある その時の体調にもよる 

月の光の具合にもよる

条件によっては何も思い出さないこともある


「曇って月の光がない時はどうするの?」

「そんな時はこれ」 

出したそれは いわゆる懐中電灯のような物

点けてみると淡いほのかな光だった

「これで照らして見るのさ でも効果はあまり……ないと思うけどね」


そう言って 手鏡を置いていった翔平

友里奈は試しにその夜 日付けが変わってからの一分間

手鏡を眺めてみた

すると頭に浮かび始めた

幼稚園生だった自分のところに「一緒に遊ぼ」と好きな男の子がやってきた

(いいじゃない 忘れてたわ

初恋だったかしら)と淡い思い出に浸っていたら

翔平が頭に浮かんだ

部下だという若い娘と手をつなぐ光景

うわっやだっ 一分経ってそれは消えた

忘れていたのに……嫌なことを思い出したわ

(もう 実験は終わり!これはしまっておこう

いつも私を実験台にするんだから……)

自分ばかりでなく 学校の子にも試して…とおもちゃのようなものを持ってくることも多い

物はたまるし迷惑だと思っていたが

なんと……ユズが現れたではないか

(ちょうどいいじゃない!効果があるかどうか知らないけど ダメ元だわ……)


「それにしても なぜ武士の鏡なの?」

渡されたその時に 友里奈は翔平に訊いてみた


「ああ そこはノリだよ

別になんと呼んでもいいんだよ

俺さ 深谷の出だろ 畠山一族がいたところで…どうやら畠山重能の息子で重忠というのがいたんだけど20歳になるのを待たずに行方不明になっちまったのさ

武士の鑑なーんて言われ始めていて周りにも期待されて……初の戦で頼朝を下したのに…どこに消えちまったのか

俺は地元だし 畠山を推してるわけだけど

まあ そのノリで武士の鏡って名付けたのさ」


「はあ……そういうこと……」

まるで呆れたように返したものの

翔平のこういうところは友里奈も嫌いではない


(あんなことがなきゃ 今も夫婦だったのかな)

一度の過ちに目をつぶることもできたかもしれない

だが 友里奈はやはり許せなかったのだ

翔平の浮気 信頼していたからこそ許せなかった

今は よき友人としてたまには食事もする仲

手鏡を手に 翔平のことを思った

ま あいつも結局独身だけど……復縁はないかな

今 とても楽でいい間柄になっていた


部屋に戻ると友里奈はユズに手鏡を見せた

「これね……」翔平が説明したまま伝える

「これで忘れてしまった事を思い出せるのですか」

「うん……上手くいくかどうかはわからないけど

毎晩やってみよう それで思い出したことをここに書いていきましょ」

友里奈はテーブルにノートを広げた

「字は……?書けるわよね?」

ペンを持ったユズはノートにその先を押し付けたが

そのあとは動かなかった

「わかった!わかったわ 私が書いていくので 教えてもらえばいいから」


身体能力も高く 音楽のセンスもある

知能はどこまで?生活能力は?

字が書けないのは まさか……帰国子女?

日本語にはあまり触れなかったとか?

言葉がよくわからないのもそういうこと?


でも やっぱり面白いわ

友里奈はワクワクしながら 夕食を作る

ポークソテー サラダ クラムチャウダー

ユズは完食 ご飯もおかわりした

お風呂にも慣れ ボディソープも使ってみた

今朝は初めて見たシャワーからお湯が出ることに恐怖さえおぼえていたユズもバスタブのお湯に浸かった

(気持ちいいなぁ それにしても全てが珍しいが なんと…おもしろかったことか)

リラックスできたようなユズの姿を見て

友里奈も嬉しかった 


そして日付が変わる0時に合わせ

友里奈はベッドルームの窓辺にユズを連れていき

自分はリビングに引き返した

「武士の鏡を使う時は……必ず1人で行うこと」と翔平は言っていたのだ


月夜に照らした鏡をじっと見つめるユズ


リビングに戻ったユズは少々上気していた


「どうしたの?何か思い出した?」

「はい 笛の音が聴こえて それから太鼓の音

私も音を鳴らしていました」

「何を持っていたの?」ペンを走らせながら友里奈も興奮してきた

「あの学校?の……おんが……?」

「音楽室?」

「はい 音楽室にあった丸い……このくらいの」

「シンバルね ユズ 一番長く持っていたわ」

「そのシンバルの……もっと小さいものです

それを私はこうやって……」

(そうか!行動したことが刺激になっているのね
経験したことが……昔の記憶をよんだってこと?)

「あとは?それだけ?」
「はい……」
それでもすごいことだわ……と友里奈の目が輝く
(明日はまた何か思い出すかも…)
不思議そうなユズではあったが
友里奈の目には嬉しそうに見えた

そして翌日 日曜日
友里奈は翔平と会う約束をしていた
武士の鏡の実験のあと真夜中だったが
すぐにラインしておいたのだった

部屋を出る前 
友里奈はユズにTVの使い方やプレーヤーの使い方を教えた
見ておいてほしいのと用意したのは
体育の指導用教材💿
今の段階で文字を読むことができないなら
目で見て少しでも覚えられたらいい
陸上 器械体操 球技……
各学年の分を全て 学校から持ってきていた
「どれを見てもいいし…疲れたら休んで」
ユズにまかせよう……と友里奈は思った

武士の鏡とノートをバッグにいれ玄関に向かう
靴を履いてリビングを見ると
窓からの光を背にしたユズが眩しかった
友里奈が「行ってきます」と手を振ると
ユズは正座をして手をつき頭を下げた


つづく

長くなってしまいましたが

最後まで読んでくださいまして 

ありがとうございます


おねがい