Funeral Wreath -409ページ目

【無邪気】2

【無邪気】1の続き




―愛しい人にはキスを―





「グレン?」




声につられる様に顔を上げれば、翡翠が視界に飛び込んできた。





「あの、すまない・・・嫌だったかい?」




小首を傾げながら本当にすまなそうに見上げてくる。

髪に触れるのを拒否されたと思ったのだろうか。


近い。


自分が手を取っているのだから当然だが、離すのは惜しい気がした。

取り敢えず上げたままの手をゆっくりと降ろす。


「グレン・・・?」

「ジャック」


名を呼んだ自分の声が肺に響く。


手の中に収めたジャックの手の甲に、身をかがめて、唇で触れる。



「ッグレ・・!?」



途端にジャックは手を引っ込めた。顔を真っ赤にして。

彼の手を取っていた自身の手を見つめる。やはり惜しいことをした。



何時もの奔放さは何処へ行ったのか、真剣に動揺しているようだ。

目の視点が落ち着かない。



「嫌か?」

「・・・へ?」

「嫌かと聞いている」

「ぇ・・・嫌とかでは・・無くて、」

「無くて?」

「だから・・・ちょっとびっくりして・・」

「・・・・それで?」

「っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


黙ってしまった。少々意地悪が過ぎたか。

顔を赤くしたまま頭を抱え、ぐるぐると考えている。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・~~~っずるい!」



またしても沈黙を破ったのはジャックだった。

涙を滲ませて恨みがましそうにこちらを見てくる。

しかも「ずるい」というおまけ付きだ。実際たった今思ったことだったが。




「・・・そうだな」




肯定すれば、逆に驚いたのか固まってしまった。


「・・・そこは何が?とか返すところじゃないか?」

「お前のセリフを借りるなら、自覚があるならずるくないと言ったところで

 意味はないだろう」

「ま・・・ぁ・・・そうだけど・・・・って、自覚があるんじゃないか」

「だから先ほどからそう言っている」

「・・・・・・・・・・・・・・・・意地悪は進行中な訳だね」


はぁ、とため息をつかれてしまった。

本人には申し訳ないが、ころころくるくると変わる表情が面白い。

否。愛おしいとさえ思っているのかもしれない。


「・・・やっぱりずるいな、グレンは」

「みたいだな」


くすくすとジャックが笑う。

つられてこちらの口元も緩んでしまう。


「肝心な事は言わないで、相手に言わせようとする」

「・・・ジャック」

「う~ん・・まぁ、世の中言わなきゃ伝わらないこともあるけど、

 今回は違うみたいだよ」

「?」


言葉の意味を一瞬考える内、ジャックが私の手を取った。




そのまま一礼する様に、優雅な物腰で、私の手に口づけた。



その動作に目を奪われているうちに、ジャックは私から離れていた。




「・・・!?」


覚醒した頃には、彼は庭の柵に手をかけている。


「じゃあ、そういう事で」

「おいっ」

「また来るね~」


トンッと軽く飛び上がるとジャックは柵を越え、茂みの中で見えなくなった。




「逃げられたか」



本当に?



いや、心までは逃げられていない。

最後のアレは彼の返事だ。




ジャックの唇が触れた手の甲を見つめ、それに重ねるように

自分のそれを口づけた。








【無邪気】end
















≫おぉう、おかしいな;;どっちが攻めだ・・;;;;

 初めはグレンが気付いた時に手をぱっと離してたんですが

 それだと彼があまりにもヘタレてしまったのでグレジャク部門としては

 書き直しとなりました;;;借りたセリフはジャックがロッティと

 初対面したシーンから。