胸部の痛みが起こる原因としては、心臓、血管、肺、消化器、筋肉骨格、感染、精神神経、の病変が通常みられます。
このうち、突然の胸痛をきたす疾患には、緊急性の高い致死的疾患が含まれます。致死的疾患としては、急性冠症候群(狭心症、心筋梗塞)、急性大動脈解離、肺血栓塞栓症、緊張性気胸、が代表的なものです。これらの疾患には、迅速な診断と治療が必要です。
胸痛の症状で患者様が来院された場合には、まずこれらの疾患でないかどうかをただちに診断する必要があります。
これらの致死的疾患は、まず、病歴聴取、身体診察、心電図検査、胸部レントゲン検査、血液検査により診断を行います。
病歴では、過去の胸痛の履歴、胸痛の部位、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の病歴、喫煙歴、などが重要です。
これらから、急性冠症候群や急性大動脈解離が疑われることがあります。
30分以上胸痛が続き、胸骨の裏に焼けるような痛みがあり頸部や顎や肩や左腕に放散する、息切れや吐き気を伴うといった場合には心筋梗塞が疑われます。
心筋梗塞や狭心症は、7割方は病歴聴取で診断が可能です。
診察所見としては、血圧や酸素飽和度などのバイタルサイン、胸部の心臓の雑音や肺のラ音、が重要です。
ここで顕著な所見がみられる場合には、重症の心筋梗塞や肺血栓塞栓症、急性大動脈解離や心タンポナーデが疑われます。
なお、胸部を圧迫した時に痛むという場合は、心臓の疾患は可能性が低いです。
心電図検査は、心筋梗塞、狭心症、心膜炎、の診断に有用です。心電図所見のみで心筋梗塞は診断可能な場合があります。
胸部レントゲン検査の所見からは、大動脈解離や緊張性気胸が疑われます。
胸部レントゲン検査から大動脈解離が疑われる場合には、さらに胸部のCT検査や心臓超音波検査で診断を確定する必要があります。
血液検査では、心筋梗塞や不安定狭心症や肺血栓塞栓症を示唆する検査所見が有用です。心筋トロポニンやDダイマーといったバイオマーカーの測定が行われますが、これらが上昇していて陽性であった場合には、心筋梗塞や肺血栓塞栓症が強く疑われ、さらに心臓や血管の造影検査や肺のCT検査を行うことが必要になります。
以上、病歴の聴取や診察の所見や検査の所見から、心筋梗塞、急性大動脈解離、肺血栓塞栓症、緊張性気胸が考えられる場合には、ただちに病院へ搬送の上集中的な治療が行われる必要があります。
