超短編五百文字ストーリー


誘い


優子「何処に行ってたんですか」優子は康二にしつこく聞いてくる。二週間もLINE返信をサボった康二にしつこくせまる。

康二「ジャマイカに行ってた」

優子「私をなぜ誘わなかったの」

康二「行きたかった」

優子「です」

康二「じゃ行く、今のは嘘。でもポケットに飛行機のチケット二枚持ってる」

優子「えっ」

優子は康二の誘導にまんまと乗せられた。


昭和の男


敏夫「優子さんの電話番号教えろよ」

やがて75になる昭和生まれの男。敏夫に、康二は尋ねた。

康二「いきなり電話ですか」

敏夫「恋は一直線」

康二「今は時代が違います。セクハラで訴えられますよ」

敏夫「お前は友達のくせに電話してるじゃないか」

康二「なに言ってんですか、電話にこぎつけるのに、5年の年月をかけてますよ」

敏夫「いまは、そんな時代か」

康二「素人ですよ。敏夫上司。キャバ嬢。風俗嬢じゃないですよ」

敏夫「そうか」

康二「たまには、若者のtiktokで、勉強でもしたら」

敏夫「どうやって見るんだ」

康二「上司は年収700万でしょ。私は、二百万ですよ」

敏夫「悪かった。上から目線で。悪かった」

康二「団塊の世代はこれだ。訳のわからない。紙に書いてある文字を破ろうとしたら。あの時。何と言いました」

敏夫「覚えてない」

康二「おまえ、取締役からもらったサインを破るきか、土下座しろ」

確かに。ゴッホが書いた。円のマルは一億円の値がつくかもしれぬが。この上司のサインは一銭の価値もないわ。


いじめ


敏夫「おまえなにやっとんじゃ」

社内では、敏夫の仕事のできない康二へのいじめは有名で、下請け会社にも話題になっていた。

A派遣さん「あのいじめられてるのは派遣社員だろ」

B派遣さん「怒鳴ってるのは正社員の敏夫上司だ」

康二には若い奥さんと三人の子供がいる。康二は家に帰ると。

奥さん「その目の腫れどうしたの。毎日酷くなってる」

康二「工場が、狭くて。俺。身体大きいからぶつかってばかりだ」

ある日のこと

敏夫「おい。早く刃物交換して機械を回さんかい」

「ビシッ」

敏夫「なんだ、いま、目の前を横切ったのは」

A派遣さん「刃物です」

康二は慌てふためいて。刃物交換のボルトのネジを閉め忘れていた。

B派遣さん「ヒヤリハットより怖い。いじめの仕返し」

その瞬間、康二は、初めて仕事中に笑みをこぼしたのであった。


創作作品