この土地は、都心が近いにもかかわらず地下から水が湧く(煮沸は必要だそうですが)。

そして、その湧水は川になり、やがて東京湾に注ぐ。

 

 

このような自然の営みが東京のすぐそばにある。都心から引っ越してきた私には、

正直かなりの驚きであり、時間が経つにつれ、密かな癒しとなった。

 

 

これまでの都心の生活の中で見てきた川は生活水が流れ込み、可愛い水鳥たちの

餌場としては、いささか申し訳ないようなコンクリートの護岸で覆われた水路であり、

いのちの水が流れる川は綺麗であって欲しいと願う私の潜在的な欲求を抑えながら、

そのほとりを散歩するしかない場所だった。

 

 

 

 

東京の大環状線が走り都市再開発の波に揉まれつつも、いまの東京をかたち造った

大いなる河川の恵みを豊かに享受したこの大地は、大袈裟かもしれないが

遠い昔から人々が川の恵みを受けながら生活を営んできた忘れられた楽園のようでもある。

今でも、開発のため土を掘り起こせば古代文化の痕跡が姿を現すようだ。

 

 

このような地を新たな生活の場として私にくださった、姿の見えない神様に心から感謝した。

 

 

引越しの忙しさがまだ冷めやらぬ春の日、私はそんな密かな喜びを抑えきれず、

水が湧く、その場所をひと目見てみたいと願い、自宅を後にした。

 

 

確かに湧水がある。地層のミルフィーユに魔法をかけられた清冽な水は、旧街道の

宿場街を潤す湧水群として数えられ、ウェブ上を探せば幾つかのマップに表されている。

 

 

ああ!この素晴らしい土地を、湧き水を、話せばその価値をきっと分かってくれる

であろう友人に知らせ、この場所に招待したい。

 

 

願わくばともに川のほとりを歩きながら、神様がくださった恵みを感じて欲しい。

 

 

神様から与えられた豊かな恵みを。