■感染者 過去最多『溶連菌』と『劇症型溶連菌』の違いは?

2024年の劇症型溶連菌の感染者数です。 6月2日までで977人。 2023年の941人を上回り、過去最多となりました。 2023年の同じ時期に比べて、約2.8倍です。 『溶連菌』と『劇症型溶連菌』の違いです。 溶連菌は、人の喉などに存在している菌で、体の中にあっても発症はしません。 ほとんど無症状ですが、一定の量を超えると、喉の痛み、発熱、発疹といった症状が出ます。 劇症型溶連菌は、突然変異して毒性が強くなった溶連菌で、『人食いバクテリア』とも呼ばれています。 『劇症型溶連菌』の初期症状は、発熱や、手足の腫れ・痛みですが、短時間で容体が急変して、敗血症性ショック、手足の壊死、多臓器不全などを引き起こすことがあり、致死率は3割といわれています。 特に中高年の感染が多くなっています。 実際に感染した人のケースです。 当時26歳のAさんは、自転車に乗っているときに、ペダルに右足のすねをぶつけて、かすり傷を負いました。 出血はなかったといいます。 Aさん  「翌日夜から足が赤く硬くなって腫れだした。傷が熱を持っている感じだった」 2日後、Aさんが、高熱が出たため病院に行くと、緊急入院して手術ということになりました。 診察した医師からは、 「1日でも遅れたら、右足を切断していた」と言われたといいます。 Aさんは、現在は後遺症なく、生活できているということです。

■劇症型溶連菌 予防…水虫で感染リスク?夏ならではの注意ポイント

劇症型溶連菌に感染しないためには、どうすればいいのでしょうか。 劇症型溶連菌の感染経路です。 傷口から溶連菌が体深くに侵入して、急速に増殖します。 接触感染などでも侵入します。 ただ、半数以上が感染経路不明です。 基本的な予防法は、手洗い、アルコール消毒などです。 東京女子医科大学の菊池教授の考える予防法です。 『傷を作らない』 夏の服装で、半袖・短パン・サンダルの人は要注意。 せめて靴下をはいた方がよいということです。 そして、傷ができてしまった場合、すぐに洗浄・消毒し、ガーゼや絆創膏などで処置することが必要だといいます。 特に注意が必要なのは、『水虫』です。 菊池教授が診た患者のうち、 「約8割が水虫を持っていた」ということです。 菊池教授が診察した70代の男性です。 なじみの居酒屋に来ないことから、店主が心配し、男性宅を訪問しました。 男性は心肺停止の状態で見つかり、救急搬送。 体の至るところが壊死していました。 約1カ月間 集中治療室に入り、意識・傷ともに回復したということです。 東京女子医科大学・菊池 賢 感染症科教授 「あと半日遅ければ、死亡していた。男性には水虫があった。水虫がある時は、皮膚科にかかり、適切な治療を受けることが重要」だということです。 他にも注意が必要なのは、『虫刺され』です。 かくことで傷ができ、菌が入る恐れがあるので、薬を塗って、傷を早めに治す必要があります。 そして、『ささくれ』『あかぎれ』にも注意が必要です。 乾燥による傷ができないように保湿することが重要です。