Free as a Bird - The Beatles
前回、AIによる「ビートルズ最後の曲」について書きましたが、ビートルズ"最後の曲"が決定!?『ビートルズ"最後の曲"が決定!?』昔、こんな記事を書きましたが…ビートルズの最後の曲は??『ビートルズの最後の曲は??』ビートルズの最後のアルバムは?と聞かれたら、多くの人は『Abbey Ro…ameblo.jpその後少しずつ情報が出てきましたポール・マッカートニーは、「現段階では多くを語ることはできないが、はっきりさせておきたいのは、人工的に、あるいは合成的に作られたものは何もないということだ。全て本物で、私たち全員が演奏している。既存のレコーディングをきれいにしたんだ。これまで何年も行われてきたプロセスだ」リンゴ・スターも、「AIが作っているわけじゃないんだ。何かに見せかけているわけでもない。本物のジョンの声があって、ポールの声とベースがあって、ジョージのリズム・ギターがあって、僕のドラムがある。新しく録ったのはポールのベースと僕のドラムだね。数ヶ月前にやったんだ。それがうまくいってね。美しい曲だよ。狂った部分も出てくるんだけど、それでもなお美しい曲なんだ。そして、僕らの最後の曲だよ」製作に至った理由については、「僕には分からないよ。ポールが暇だったんじゃないかな」だそうです(笑)「『僕らがやったこのトラックを知っている?それに取り組んでみたくないかい?』ってポールが言ったんだ。僕はドラムを叩いて、歌っているんだけど、感動的なんだよ。4人全員が参加しているからね。もう二度とないだろうね」また、ジョンの息子であるショーン・レノンは、「みんな、この話を深く誤解していると思う。AIは、父のヴォーカルトラックからノイズを取り除くだけだった。それだけ。それ以外は何もしていない。この曲は、父が録音したデモを、他のビートルズが仕上げたものなんだ。まさに“Free as a Bird”と同じで、ただオリジナルのヴォーカルが少し汚かったので、AIでノイズを取り除いただけなんだ。偽物というわけではない。ビートルズ4人全員による新録音。父の声は、ノイズを除いた録音通りの声なんだ」なるほど前回、AIでポールの声を若返らせたり、ジョージの声を再現したりという情報もありましたが、それは無さそうですね。ジョージも既に録音していたとなると、やはりアンソロジープロジェクトでお蔵入りとなった『Now And Then』を仕上げたということでしょうか。原曲が未完成すぎてジョージは反対したと言いますが果たして…さて、ショーンのコメントにも登場したように今回のニュースでこの曲を思い出した方は少なくないはずFree as a BirdThe Beatles1995年発表の『The Beatles Anthology 1』に収録。シングルとして全英2位、全米6位を記録。ビートルズ25年ぶりの新曲として話題になりました。当時、私は小学生でしたが、全く記憶にない( ̄▽ ̄;)そもそも音楽に興味が無かったからなぁ。ドラゴンボールZ、ラッキーマン、ビーファイター…そんな時代でした。一連のアンソロジープロジェクトをまとめた特番が、この年の大みそかに放送されましたが、視聴率は3.3%と惨敗でした(これももちろん記憶にない😅)紅白の真裏で5時間半ずっとビートルズ…今の私でも録画して小分けで見るレベルなのに、日本の、それも大みそかに流したテレ朝はかなり攻めたなと思いますそもそもこのアンソロジープロジェクトは何なのかといいますとビートルズ解散後、その未発表音源は膨大な数に上り、海賊盤として出回っていました。EMIはこうした状況に対抗する形で、公式に未発表音源を集めた『The Session』を1985年に発売しようとしましたが、ビートルズ側と折り合いが付かず頓挫。しかし、企画自体はおそらく残っていたんでしょう「アンソロジー(詩集)」と題して、まず1枚目が95年11月に発売されました。そこからさらに2枚が少し期間を開けて発売され、計3部作で完結しました。また、アンソロジーには非常に大きな目玉がありましたジョンが生前録音していたデモを、残った3人のメンバーで仕上げビートルズの新曲として世に出す…それが「Free as a Bird」であり、2枚目に収録された「Real Love」でした。デモ段階の「Free as a Bird」オノ・ヨーコからデモテープを託されたポールは、ジョージとリンゴと共に1994年2月〜95年3月にかけて新曲を製作。ただ…解散前後に相当揉めたのは周知の事実、再集結してすぐに何事もなかったように、とはいかなかったのでしょう。製作が決まった時のことをポールはこう振り返っています。「ヨーコには『僕らにいろいろ条件を付けないでくれ。これは精神的にとても難しいことだから。僕らは2時間もスタジオで一緒にいたらお互いが嫌になって出て行くかもしれないから。今ですら十分キツいんだからね』と言った」リンゴはともかく、ポールとジョージは…3人が集まるということ自体、まず奇跡だったのかもしれませんね😅プロデューサーはELOで知られるジェフ・リン。ジョージの推薦で起用されました。