【一人】
*レイブレ
*レイム目線で。
『彼』が血を吐いた。
『彼』の胸には刻印があった。
『彼』は後どれくらい、私の傍に居る?
【一人】
「オヤ、レイムさんじゃありませんカ」
廊下の向いからへらへらと笑う男が私に声をかけてきた。
毎度のことながら、もう少し締まりのある顔は出来んのかアイツは。
「ザ-クシーズ・・・お前自分の仕事は終わったんだろうな」
「・・・またまたレイムさんったら~お固いんですから」
「・・・終わってないんだな?」
「そうは言ってませんヨ」
「・・・・。来い。見てやる」
「ちょ、ワタシこれから用が・・・・」
「嘘つけ」
逃げようとするブレイクの腕をつかみ、取り敢えず彼の部屋へ
引きずっていった。
案の定、彼の机には白紙の書類が山積みだった。
「・・・・・・・おい」
「嫌だなレイムさん、ちゃんと後でやるつもりでしたヨ?」
「・・・・・手伝うから、さっさと片付けるぞ」
書類を半分に分け、机にブレイクと向かい合って座った。
ため息をつきながらも二人で書類にペンを走らせる。
黙々と作業する中、ちらりとブレイクの顔を盗み見た。
体調は良さそうだ。色が白いのは元々だから、今の肌の色は
比較的安定していると言ってもいい。
「・・・?どうかしました?」
「いや、・・・今は大丈夫なんだな」
書類に目を戻し、さり気無く言ってみた。
彼は一瞬首を傾げたがすぐに「あぁ」と苦笑を浮かべた。
「あの時はすみませんでした」
「そう思うなら、・・・あまり心配をかけるな」
「・・・・・そうですネ~」
くすくすと笑う声。顔を上げれば赤に視線を囚われた。
脳裏に浮かぶあの時彼が吐いた血の赤。
消えればいいと思った。
あの赤は彼から命を奪うから。
でも、この赤は駄目だ。
この赤は彼の命を灯しているから。
「・・・ザクス・・・・・?」
「私の時間はもうあまりありませんが、確かにレイムさんの
気を揉ませるのはワタシも心が痛みマス」
「・・・・・そんな事は」
「ご心配なく。そう簡単にくたばってやるつもりは在りませんカラ」
何処からか出てきた飴の包みを開く彼は、どこか憂いを帯びた
目をしていた。つい話題を逸らそうと口が開いてしまった。
「・・・お前、ホントに友人を増やせ」
言ってから自分が墓穴を掘った事に気付いた。
「それこそ無意味でショウ?余計に気に病む人が増えるだけですヨ」
「・・・・・・・・」
「それに、ワタシはレイムさんが居れば十分なんデス」
――お前には、もっと沢山の仲間がいて
――もっと沢山の仲間で支えていくのがいいと思ったんだ。
だが、私でいいと言うお前の言葉に満たされてしまった。
心の隅でお前の友人が増えない事を願った私は、
果たして神に許してもらえるだろうか。
【一人】end