第二部 房総半島横断鉄道に乗って

第三章 出会い、そして東京スカイツリーへ(その三)

          三

 年が明けた一月十五日(土曜日)は、朝から快晴の良い天気だった。里志と由美子は、上大岡駅から京浜急行と都営浅草線に乗って、とうきょうスカイツリー駅に着いたのは午後二時十分前だった。それから五分後くらい遅れて隆行と弘子がやって来た。先に隆行が言った。

「西野さん、こんにちは。今日は土曜日だから、東京スカイツリーは混んでいるかもしれませんね」

「こんにちは、そうですね。少し寒いけど天気もいいし」

 里志が言うと由美子も、

「こんにちは、そうよね。吉川さんと大谷さん、今日はよろしくお願いします」

 と言ったので弘子が、

「こんにちは、私たちこそ。それでは行きましょうか」

 と言って、弘子と隆行が先に歩き出した。そのあとを追って里志と由美子も歩き始めた。

 東京スカイツリーは、鉄塔までの高さとしては六三四メートルで世界一、完成してからもう九年になる。里志たちはセット券(展望回廊と展望デッキで大人三千百円)を購入する行列に並んだ。今日は土曜日ということで、入場券を購入するまで約一時間、天望デッキ行きのエレベーターに乗るまで約十分掛かった。高速エレベーターに乗ると、約五十秒で天望デッキに着いた。

 四人とも東京スカイツリーは初めてなので、天望デッキに着くと里志たちは、ガラス越しに外を見渡した。天気が良いので富士山がはっきり見えた。そして東京タワーは、ここからだと小さく見え、卵型の東京ドームも見えた。その左方向の先に横浜ランドマークタワーもちょっと霞んで見えた。今度は由美子が先に声を掛けた。

「あら、里志さん。ランドマークタワーが見えるわよ。私たちがランドマークタワーに行った時、東京スカイツリーは工事中で半分くらいしか見えなかったけど」

「そうか。あれから六年も経ったのか」

 里志が言うと隆行が、

「私と弘子は、まだランドマークタワーには行ってないので、次の楽しみにしておきましょうか」

 それに弘子が続いた。

「そうね。それがいいわね。来年のゴールデンウィークがいいみたいだわ」

 その言葉を聞いて由美子が、

「これから長いお付き合いになりそうだけど、隆行さんと弘子さん。こんな年寄りで良かったら、よろしくお願いね」

 と先に言われたので里志も、

「そういうことで、展望回廊に行きましょうか」

と言った。

 それから里志たちはセット券を係員に渡して、天望回廊行きのエレベーターに乗った。天望回廊にはすぐ着いたので、里志たちはひと回りした。天望デッキよりも百メートルくらい上にあり、窓側に行って下を見ると、さすがに怖くなってくる。里志たちは、しばし展望回廊からの絶景を味わってから、エレベーターホールに向かって歩き出した。エレベーターを降りて、地上に出たところで由美子が、

「吉川さんと大谷さん。せっかく東京スカイツリーに来たのだから、ソラマチにあるお店を見て行きましょうよ」

 と言ったので弘子が、

「そうしましょうか。隆行さん」

「僕はそれでいいよ」

 と三人に言われてしまえば里志も、

「それじゃ、お店をひと通り見てから、喫茶店に入ってコーヒータイムだね」

 と言って、里志が先にソラマチの建物に向かった。そのあとを由美子、そして、弘子と隆行が追いかけた。建物の中に入ると里志たちは、いろんなお店で買い物をして楽しんだ。それから喫茶店に入り、四人用の禁煙席に腰掛けた、ウェイターが来たので、由美子がホットコーヒーとサンドイッチを注文した。お冷を少し飲んでから由美子が、

「今日は若い人たちと一緒で楽しかったわ。ねえ、里志さん?」

 と言ったので里志も、

「そうだね。娘が嫁いでからというものは、いつも由美子と二人だけだったから」

 すると今度は隆行が

「僕と弘子も、年配のご夫婦と一緒に東京スカイツリーに行ったり、買い物をしたりして楽しかったです」

 それを聞いていた弘子が、

「私も楽しかったわ。今日は天気も良かったし、富士山も良く見えたし」

 と言った時にウェイターが、ホットコーヒーとサンドイッチを持って来た。

 その後、里志たちはホットコーヒーを飲んだり、サンドイッチを食べたりしながら、小湊鉄道に行ったことや映画などの話をした。隆行が腕時計を見ると、午後五時十分前だったので、

「西野さん、そろそろ帰りましょうか。先日は西野さんが払ってくださったので、今日は私たちが払います」

 と言ったので由美子が、

「まあ、悪いわね。私たちは年金生活だから助かるわ」

 それに里志が続いた。

「そういうことだね。次回は私が払うことにしましょう」

 最後に弘子が、

「あら、いつの間にか、割り勘のルールができたみたいですわ」

 と言って笑った。隆行が支払いを済ませ、里志たちが喫茶店を出た時は、外は少し暗くなりかけていた。里志たちはとうきょうスカイツリー駅に向かった。