それは5年ほど前の8月のこと。
午後の2時すぎ。
1日の内で1番暑い時間帯。
玄関のチャイムがピンポンと鳴った。
出てみると、そこには何と、
10歳くらいの少年がふたり。
「ケガをしたので、バンドエイドもらえませんか?」
見ると1人の少年の手には小さな傷がいくつかあって、
確かに血がにじんでいた。
「あらまあ、大変!」
そう言って私は2人を家にあげ、
ケガをしている少年に、まずは水道で傷口を洗う様に告げた。
もう1人の少年は、心配そうに友人を眺めながら、
一生懸命、私に説明を始めた。
「あのね、自転車の上にね、猫が乗ってたの。
だから追い払おうとしたんだよ。
いじめたんじゃないの。
悪い事はしてないのに、ひっかいて来たんだ。」
そうだったんだ。
大変だったね。
そう言って私は少年のキズを消毒し、
(シミると思ったんだけど、平気そうだった。緊張してたからかな?)
2人の希望通り、バンドエイドを貼ってあげた。
それから、
「多分、これで大丈夫だと思うけど、
猫にひっかかれた訳だから(猫の爪を甘く見てはいけないからね。)
もしかしたら病院に行った方が良いかも?
一応、お母さんに電話して、病院に行った方が良いかどうか聞こうね。」
と言って、電話をかけてもらった。
母親の声を聞いて安心したのか、
「消毒したんだったら、大丈夫だって!!」
ケガをした少年ははにかみながら、そう言った。
「ありがとうございました。」
と、礼儀正しく我が家を後にした少年達に、私は思ったよ。
そうね。
何も悪い事をしていないのに、
傷つけられる事もある。
それもまた、人生。
全ての敵から、
あなたを守ってあげる事は出来ないけれど、
でもせめて、覚えておいて欲しい。
私がいつも、ここにいるって事を。
いつでもあなたのキズに、バンドエイドを貼ってあげるよ。
その位の事しか、出来ないけどね。
しばらくすると、またピンポンとチャイムが鳴った。
随分来客が多い日だな~と思って出てみると、
またまた、さっきの少年達。
どうしたの?
という顔をしていたら、
「バンドエイドのお礼!!」
と言って、サンタの人形を渡された。
おやまあ何て、季節はずれな、
そして素敵なプレゼントでしょう!!
小さなサンタの人形が、
まるで宝石の様に貴重な物に見えたよ。
こちらこそ、
どうもありがとう。

2010年8月23日
http://ameblo.jp/abalonetopia/entry-10627477087.html
この記事を書いてからもう5年以上。
少年たちは、きっともう
中学生か高校生になっただろう。
彼らは覚えているだろうか?
猫の傷にバンドエイドを貼った家のことを、
真夏に届けたサンタクロースを。
でもね、君たちが届けてくれた優しさは、
12月が来るたびに、
我が家のツリーを飾ってくれてるよ、ありがとう。