午後の2時すぎ。
一日の内で一番暑い時間帯。
玄関のチャイムがピンポンと鳴った。

出てみると、そこには何と、
10歳くらいの少年がふたり。
「ケガをしたので、バンドエイドもらえませんか?」

見ると1人の少年の手には小さな傷がいくつかあって、
確かに血がにじんでいた。

「あらまあ、大変!」
そう言って私は二人を家にあげ、
ケガをしている少年に、まずは水道で傷口を洗う様に告げた。

もう1人の少年は、心配そうに友人を眺めながら、
一生懸命、私に説明を始めた。



あのね、自転車の上にね、猫が乗ってたの。
だから追い払おうとしたんだよ。
いじめたんじゃないの。
悪い事はしてないのに、ひっかいて来たんだ。



そうだったんだ。
大変だったね。

そう言って私は、少年のキズを消毒し、
(シミると思ったんだけど、平気そうだった。緊張してたからかな?)
二人の希望通り、バンドエイドを貼ってあげた。

それから、
多分、これで大丈夫だと思うけど、
猫にひっかかれた訳だから(猫の爪を甘く見てはいけないからね。)
もしかしたら病院に行った方が良いかも?
一応、お母さんに電話して、病院に行った方が良いかどうか聞こうね。
と言って、電話をかけてもらった。

母親の声を聞いて安心したのか、
消毒したんだったら、大丈夫だって!!

ケガをした少年ははにかみながら、そう言った。



ありがとうございました。
と、礼儀正しく我が家を後にした少年達に、私は思ったよ。

そうね。
何も悪い事をしていないのに、
傷つけられる事もある。
それもまた、人生。

全ての敵から、
あなたを守ってあげる事は出来ないけれど、
でもせめて、覚えておいて欲しい。

私がいつも、ここにいるって事を。
いつでもあなたのキズに、バンドエイドを貼ってあげるよ。
その位の事しか、出来ないけどね。



しばらくすると、またピンポンとチャイムが鳴った。
随分来客が多い日だな~と思って出てみると、
またまた、さっきの少年達。

どうしたの?
という顔をしていたら、

バンドエイドのお礼!!

と言って、サンタの人形を渡された。
おやまあ何て、季節はずれな、
そして素敵なプレゼントでしょう!!



小さなサンタの人形が、
まるで宝石の様に貴重な物に見えたよ。

こちらこそ、
どうもありがとう。

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