ーミャンマーでは抗議活動をする市民が国軍に弾圧され、現地の人権団体によると、これまでに1000人以上が殺害された。アフガンではタリバンが復権して混乱が加速し、女性の権利が極端に制限されることへの懸念も強まっている。手紙は、ミャンマーとアフガンが置かれた状況に共通点を感じたヒビッツ教授の提案で執筆された。
「『法を超越する人はいない』と法律の教科書には書いてある。でもアフガンではタリバンが、ミャンマーでは国軍が、臆面もなく法の上に座っている。こんな無法の国で、どうやって正義と人権について語ることができるのか」
「私たちの将来は無慈悲にも盗まれ、奪われた。あなたたちは、怒り、悲嘆、絶望、無力感を一度に感じていることだろう」
過酷な状況にある互いの国への絶望。だが、力強い言葉も続く。
「ミャンマーで私たちは毎日、デモに行く。恐れ知らずだからではなくて、正義を実現する決意に突き動かされているから」
「不正義が法律になるとき、抵抗は義務だ。恐れる気持ちを乗り越えて何かを成し遂げようと決意することを『勇気』と呼ぶのではないだろうか」
「時には何も変えられなくて自分たちが無力だと感じることもあるけれど、どんな努力でも革命につながる」
手紙の公開後、ヒビッツ教授のもとに、ジュリストの執筆陣の一人であるアフガンの女子学生からこんな返信が届いた。「涙が出ると同時に、心強く感じた。今は大変でも、私たちは再び灰の中から立ち上がる」
ヒビッツ教授は毎日新聞の取材に「最初は紛争の中で生きる彼女たちの声をウェブサイトで届けたいという気持ちがあった。結果として互いを励まし合うことになった。すさまじい経験をする彼女たちのような人たちが、世界を変えていくと思う」と話した。
執筆した学生は、ヒビッツ教授に執筆の裏話を打ち明けた。最初は思いがあふれてしまい、自身を落ち着かせるためにボイスレコーダーに伝えたいことを吹き込んだという。「彼女たちが目の前にいると想像してボイスレコーダーに話しかけた。それをまとめて、2、3時間で書き上げた」
明けない夜はない。希望はある。そんな思いを手紙の最後にこう、したためた。
「ミャンマーには『悪人は長生きする』という言い伝えがある。よく食べて、よく眠ることをお勧めする。悪人たちより長生きして、輝かしい未来の目撃者にならないといけないから。どんな暗い雲もその裏側は輝いているから、いつかはきっと光が差し込んでくる」【バンコク石山絵歩】
毎日
ミャンマーはひどいことになる。
明けない夜はないとはいえ本当に明けそうもない。
あの国には法を超越する人がいる。