金が動き、ドルが止まり、ユーロが天井を打つとき。
相場は静かに“全面円高”へ向かう。
今年の相場を見ていて、ひとつ強く感じていることがあります。
来年の主役は“円”になる。
私はこれを 「全日空(ぜんにっくう)相場」 と呼んでいます。
ドル円も、ユーロ円も、ポンド円も。
クロス円がそろって円高に向かう、あの独特の流れです。
■ 全日空が生まれる条件は3つある
ひとつひとつが、来年に向けて現実になり始めています。
① FRBの利下げでドルが弱くなる
金利が下がれば、ドルは自然と上値が重くなります。
これはドル円の上昇が止まる基本条件です。
② 日銀が金利正常化の段階に入る
日本が何十年ぶりに金利を動かす。
それだけで“円”という通貨の価値が見直されます。
③ ユーロドルが天井圏(1.18〜1.20)に近づく
ユーロの上昇が止まれば、ユーロ円も同時に止まります。
ここがユーロ円の本格的な転換点。
この3つがそろった時、
相場は静かに、しかし確実に 円高の流れへ切り替わる。
■ 歴史は同じことを3回繰り返している
リーマン前後、震災後、コロナショック。
どれも金が爆上げし、世界がリスクオフになった時期です。
そして必ずと言っていいほど、
円が世界で一番強くなりました。
ドル円は急落し、ユーロ円は一気に崩れる。
あれこそ典型的な「全日空」の動きです。
■ 今の市場も同じ匂いがする
金は再び上昇を始め、
米国は利下げサイクルに入り、
ユーロドルは上限の壁が見えてきた。
“条件がそろい始めた音” が聞こえるのです。
■ 来年の相場を読みたければ、円を見てください
155〜157円のゾーンは、ドル円の長期的な“頭”の可能性がある。
ユーロ円の180台も、歴史的な高値圏。
■ 最後に
来年、相場を動かすのは派手なイベントではなく、
積み重なった金融サイクルの転換です。
その終わりに現れるのが
「全日空(全面円高)」 という流れ。
相場の地図が書き換わる瞬間を、
静かに待つ時期に入っています。