2017年7月31日 郷原信郎が斬る

【転載開始】

■Tomoaki Kitaguch(北口)氏による
  【 加計問題の真相?(フィクションとしてお楽しみください)】

 新たな報道を見聞きして、「加計問題の真相」は、
巷で議論・想定されている内容とは違うところに
あるのではないか、と考えるようになりました。

 以下、報道されている情報を基に、
国家戦略特区ワーキンググループ(以下、特区WG)の
視点から構成した「フィクション」(少なくとも、現時点では)
を掲載します。

信じるか信じないかは、あなた次第です。

*   *   *

 『獣医学部新設の制限は、株式会社による農地保有
の禁止などと並んで有名な岩盤規制だ。
だから特区WGは、2013年の特区制度設立時から、
「国家戦略特区がこれらの岩盤に穴を開けなかったら、
国家戦略特区の存在意義を問われる」と考えていた。』
(特区WGについて、WG座長・八田氏)

 安倍首相のビッグスポンサーであるが故に「籠池氏の
二の舞」とならないだけで、加計学園は「利用された」
のだ。
渦中の人となっている、安倍首相・萩生田氏といった
政界の大物たちも「利用された」のだ。誰に? そう、
「規制緩和ありき」で獣医学部新設を推進してきた、
特区WGに、だ。

 現在の疑惑の中心は、安倍首相・萩生田氏を始めとする
官邸関係者だが、獣医学部新設の実働部隊は、特区WG・
内閣府。
実働部隊が共有する行動理念は「何がなんでも、
獣医学部を新設し、岩盤規制を打破する」というもの。
つまり、当初は「加計ありき」というより「規制緩和ありき」
だった。
悩みの種は「どうすれば、文科省と獣医師会をねじ伏せら
れるか」ということ。
彼らにとっては、岩盤規制にドリルで穴を開けることさえ
できれば、特区の指定先はどこだって良かった。

 獣医学部新設は、特区WGの「実績づくり」のために、
致命的に重要だ。
「日本の検疫行政の未来」や「石破四条件との適合性」と
いった観点から、慎重に政策の妥当性を検討する暇などない。
最速で規制緩和をしなければならない。
しかし、文科省と獣医師会の抵抗は、想定以上に強力だ。
「特区が実現しさえすれば、メリットのエビデンスは腐るほど
付いてくるはず…。
そうなれば、文科省や獣医師会はぐうの音も出なくなるのに…」。
市場原理を妄信する特区WGは、皮算用を始めていた。

 16年3月時点で公募に応じたのは、加計学園と京都産業大学
の2校。
「平成30年開学」というゴールから逆算して考えると、
京都産業大学では間に合わない。
長年申請を続けてきた(程度が低かったのか、15回却下されて
いるが)加計学園の方が、準備も進んでいるはずだ。

 8月に地方創生相が、石破氏から山本氏に代わった。
これを「官邸からのメッセージ」と捉えた特区WGは、ついに
加計学園に白羽の矢を立てる。
「規制緩和ありき」が「加計ありき」に変わった瞬間だった。
「加計学園で、ほぼ確定」と内定を伝え、開学への準備を
急いでもらう。
一般公開されていない裏情報を渡したり、申請書の内容に
アドバイスしたりして、認可のハードルを下げるといった
工作もした。

 文科省・獣医師会の同意を未だ取り付けられていない中で、
「見切り発車」を一私大に求めることには、懸念もあった。
交渉が上手くいかなかった場合、莫大な損失を与えながらも、
政府として責任を取ることは不可能、という事態に陥りかね
ないのだ。
しかし、特区WG内部では、「加計学園なら、大丈夫だろう」と
いう打算があった。
加計学園の、圧倒的な「政治的コネクション」に賭けたのだ。

 パートナーの愛媛県知事・加戸氏は、言わずと知れた「アベ友」。
「愛媛県への大学誘致」(獣医学部新設ではない)を悲願とする
彼は、獣医学部新設に並々ならぬ情熱を注いでいる。
しかも、文科省のOB。加戸元知事だけではない。
加計学園サイドは、政界に強い影響を持つ人物を、
多数擁している。
安倍首相と加計理事長は、自他ともに認める「腹心の友」の
間柄。
千葉科学大学客員教授を務める萩生田氏は、内閣官房副長官。
加計学園で理事を務める木曽氏は、元内閣官房参与で、
文科省OBだ。

