2人で北河家を訪れるのは 2回目
バイオリン🎻を始めて3か月にも満たない頃に
無謀にも発表会に出て撃沈
幸恵さんの提案で 
北河家に集合して練習して以来である

お持たせの「丸いもの」を美味しくいただき
楽しく過ごしていた所に
義母の由実子が温泉旅行を切り上げ帰って来てしまったという ちょっとしたハプニング
それは わざとだ そういう人だと
泣き出した幸恵に
「俺は楽しかったですよ」
「泣いてはだめですよ 楽しくしていればこっちの勝ちだ」
理人が 幸恵にそう言って幸恵もそうね!と
笑って 「私も 楽しかった‼️」

それ以来 やえこは何度か来ていたが 理人は2回目

「あら いらっしゃい!」
リビングのソファーには義母の由実子が座っていた
「お久しぶりです コンサートではお越しいただき ありがとうございました」
「その後 いかがですか?杖はまだ必要ですか?」
理人は職業柄 聞いてしまう
「ありがとう ずいぶんいいのよ 杖は持ってでかけるけど お守りみたいなものね」
由実子が微笑むと
幸恵が テーブルにお茶を置いて
由実子の横に座り
申し訳なさそうに2人に言った
「今から タミを迎えに行かなきゃいけなくて ごめんね
時間大丈夫だよね 」
20分くらいで戻れるからと 幸恵は車で出かけた
                                        リムジン後ろリムジン前
他愛もない世間話をしていたが
由実子がふと 宙をみて言った
「やえこさんはバイオリン🎻続けてるのよね」
「はい でも もう教室はやめようかなと思ってるんです」理人の目をみて頷く
「2人でカラオケで練習してるんですよ 久住先生の時に僕がまず辞めて 教室が移転して幸恵さんが通えなくなって」
「私が続けていれば 習ったことを教えられるなと思って続けていたんですが・・・ 貯金もしたいし」
理人とやえこが目を合わせて 苦笑いすると
由実子が上目遣いに見た
「たまに・・でいいから幸恵さんも誘ってあげてくれる?」
2人は少し驚き 由実子を見た 今まで何度か幸恵さんを誘おうか と話は出ていたが なかなか実現できていなかった
「もちろん お家のお許しが出れば」
慌てたやえこが目をさらに開く
「私ね 幸恵さんが弘章と結婚して 最初から同居で」
由実子が自分の手を擦りながら語り始めた
「お母さんお母さんって 何でも私をたてて いいお嫁さん いい奥さん タミが生まれたら いいお母さんって
何でも完璧にやろうとするじゃない?」
由実子は遠い日を思い出すように微笑む
「何か つい意地悪したくなって 強く言ったり
嫌み言ったり ご近所で悪く言ったり」
           


                            
由実子が北河家に嫁いだ時には 姑がかなり厳しい人で苦労したのだった 

自分が味わった苦しみは 人には味あわせたくないとは 頭ではわかっていても 
最初はちょっとした嫌みなひとことにも 幸恵が明るく返してくる もう少しきつく言っても 嫌な顔1つせず
元気に家族と接している

そんな繰り返しと積み重ねで 優しい言葉などかけていないことに 胸が痛むこともあったのだろう
そして あの日倒れてから どれだけ幸恵の世話になってきたことか
折に触れ 感謝の言葉も言うこともあったが それは
「してくれた事に対して」の ありがとう

心から  ありがとうと言えていない由実子は
もどかしい思いも抱えていたのだ
                                        むらさき音符
「弘章もあんなだから 幸恵さん 1人で色々抱えちゃって タミちゃんも 中学でエスカレートで高校行けるから
たまには趣味のバイオリンでもやれぱいいのに」
「お母さん 幸恵さんに今の気持ち 話したことないんですか?」
やえこが涙ぐんで尋ねる
「そうですよ そんなに幸恵さんのこと 思ってくれているのに・・バイオリンのことも ご自分から おっしゃったらどうですか」
理人も真剣な面持ちで由実子を見た

由実子は手を振りながら 2人を交互に見て笑った
「そんなぁ あの人 お2人に気を利かせて遠慮してるから だから お2人から誘ってあげて」
お願い!というように手を合わせる由実子

そこに玄関のドアが開くチャイムの音
お話はここまでね と言うように 由実子が目配せした

「ただいまー!あ やえこちゃん!理人くん!」
照れ隠しか?タミはやえこを先に見て そのあと理人を見て 頭をさげた
                           ヒヨコ後編につづくヒヨコ

あとがきニコ

ありがとう の一言なんて 別に簡単に言えるんじゃない?
それはそうかもしれません
 
私 昨日 ダンナと次女に ブログを始めたことを伝えました(一年以上前のことです)
何となくノリで伝えたのですが・・~

家族とは LINEは繋がっています
あとは それぞれで 何のSNSをやっているかも
お互い特に干渉していないのですが

ブログやってるの?とちょっと驚いていました
Twitterとかブログはやらないと思っていただろうし
私もそのつもりでしたから

で 次女に検索しないでね!と笑って伝えて(もちろん そんなことしないのはわかっていますが)
死んじゃった後に 見てよ!と言っておきました

↑そんな言い方 よくないのですが
もう この世に存在しなくなったときに 
あーママはこんなこと思ってたんだ
こんなこと書いていたんだと笑ってくれればいいかなって
(あ!グダグダストーリーは ちょっとダメ😃)

話は最初に戻り
こんな私
短気で飽きっぽく まぁ人情味はあるけど
ほとんど自分の思うままに生きてきて
何を始めるときも 相談するけど
その時には決まっている つまりほとんど事後報告
せっかちで 危なっかしくて
夢中になったことにはまっしぐら

好き勝手生きてきて 思い残すこともない

仕事しているときや 友だちに対して
たくさんのありがとうを言ってきた
家族にも してくれたことに対しての
ありがとうは言ってる

でも 
私と一緒になってくれて ありがとう
今まで 色々とありがとう
いい奥さんでも 立派な母親でもないけど
楽しく一緒に過ごしてくれて 
ありがとう

そんな ありがとうを言ってない

この世から旅立つ時には言いたいけど
そんなの いつ どこで訪れるかわからない

明日も絶対に生きているって言える人は
1人もいないよ
どこかで聞いた言葉ですが
1番近くにいる 大切な人に言えていない言葉って
あるのではないでしょうか

北河家の由実子さんも 強い女性ですが 
幸恵さんには内心どれだけ感謝しているか
でも 照れ隠しで 強がって言ってしまう
そんなお話にしたくて  したためました