87年作の『Cloud Nine』プロデュースやTraveling Wilburysでお馴染みですねあれ?ジョージ・マーティン先生は?残念ながら聴力の衰えを理由に辞退しています。リンは大のビートルズファンですし、70年代〜80年代のビートルズサウンド後継者でしたから、適任だったのでしょうまぁ、ワガママですがマーティン版も聴いてみたかったという気持ちもありますリンは当時の作業の苦労をこう語っています。『ビートルズの「フリー・アズ・ア・バード」…もう1つ「リアル・ラヴ」もやったね。あれをやるのは事実上不可能みたいなものだった。「何てことだ。僕にできるのか?」と思ったよ。でも、ビートルズのみんな僕が適任だと思ってくれたんだ。だから何とかしてカセットから声を抽出する方法を考えなければならなかった。普通はできないからね。ジョンが曲を書きながら録音した音源だった。弾きながら曲を覚えていくような。タイミングも合っていなかった。モノラル録音で、ピアノの音がヴォーカルと同じくらいの大きさなんだ。そこに入っているヴォーカルを抽出するのは本当に大変だった』そうなんですよね。取り掛かったのは1994年。まだWindows95だって出ていない時代。いくら当時の最新技術を駆使しても、雲を掴むような話だったと想像します。しかし、ポールのサポートで山が動き始めます。『ポールがスタジオに来てくれたとき、素晴らしいことをやってくれた。ジョンの声に重ねるようにゴーストとして歌ってくれて、もう少し実体のあるヴォーカルになったんだ。彼がヴォーカルに少し深みを加えてくれたおかげで、運よくヴォーカルを抽出することができたんだ。できたときは信じられなかったよ。ジョンの声を、ポール、ジョージ、リンゴで新たにレコーディングした曲に入れ込んだのは真夜中のことだった。みんな帰って、エンジニアだけ残ってもらってね。みんながいるときに1回目をやって「うわ、メチャメチャにしてる」なんて思われたくなかったから、誰もいないときにやったんだ。ジョンの声を指1本でサンプリングした。スピードが遅いところは少しいじってね。テンポらしいものは勿論全くなかった。3つの違うテンポがあるような感じだった。それを調整して、調整して…とやっていったら段々整っていったんだ』やはりジョンとポールの声の相性は抜群現代ではこれをAIがサラッとやっちゃうんですから、技術の進歩はすごいですね。ビートルズの新曲を前代未聞の方法で手がけるなんて、リンのプレッシャーは半端じゃなかったでしょう『翌朝ポールがスタジオに来て、エンジニアが彼に音を聴かせていたとき、僕はキッチンに座って「気に入ってもらえるといいけどなあ…」と思っていた。そうしたらポールがやってきて、僕を大きくハグしてくれるとこう言ってくれたんだ。「よくやった!やってくれたよ!」あれは本当に嬉しかったね』苦悩が報われた瞬間ですねさて、長くなったのでもう一度PVを終始、鳥の目線で描かれる世界観が素晴らしいメンバーの幼少期の写真を起点に、バンドの歴史を辿っていく構成となっています。また、ビートルズの曲を連想させるシーンが次々と登場するので、「あ、これはPaperback Writerだ!」とか謎解き感覚で見れるのも楽しいですかなりの数があるので、皆さんも探してみてはいかがでしょうか??あと、このPVで流れている音源は2015年の『ビートルズ1+』発売に際しリミックスされたもので、95年アンソロジー収録版とは少し違っています。Wikipediaによると、・ジョンのヴォーカルのエフェクトが消えている・ガイドで歌っているポールのヴォーカルがはっきり聴こえる・ジョージのヴォーカル部分が別テイクになっている・アウトロのジョンの台詞"Turned out nice again"が逆回転でない他にもドラムのエコーや音の質感、ステレオの定位、楽器の個々のバランスなどが違うそうです。95年版はこちらうん、やっぱりこっちの方が聞き慣れてるリンゴのドラムを合図に、伝家の宝刀ジョージのスライドギターが続きます決して長くはない…しかし、このイントロだけでタイムスリップするには十分でしょう。ジョン、ポール、ジョージと歌い継ぐ構成は今までになかったんじゃ?ブリッジ部分が未完成だった為、ポールとジョージが歌詞を加えて仕上げていますが、ヴォーカルを分け合うのは誰のアイデアだったんだろう🤔現代にビートルズを改めて紹介する、もしくはこれぞビートルズ!と明確に押し出したようにも聴こえます。もしジェフ・リンだったら、ファン目線だなぁ(笑)ジョージパート終わりの、ギターとコーラスの重なりは感涙モノですアウトロのウクレレはまたもやジョージ。遺作にも使われていましたね。ジョンの台詞の逆回転はビートルズらしい遊び心があって良い「Made by John Lennon」と聴こえなくもないのがマジック。こう振り返ると、ジョンはともかくジョージが結構フィーチャーされているような…ポールがだいぶ譲歩したのかな、なんて次は「Real Love」に続きますAnthology 1Amazon(アマゾン)1〜8,428円Anthology 2Amazon(アマゾン)1〜4,879円ANTHOLOGY IIIAmazon(アマゾン)238〜6,495円