自衛隊に入ろうという歌が昔あったがそれは進んではいろうという歌
じゃなく皮肉を効かせたプロテストソングだった気がする。今思うに多分
そうだったのだろう。自衛隊に入れるものなら入ってみたい気がする。
皮肉ではなく正味の気持ちで、入ってみたい。それは多分無理だろう
というおそれの裏返しからくる強い願いに近いものであり、自分の貧弱
な身体から立ち起こってくるジェラシーであったかもしれない。自衛隊が
志願制であったのを恨んでしまったことも幾度かあった。だから却って
国防に対する意識が高まってきたのかも知れない。
『昨年末、新防衛大綱が策定された。その目玉の1つが「動的防衛力
」と言われるものである。この理論を明解に説明できる方にはいまだ出
会ったことがない。恐らく、これを策定した防衛省自身も確たる理論づけ
はないであろう。』一言で言えば「動的防衛力」とは「防衛に当たるべき
時に動員できる基盤整備」ではないかと思われる。
法的整備も含めて、陸上自衛隊の人員・装備の効率化、予備兵力の
有効運用により事に当たれるように図るということだろうが、事程左様に
ゆかないのが現実であり、『「動的防衛力」という言葉が、我が国にとって
効果的な抑止戦略であると喧伝されていることにはどうしても合点がいか
ない。敵にとって最大の脅威は何か? それは、敵地に上陸した兵が手
痛い目に遭うことである。上陸する前の空戦や海戦で少々打撃を被って
も、それで片がつけば最も安易である。
そのためには、陸上戦力を充実させるとともに、国民が最後まで徹底
して抗戦する意思を持つことである。これがすなわち真の抑止力と言
われるものではないだろうか。』旧軍のようにしてはならないだろうが。
『今、若者の間では、ボランティア活動をしない人間は少々後ろめたい
気持ちを覚えることがあるという。かつての戦時中の若者の姿を彷彿さ
せるようだ。そして、若者の自衛隊の活動に対する評価も絶大なものが
ある。(?)これが、即国防意識の高揚に繋がると思うのは早計だが、
少なくとも来年の隊員募集には好ましい効果が得られるであろう。特
に、国防を真剣に考える若者の入隊が期待できる。』・・・かもしれない。
『
若者はなぜ3年で辞めるのか?
』(城繁幸著)において、若者の義務
感を評して、「彼等が義務を負っているのは自分自身の内なる動機に
対してだ」と述べられている。
『彼らの「内なる動機」に訴えるためには、国防とは、究極のボラン
ティア活動であり、自らの意思で「国家・国民のため」に銃を持つという
意識の涵養が必要とされる。』