④アニムスは、アニマとは全く逆で、女が持つ男の心であり、女が見る夢として、たくましくりりしい男性の姿で現れると。これはたとえであって、鷲やライオン、剣となって現れることも。そしてアニマは、論理的・公正・大胆・抽象的思考・活発・現実的・合理的などの言葉で表せられると。こうして言葉の意味を考えると、男性的なイメージを持つ言葉が多くあります。

 

女性の中には、男顔負けで仕事をバリバリとこなす一方、融通が利かず、他人に情け容赦なく、頑固で放漫な人がいます。これは、彼女のアニムスが意識に活発に働きかけ、本来は女である人間性を“男性的”に変えているのです。アニムスに飲み込まれた女性は、他人への思いやりや仲間への配慮といった理性的判断ができなくなり、周囲から浮いて煙たがられなり、結局は孤独になってしまいます。

 

また世間には、自分の恋人や夫、息子に対して「一流大学出でなければいけない」とか、「収入が多くなければいけない」などと、通俗的な価値観を押し付けたがる女性がいます。女性の眼力は本来、物事の裏に秘められた美的な価値や愛情の価値まで目が届くはずなのに、そうした眼力を、アニムスの強い影響のために自ら捨てていると。

 

ところで、アニムスという元型もアニマと同様に、四段階に変貌していくことを発見したのはユングではなく、実はユングの妻であり、ユング派心理学者であるエンマ・ユングであることに、私はひとつの安堵感を持ちました。なにしろアニムスというのは、女が持つ男の心であり、女が見る夢として、たくましくりりしい男性の姿で現れると。これなら説得力があると思います。夫婦共同で発見した偉大なる論理です。

 

その第一段階は力のアニムス、男性の肉体的強さをイメージさせるアニムス。第二段階は行為のアニムス、勇ましい行動をする男性像にたとえられるアニムス。第三段階は言葉のアニムス、肉体性よりも論理性や合理性を示すアニムス。そして、最後の第四段階アニムスは意味のアニムス。物事を単に説明するだけでなく、それに秘められた意味を示すアニムス。つまり、人生の意義や世界の素晴らしさを教えてくれるアニムスである。

 

アニマもアニムスも、人が“自分本来の性の心”に足りないものを補うための元型だから、それと向き合い、受け入れ、コントロールしなければならない。そうやって、人として良き完成された心へと、進んでいけるのです。

その18に続く。