またテッド・マッケンナ訃報からのネタでなんですけど、マイケル・シェンカー・フェストの後任ドラマーはどうするのな、と。
無難なところだと近年のテンプル・オブ・ロックで叩いていたハーマン・ラレベルなんでしょうね。
ところが僕はこのドラマー、蠍団以来あんまり印象に残ってないんですよ。個性ないし。蠍団ぐらいリズム隊が印象にないハードロックバンドって珍しいですよね。
それでMSGのファーストで叩いているこの人なんかどうかなと思いました。
サイモン・フィリップスです。近年のプレイを見ると生彩を欠いているようですが、全盛期は間違いなくスーパー・ドラマーでした。
自分がドラムをやるようになってこの人のドラムを聴いてみると、当時は珍しいフュージョン的なテクニックとロックドラマーのパワーを兼ね備えているドラマーでした。
MSGのファーストやジェフ・ベックの"There And Back"を聴いているとドラムスの音とグルーブが凄く独特でまるでサイボーグが叩いているみたいです。異様に低いチューニングが独特なんですが、ハイハットの音なんてサンプリングで出してるんじゃないかというぐらいみんな同じ音で本当に機械的なノリなんですね。
マイケル・シェンカーのArmed and Readyなんて、正確なグルーブなのにパワフルな8ビートで、今聴いてもこんなグルーブのドラマーは他にいないと思いますね。
僕はこの人の演奏を何回か見ることが出来ましたが、最高だったのは?と聞かれればミック・ジャガーの88年東京ドーム公演じゃないでしょうか。テレビで放送したアレです。
これは実際に観に行きましたけど、席がスタンドの思い切り上のほうでミックは豆粒のようにしか見えず、まあ雰囲気を味わいに行ったようなものでした。
録画したビデオを見たらこれが凄くいいんですよね。ミックのパフォーマンスは力が入ってるし、リサ・フィッシャーをはじめとするコーラス隊はセクシー&ゴージャス。まだ大御所になる前のジョー・サトリアーニのテクニカルなギター。もう一人のギター、ジミー・リップのキース・リチャーズの形態模写。あんまりリハーサルやってなかったんだろうなと思えるラフなライブでしたが、全員のノリが良くて楽しいライブでした。演奏もパフォーマンスも無茶苦茶よかった。
バブル真っただ中でしたからギャラが良くて楽しかったのでしょうね。
そんなバンドを牽引していたのが間違いなくサイモン・フィリップスのドラムスでした。「こんなパターンも出来るよ~」みたいな雰囲気が鼻につきましたけど、フィルイン、ストロークすべてがグルーヴィーでカッコよかった。
この時は間違いなく緻密で正確なグルーブかつパワフルな最高のロックドラマーでした。
今全盛期は過ぎてしまいましたが、MSFでまた見れたらいいな、なんて思いました。
映像はミックの東京ドーム公演のYoutubeにないようなので同年のメルボルン公演ので。
Mick Jagger/Honky Tonk Women Ausralian Tour 1988