肺血栓塞栓症について | 文京内科・循環器クリニックのブログ

文京内科・循環器クリニックのブログ

東京都文京区本駒込2-10-3 ウエストワンビル4Fにあるクリニック(https://www.bunkyo-cl.jp/)の、医師で院長のブログです。

肺血栓塞栓症は、血栓(血液の固まり)が、静脈血流により肺動脈を閉塞し、肺循環障害をきたす疾患です。

血栓は、下肢や骨盤で生じます。長期の臥床や運動の低下、外傷、脱水などで血栓が形成されやすくなります。

 

肺血栓塞栓症の症状には、息切れや酸素飽和度の低下、胸痛、動悸などがあります。

血液検査で、Dダイマー(血栓傾向と血栓の溶解反応を示す)の上昇やNT-proBNP(心不全を示す)の上昇、トロポニンT(右室の微小梗塞を示す)の上昇がみられ、胸部造影CTによって肺動脈における血栓の確認を行います。また、心エコー図検査において右心負荷所見がみられます。

 

肺血栓塞栓症の治療は、肺動脈の血栓の再発予防のための抗凝固療法、生じた血栓を溶かす血栓溶解療法が治療の主体となります。

症状が強い場合には、カテーテル治療により経カテーテル血栓溶解療法、吸引カテーテルによる血栓の吸引による血栓除去術、また外科的血栓除去術、などが行われることもあります。

 

肺血栓塞栓症の予防は、下肢の運動、弾性ストッキングの着用、十分な水分補給、抗凝固療法の継続などがあります。

下肢や骨盤にできる深部静脈血栓症に合併する重篤な疾患が、肺血栓塞栓症だからです。