冗句195 | あべせいのブログ

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冗句195

     

◆官僚の頭脳

「きさまは、日本の官僚の優秀さを知っているか。世界一だぞ」

「それはこの前気がついた」

「どうした?」

「国民年金を初めてもらって、よくわかった」

「国家公務員や地方公務員の年金と比べたのか。せめて厚生年金にしとけばよかったのに」

「二ヵ月分が一度にもらえるンだ」

「いくらだ?」

「おれの場合、少し会社勤めをしていたこともあるが、11万円余り」

「2ヵ月で、それだけか?」

「そうだ。国民年金だけもらう国民は、早く死んでくださいということだ、とな」

「老人は集団自決しろといった東大出の頭のいいやつがいたな」

「年金制度をつくった官僚はつくづく頭がいいと思った。とても生きていけない年金を出して、国民から生きる気力と希望を奪う。頭のいいやり方だ。おれも見習いたい」

「見習うって、いつ見習う? あと何ヵ月生きられるンだ?」

「集団自決しろといった助教授は、還暦前に自決するそうだから、オレたちはまだ生きているだけ幸せなのか」

「そうかもな。息をしているだけ、ましってことだな」

「死ぬ前にいろいろ勉強になった」

「例えば?」

「優秀な頭脳は自分のためだけに使え。国民につくウソには慣れろ、ってな」

          2024.5.11.