失神は、一時的に意識がなくなり、姿勢が保てなくなり、その後自然に意識が回復する病態です。
脳に送られる血液の量が一時的に低下すると起こります。
原因としては、起立性低血圧、神経調節性(反射性)、心臓血管性、脳神経疾患に原因があるもの、血糖などの代謝に原因があるもの、服用している薬に原因があるもの、などがあります。
原因の診断には、詳細な病歴の聴取、身体的診察、心電図検査をまず行い、さらに検査が必要であるかどうかを判断します。
起立性低血圧が疑われる場合には、自律神経の異常があるかの検査(起立試験)を行います。
神経調節性(反射性)が疑われる場合には、チルト試験(傾斜角がある台で一定時間受動的な立位をとる)が行われます。
心臓血管性が疑われる場合には、長時間心電図モニター、心臓電気生理学的検査、心臓超音波検査、心臓のCTやMRI検査、運動負荷試験などが行われます。
失神をきたす疾患には、突然死をきたすものもあります。心電図や病歴等から、突然死をきたしうる不整脈や、心筋梗塞や狭心症の虚血性心疾患、心臓の機能低下がある心不全、大動脈の解離の疑い、高度の貧血がみられる場合、などリスクが高いと思われる場合には、入院による精査加療、もしくは頻回の外来受診による密度の高い経過観察、が必要になります。
治療法としては、日常生活における留意(急な姿勢の回避や水分塩分の摂取・ストレスの回避など)、原因となる薬剤の服用の中止、心臓が原因の失神では原因となる心臓の病気の治療(ペースメーカーの植え込みやカテーテル治療など)が必要になりますが、必要に応じて血圧を上げる薬などの処方が行われることもあります。