 「加計学園で行きます。でも、文科省と獣医師会がうるさくて…」。
こう伝えれば、特区WGの感知しない部分で、憎き文科省・
獣医師会に「政治的な圧力」をかけてくれるのではないか。
「獣医学部新設のためなら、どんな手段でも使う」、
そう胸に誓った特区WGにとって、「加計ありき」路線の選択に
迷いは無かった。
この判断を端緒として、単なる「規制緩和ありき」の段階では
考えられなかった速さで、事態は進展していくことになる。

 果たして、先述の面々は、様々な形で「政治的な」折衝を行った。
16年9月~12月のことである。
文科省の前川事務次官には、あの手この手で揺さぶりをかける。
獣医師会には、山本大臣が直々に馳せ参じる。
この時点では「加計ありき」は隠さなければならないのだが、
山本大臣は「加計で行きます」と口を滑らせてしまった。
根が正直で、政治工作に向かないのだろう。
何はともあれ、各員の努力が奏功して、文科省・獣医師会の
抵抗も徐々に収束してきた。

 「加計ありき」路線に同調する権力者が、各所で「総理の意向」
をちらつかせたのは、大きかった。
内閣人事局と国民の支持率に由来する「絶大な権力」を有する
安倍晋三に盾突く者は、もはや日本の政界にはいない。
また、案件が「獣医学部新設」であるだけに、「総理の意向」の
中身についての「ミスリーディング」が期待でき、実質的な圧力は
二倍。
というのも、「スピード感を持って規制緩和する」という「総理の意向」
を、それとなくボカして伝えるだけで、「加計学園で何としても
獣医学部新設を実現する」とのメッセージとして解釈してくれるの
だから、扱いやすい。
どうせ、オトモダチの加計理事長から色々頼まれているのだろう
から、罪悪感など欠片も無い。
規制緩和のために、有効に活用させてもらうまでだ。

 交渉の過程で飛び出した、「獣医学部の空白地帯に限る」や
「一校・一地域に限る」といった後付けの条件は、最終的には
「全国展開」を見据える特区WGとしては不本意なものだが、
「加計ありき」で動いてくれている人々にそれを言っても仕方の
ないことだ。
「1つの区域で規制改革が認められれば、他の区域でも認めら
れる」という「特区ルール」を発動させることができれば、「事情が
変わった」などと言い訳して、ちゃぶ台返しすれば良い。
加計学園で実現すれば、後はどうとでもなる。後付けの条件で
京都産業大学も手を下してくれたし、向かうところ敵なし。
8月の文科省設置審で不認可にでもしようものなら、
「総理の意向」で文科省解体しまっせ…(脅迫)。

 規制緩和バンザイ! 自由競争バンザイ! 安倍首相バンザイ!

*   *   *

 …以上、北口の妄想でした。
安倍首相・萩生田官房副長官・前川前次官・加計理事長・
加戸前知事…などと、役者揃いの「加計問題」ですが、
どうも彼らは「何者かの手玉に取られている」感が、半端ない。
では、この問題に「黒幕」がいるといたら、誰か。
「規制緩和ありき」で突き進んできた特区WGなのではないか。
「獣医学部新設」という彼らの目標を実現するために、安倍首相も
「加計ありき」の人々も、利用されたのではないか。
このような直感と、「疑惑は確かに存在しているのでは」という
素直な実感に従って、ストーリーを描いてみました。

 あくまでフィクションですが、既存の報道と不整合な部分があれば、
ご指摘願いたいです。
僕が知っている範囲の情報とは、整合性が取れるように組み
立てているつもりですが…。
現時点では、きちんと突っ込み始めたらキリがないくらいのミスは
ある気がします。

最後に、もう一度。「「信じるか信じないかは、あなた次第です。」」

【転載終了】

*****************************
 フィクションと銘打っていますが、
ちょっと面白い角度からの見方だと思います

 郷原氏によると、これを書いた北口氏は、
フェイスブックに掲げられている「ディベート甲子園」、
「地学五輪」、「数学理科甲子園」等での輝かしい成績から、
“灘高校3年在学中の高校生”と特定できると書いています。


 個人的な推測ですが、灘高校3年生ということと、
“信じるか信じないかは、あなた次第です。”
というフレーズから、東京大学謎解き制作集団AnotherVision
を意識しているような気がします。・・・蛇足ですが!