【親愛なる貴方へ】2
*オズ→ギル
風が、通り抜けた。
草が揺れ
花が揺れ
心が揺れる
靡いた髪は光を反射し、煌めく。
【親愛なる貴方へ】2―Message―
「―――ねぇねぇ、オレってなんか変わった?」
突然話しかけられ、オズのタイを結んでいた手が止まる。
「なんだまた藪から棒に・・・出掛けるのだから早く・・・」
「ギルは、変わったけど・・変わって無かったから」
「・・・?」
「オレはそれが嬉しかったんだ。だからさ、ギルは?」
「オズは・・・・・・・変わった、な・・・以前より・・前を見て進んでいる」
自分の胸に穴が開くような感覚を覚えながらも正直に告げた。
オズは一瞬目を大きくしたが、嬉しそうにくしゃっと笑った。
「そう、・・・そっか~」
「なんだ」
「ううん・・・そうなんだ」
「おい」
「ありがとな、ギル」
膝を付いていた為上からくしゃくしゃと頭を撫でられた。
それに、何故だか泣きそうになる。
そのギルバートの様子に気づいたか
オズはおどけたようにパッとギルから離れ、脇の机に置いてあった
リボンを手に取った。
「ね、ギルの髪結ばせてよ」
「・・・出来るのか?」
「バカにするな。これくらい出来なくてどうすんだよ」
「直にパンドラへの迎えの馬車が来るぞ」
ひょいとギルバートの後ろに回って綺麗な青いリボンを髪に掛ける。
うなじに軽くかかる程度の長さの為、束ねようとして何度もその手を
擦りぬけていく。
「・・・出来なかったらそう言え」
「~~~っで、出来る!」
ギルバートの肩が小刻みに揺れ始めた。
オズは四苦八苦しながらも、どうにかして髪を束ねようと必死になる。
「・・・ギルはどうやって結んでるワケ?」
「どうって・・・ふつうに」
「だぁ――ッ!そーゆうとこはムカつく!」
「っおいっ!」
飛びかかったオズに押し倒されるも、頭は打たずに済んだ。
「~~でっ」
「アホかお前は・・・ってオズ!?」
とっさにギルバートの後頭部を庇っていたのはオズの両手だった。
苦笑いを浮かべながらも、どこか満足げなオズにため息をついた。
―――それが、主たるものの務めだからな!
「―――ぶっ」
「ちょっ、なんだよギル!」
「いや・・・・やっぱり違うな、変わってない。お前も変わってないよ」
「へ?」
オズの目に穏やかな面持ちのギルバートが映る。
「俺たちは、進んでる。それは確かだ。でも中は変わってない」
「――――――・・・。」
――じゃぁ、
「気持ちは?」
「え?」
「中身は変わって無くても、気持ちは?」
オズが後ろから抱き締めてくる。
背後から耳元に口を寄せられ、背筋に彼の体温を感じる。
熱いのは彼か、自分か。
「好きだよ」
急上昇する体温。
「オレにとっては数日前だけど、ギルの過ごした10年の間も
オレはギルが好きだった」
――あつい。
オズの手が顎を掴んで顔を後ろに反らされる。
「――っ」
揺れている瞳を、オズはジッと見つめた。
「そしてそれは、こらからもずっと」
唇が、重なった。
――「アイシテル」の一言を君に――
【親愛なる貴方へ】2―Message―