WPW症候群は、心臓の電気刺激の正常の伝導の経路に、先天的に正常と異なる電気刺激の経路(副伝導路)を有することに起こります。
WPW症候群は、心電図の波形(PQ間隔の短縮と幅広いQRS)で診断ができますが、副伝導を通る電気刺激の伝導の方向によっては見かけ上正常の心電図波形のタイプのもあります。健康診断の心電図ではおおよそ100人に1人程度は、WPW症候群が疑われる心電図の人がみられますが、症状がないことも多いです。
WPW症候群は、いずれのタイプのものも、脈が速くなる頻脈発作を引き起こしえます。副伝導路を通る電気刺激の方向によって、幅の狭いQRS波形を呈するものと、幅の広いQRS波形を示すものがあります。
WPW症候群に、心房細動が合併した場合には、心電図上、幅の広いQRS波形を呈しますが、この場合心室応答が亢進して心室細動が起こりえるため、突然死の原因となりえます。ただし、このように心室細動が起こるケースはまれです。
WPW症候群と診断されても、80%の人は、生涯にわたって不整脈の頻脈の発作が起こりません。
WPW症候群と診断された人が頻脈発作を起こす場合においては、80%は突然死のリスクの低いタイプのもの(房室回帰性頻拍)であり、20%が心房細動を合併するものですが、心室細動を引き起こして突然死を引き起こすことはまれで、ほとんどの場合は致死的な不整脈ではありません。
頻脈の発作が起こった場合は、患者さんが自分で停止できる可能性のある息こらえ(バルサルバ法)や頸動脈圧迫の方法もあります。頻脈の発作が起こったときに、血圧が低下するなど血行動態が不安定な場合には、AEDなどによる電気的な除細動が適応になりえます。また、静脈注射による、ATPやNaチャネル遮断薬などによる抗不整脈薬の治療が行われます。
頻脈発作の持続時間が短く、症状の軽い例では、再発予防の治療は必ずしも必要ありません。
頻脈発作の予防薬の投与も適応になります。発作の頻度が低い場合には屯用も可能で、発作の頻度が高く症状が強い場合には定時の抗不整脈薬の適応になります。
頻脈発作の頻度が多い場合や、心房細動の発作が合併して突然死の可能性がある場合などには、入院にての電気生理学的検査や、カテーテルアブレーションによる治療が適応になりえます。
