Funeral Wreath -337ページ目

【Elegy】

*ブレイク×シャロン

*時間軸・本誌11月号





――そういえば、この世界で初めて見たのは

貴女の顔でしたね。




Elegy】




本来ならば出会うはずの無かった二人。

彼女は自分の禍々しい紅とは違い、温かな春を思わせる

薄い桜色の瞳をもった少女だった。

「――どうかしまして?ブレイク」

「いえ、何でもありませんヨ」

いつの間にか視線が彼女へ向いていたようだ。

それに気付いたのか、紅茶を淹れていた手を止めて

こちらを振り返る気配がした。

彼女はまだ知らない。否、知らせていない。

この目が殆んど霞み視えていない事を。


「・・・ねぇお嬢様、此方へ来て頂いてもいいデスカ?」

ポフポフとベッドを叩くと、軽い溜息と共に近づく足音。

キシ、と僅かにベッドが沈み彼女が自分の横に座った事を

ぼやけた視界と感覚で認識した。

「何ですの?」

「ちょっと人恋しくなってしまいまして」

「・・・しょうがないですわね、ザクス兄さんは」

彼女はそれ以上追及してこなかった。

くすくすと微笑を零して震える細い肩に隣から腕を回せば

それに背を預ける様に体重をかけてくれる。

腕に納まる身体は華奢だが切なくなるほどに温かった。

(――きっとその顔も、温かい笑みなんでしょうね)

隣からでは視えないその表情を想い、柔らかな髪の掛かる肩口へ

顔を埋めれば小さな身体はびくりと震える。

「・・・なにか、あったのですね」

彼女の胸の前に在った自分の手に小さな手が重ねられた。

全てを包めずに指先だけをきゅっと握る手が

どうしようもなく愛おしい。


「流石。女性には敵いませんネ」


でも、今は言えない。

きっと優しい少女は自分の為に泣いてしまうだろう。

隠す事が無意味なのは承知の上だ。

それでも今は貴女が哀しむ顔は見たくなかった。


そっと腕を離しベッドを降りる。

ベッドに座る彼女の前に、上着を広げ跪いた。

「ザクス兄さん・・・?」

見上げたその顔は見えなかった。

その一瞬、不覚にも眉を寄せてしまった事に彼女は気付いただろうか?

「ブレイク――」

何かを言いかけるのを遮る様にその手を取り

見えない視線を合わせた。

「シャロン、私はこの身が朽ちるまで君を守る事を此処に誓うよ」

掌の中で僅かに固くなった貴女のそれに、

そっと誓いの口づけを。


初めは心配している顔だったから、

せめて最期の時は笑っていてくれるように――




Elegy】―END―




≫アンケート第2弾でブレシャロでした。

短くてスミマセン;