文京内科・循環器クリニックのブログ

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東京都文京区本駒込2-10-3 ウエストワンビル4Fにあるクリニック(https://www.bunkyo-cl.jp/)の、医師で院長のブログです。

心不全は、心臓のポンプ機能が低下する病気です。

心臓のポンプ機能低下には、主として心臓の収縮が低下するタイプのものと、主として心臓の拡張が障害されるタイプのものがあります。

 

心臓の収縮が低下すると、心臓に流れ込む血液の量が正常でも、心臓が送り出す血液の量が減少します。

心臓の拡張が障害されると、心臓に流れこむ血液の量が減少して、心臓が送り出す血液の量が減少します。

これらは、いずれも心臓のポンプ機能を低下させ、息切れや動悸、むくみ、体重増加、疲労感などの心不全の症状をきたします。

 

心臓の収縮が低下しているか、心臓の拡張が障害されているかについてを見分ける診断は、心臓超音波検査(心エコー検査)などによって行うことが可能です。

 

心臓の拡張が障害されるタイプの心不全は、高齢化が進むのに伴って増加しており、注目されています。

心臓の拡張が障害されるタイプの心不全は、女性、高齢者に多い傾向があり、合併する疾患としては高血圧や糖尿病、心房細動が多くみられます。内臓脂肪の増加も、心臓の拡張が障害されるタイプの心不全の原因となります。内臓脂肪の増加は、体重(BMI)の多さだけでなくX線やCT検査、血液検査によっても診断する必要があります。

 

心不全の症状が悪化したときには、利尿薬により体の中の水分を外に排出する治療が必要になります。

併存する疾患である高血圧や糖尿病の治療も心不全の治療には重要です。

 

心不全の生命予後を改善する治療については、いずれのタイプの心不全でも薬物療法の継続が有効であることが示唆されており、近年では糖尿病の治療薬でもあるSGLT2阻害薬などの新しい薬剤の有効性も示されています。

 

拡張が障害されるタイプの心不全では、左右の心房の圧の差を少なくするための心房間デバイスが生存を改善する可能性も示されてきています。