こんばんは。

訪問ありがとうございます。



通勤中の読書について。

2冊目の伊与原さん。

 

 

●あらすじ

見えない星が、人生の幸せを教えてくれる。


「あのときのメンツ、今みんなこっちにいるみたいだぜ」「まさか、スイ子か? なんでまた?」スイ子こと、山際彗子が秦野市に帰ってきた。手作りで太陽系の果てを観測する天文台を建てるというのだ。28年ぶりの再会を果たした高校時代の同級生・種村久志は、かつての仲間たちと共に、彗子の計画に力を貸すことに。高校最後の夏、協力して巨大なタペストリーを制作した日々に思いを馳せるが、天文台作りをきっかけに、あの夏に起きたことの真実が明らかになっていく。それは決して、美しいだけの時間ではなかった。そして久志たちは、屈託多き「いま」を自らの手で変えることができるのか。行き詰まった人生の中で隠された幸せに気付かせてくれる、静かな感動の物語。


●感想

この日は病院の待ち時間が3時間もあり、その時間だけでいいかと軽い気持ちだったので、あらすじを読まずに読み始めた。


秦野が舞台だけど、地元から遠からず…。

友達もいたので、気分的には知ってる土地が舞台だ!くらい。

高校3年の仲間たちが再び集まって天文台を作る。二人の視点で高校の頃と今が進んでいく。

45歳になってあの頃は眩しかったな、くらいに進んでいくのかと思ったら、予想以上に重かった。

高校時代にタペストリー作りをしようと言い出した人気者だったクラスメイトの死が、ズシンと来た。途中でタペストリー作りから抜け、人が変わってしまい周囲を寄せ付けない。

何が起こったのか分からずに戸惑う主人公たち。

高校卒業した年に、そのクラスメイトは死んだ。

そこには周囲に決して見せない影の部分もあって、複雑な家庭環境を知る数少ない人たちから少しずつ分かっていく。

自殺だと思われるけれど、真相は分からず。


高校3年の出来事と中年たち天文台作りを進めていく話が交互書かれている。

高校3年生よりも、45歳の今の方がなんだか青春しているなーと羨ましくなった。

そして自分が思い描いていた未来と違って、ぱっとしない毎日を送る中での生き甲斐がなんだか羨ましい。主人公たちの気持ち分かるよ!と自分もメンバーかのように読み進めていた。

だからこそ、自殺したクラスメイトの存在がとても重いエピソードだし、引きこもりになってしまったクラスメイトも気になった。

みんなが集まったからといって当時の関係に戻ることはないんだな…と寂しさを感じた。

成長して少しずつ関係性は変わってくるんだよね。



ラストの完成した天文台でお祝いをするシーンは感動した。引きこもりのメンバーも出来るかたちで関わり、天文台に名前が刻まれることにホッとして、いつか集まりに参加できればいいなと思う。直接関わったメンバー以外の同級生たちも当時は手伝っており再び天文台を作る過程で交流していくうちに思い出していくのも良かった。


そして自殺したクラスメイトを裏切り者と恨んでいたメンバーも真実を知り、ラストに言った言葉に泣けた。相手はいないけど、それでも良かった。最後1/3くらいはうるうるしながら読んでしまった…


でも、やっぱり自殺したクラスメイトの存在は悲しい。思った以上に尾を引いた。

自分の経験で、『緑のなかで』でもちょこっと親友の件を書いたけれど、それとはまた別の同級生も自ら命を絶った子がいてそれを思い出してしまった。

誰からも好かれて、トラブルなんて無縁なタイプで話しやすい子だったけれど、その子なりに何か悩みを抱えていたのかな?

進学して別々の学校だったけれど、お通夜の時に、『どうしてなんだろう』と皆で悲しんだのは覚えている。

同級生や家族にも見せている部分って一部なんだろうなと大人になった今なら分かる。

でも真相はやからないままだけど。



まあ、この話はこれが原因だったのでは?というのが決定的には書かれていないけれど、たぶんそうじゃないかという形で書かれている。

だからこそ、彗子と、亡くなったクラスメイトは話し合うべきだったのではないか?

そして、モヤモヤした気持ちがおさまらず、自殺か?事故か?微妙な感じだったので、事故だと思うことにした。

そうしなきゃ、なんだか亡くなったクラスメイトや彗子が報われない気がする。



この作品を読んで、惰性で日々を過ごすのではなくなにか目標を持って生きていかなきゃいけないなと思った。幸せ度数をあげていかないと人生もったいないな。


自分が高校3年生の夏って何してたっけ?全然思い出せない。部活を引退する前後は濃い思い出なんだけど、その後が覚えていない。

そして、45歳の夏はどんな過ごし方をしているだろうか?

後悔しないようにしたいな。


モヤモヤもあるけれど、青春時代の懐かしさも感じられる一冊。


前作でなんとなくこの方は短編の方がおもしろいのかも?と思ったけれど、長編も楽しい!!


早速こちらも予約したニコニコ 

 




ただ、45歳にしてはちょっと幼稚な気がするし、家庭があるのにそんなに家を開けて大丈夫なのか。よっぽど理解のある家族なんだろうなということを思ってしまった。。



次は町田そのこ祭り!

おもしろいかな?