祖母はぼーっと下を向いて俯いている。
姉がこんなに泣いているのにそれに全く動じない。
すっと顔を上げて言った言葉が忘れられない。
「2回もチャンスあったのにダメだった。」
貨物列車が2回通った事を言っているらしい。
拾う人が大変だろうとも言っていたと思う。
言葉が出なかった。
母親が追いかけてきて
泣いている姉、呆然としている私、
そして祖母の悪気ない顔を見て
「ばぁちゃん、ごめんね。もう私たち無理だ。」
と初めて母親が言った。
いつも母親が1人で祖母の鬱と認知症と向き合っていた。
この事がなければ、大泣きする姉を見なければ、
きっと母はまだ祖母と向き合っていく覚悟をしていたと思う。
そっと祖母が口を開いた。
「家に火をつけるから、みんなで死のう。」