生まれたて | 負けるが勝ち犬

負けるが勝ち犬

40歳を前に突然会社を辞めてしまった女、独身。しかし、ここからが真骨頂の「リアルタイムサクセスストーリー!」…勤労意欲をなくすこと1年10カ月。のち、不惑にして東京デビューの荒技に出るも、2年後の春にリストラに!またまた崖っぷち~!

このたびの一連の(上京について)件について、

ふと感じたことがある。


人の一生というか、生死というか、輪廻転生とい

うか、そんな展開のように思えるのだ。


東京(来世)へいくかどうか迷っていた頃は、ま

さに往生のときであり、かつ、仙台(現世)に未

練を残し成仏しきれない浮遊霊というか、地縛霊

の時期である。


各方面からの情報や説得をうけ、上京の決意を固

めたことは、ありがたいお経をあげてもらい、い

よいよ現世を去り、次のステージへ向かう決心が

できたということ。


引越しの日、夕方からの荷物運びが終わり、最後

の最後に住み慣れた部屋のブレーカーを落とすと

、そこからは一切の光が消えた。


夜行バスに乗るために、一人夜道をスーツケース

をガラガラ引きながら歩いていく。
現世との別れ道…。


途中、腹ごしらえにファミレスに立ち寄りつかの

間の休息。


夜行バスに乗り込むと、車内は消灯され、沈黙の

世界が広がる。


翌日早朝、新宿駅へ到着。
それぞれが最終目的地を目指して散っていく。


鍵を差し込んで、新居の扉を開けた。
あまりの眠さに、そのまま畳の上でうたた寝をし

た。
少しして目覚めると、部屋の中にはまばゆいばか

りの光が差し込んでいた。


引越屋さんがくるまでの間、近所を散策。
素敵な喫茶店、花屋さん、骨董品屋さん…。
ウキウキ、わくわくしながら街を歩く。


どうやら、ここは極楽らしい。


引越しの荷物整理の合間をぬい隣駅にある公園へ

花見なんぞにも出かけてみた。
満開の桜。
デパートで洋服も見てくる。


こうして、極楽浄土のあの世で一週間を過ごした

のち、四月、前世からの約束どおり、四ツ谷にあ

るオフィスへと向かった。


新たなる使命を背負って…。