しかし、その愚者に対し、少年は魔術など使えなかった。


魔術を教えてくれる人はいなかったのだから。


少年の頼る術は、もはや三つしか残っていなかった。

逃げること、諦めること、戦う。

前者の二つは、少年が最も頼りたくないものだった。

頼るなら、少し無茶をしても後者だ。

無論、教えられた訳ではないが、武術は魔術と違って無知からでも単なる喧嘩なら独学でも出来る。

少年はそのような理由で、独学で武術を学んでいた。


自信、勝算は無に等しい。

あるのは不安と意志だけだった。