少しばかり安心した所で、ようやく少年も仲間に加わった。

「なぁ。お前。クリフィとかいったよな。」

唐突にトゥーグがきいてきた。

「ああ、なんだ?」

「あのーさっきは言い逃したんだがよ。お前、妖精の帝国から何合か上った所の村に住んでいた、と言ったよな。」

「?ああ。」

この時、妖精たちが揃って顔を見合わせた。

「…?なんだよ。」

トゥーグが答える。

「そのー…。言いにくいんだがよ。そんな筈はねぇと思うんだがー…。だが、俺達妖精は、あの山を知り尽くしてる。それを踏まえて、言わせてもらうんだがー。」

少年はあまりの回りくどさに苛つきを覚えた。

「回りくどいな。さっさと言えよ。」

「…俺達、みんな、その村を見た事がねぇんだ。住んでる人も、一人も知らねえ。」
「フンダー。フンダー!」

小さな声で少年は呼んだ。

フンダーはみんなとの会話を楽しんでいた為、渋々といった感じで少年の所へ来た。

「何か用?」

「そのー…。クロウンと、トゥーグなんだけど…。北から来たって言うんだ。そこは闇の妖精の住処だろ。しかも明の妖精を悉く嫌っている。こいつらは急に僕の前に現れたんだ。僕はもしかしすると、と思うんだが。何か感じたりしないか?」

フンダーは、阿保らしいというように言った。

「馬ー鹿。ちょっと、ほら、見てみ。」

フンダーは、少年によく見えるよう、左手を差し出した。

「…?」

フンダーの手首に腕時計のようにはめられているものは、豚の鼻のような形のものだった。

「香り感知装置。危険度の高いものの香りを記録してある。んでもって、あいつらからは反応はなかった。…これで満足?」
「…ああ。」

そこまできっぱりと言われると、頷くしかなかった。

ここは取り敢えずフンダーの能力を信じよう。
確かにそうだ。

マンフールは、船長風ハットに、上等の海賊衣装に刀、ピストル。

海賊とはいえ、上等な衣装の中で目立つのは、使い古しの工芸制作用具だ。

少年は、少しはまともな所が残っていた、と、安堵のため息を漏らした。

と、見ると、フンダーまでもが、海賊の格好をしている。

元々道具を使わない為、まともなところが残っていないように見える。

少年は、まともなのは内側に隠れていると無理に納得した。

少年がぶつぶつ言ってるうちに、既に二組は、打ち解けていた。

このままでは置いてけぼりをくってしまう。

少年は慌てて会話に加わろうとしていた所で、漸く思い出した。

フンダーに、クロウンとトゥーグの正体を確かめてもらうのだ。