■ 8月27日は「ジェラートの日」


イタリアのアイス「ジェラート」をより身近にしようと活動する「一般社団法人 日本ジェラート協会」(豊島区東池袋1-47-3 小林ビル3F) が制定。

世界中を魅了した映画『ローマの休日』が米国で公開された1953年8月27日に因んで。映画の中でオードリー・ヘプバーン演じるアン王女がスペイン階段でジェラートを頬張るシーンは、ジェラートを世界中の人々に知らしめ、ローマを訪れる観光客の憧れのデザートとなった。


□ ジェラート(イタリア語 gelato、アイスクリームの総称)


イタリア語で「凍った」という意味を持つ氷菓。発祥はフィレンツェで、イタリア人の夏には欠かせないお菓子。果汁・果肉・牛乳・砂糖・時にはコーヒーや香草などを混ぜた物を凍らせて作る。

ジェラートの歴史として最も古い記録が『旧約聖書』にあり、その中で登場する「乳と蜜」を夏、氷雪で冷やした「ミルクシャーベット」風の食べ物として愛飲していたと考えられている。

ヨーロッパ一帯からアラブ・エジプトを平定し、クレオパトラとのロマンスでも有名なローマの英雄 (共和政ローマ末期の政務官) ジュリアス・シーザーは、アペニン山脈から氷や雪を運ばせ乳・蜜・ワインなどを混ぜて飲んだ。これが嗜好品としてジェラートを求めた最初。
 
古代ヨーロッパ文明の中心、地中海のシシリー島では9世紀前半~12世紀に亘ってアラブ王サセランに支配されイスラム文化が定着した。アラブの「シャルバト」(アラビア語 شربت‎) が伝えられ、その後は「ソルベ」(フランス語 sorbet)へと変遷して行った。シシリー島では様々なソルベが作られたがそのひとつに果実をふんだんに使った「カッサータ」(イタリア語 cassata) がある。
 


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■ 氷菓の歴史



□ シャーベット(英語 sherbet)


糖類・果汁・酸などを加えて凍結させた冷菓。乳脂肪分や乳固形分を含む場合もある。イギリスでは、米国風のシャーベットに近い氷菓をソルベ(フランス語 sorbet)と呼ぶ。
シャーベットとソルベは、果物などから作ったシロップを水で薄め砕いた氷を入れて冷やした飲料を意味する「シャルバト」(アラビア語 شربت‎) または「シェルバット」(トルコ語 şerbat) に由来している。


▽ 歴史

シャーベット(風)の氷菓は既に、中国の夏朝(紀元前2000年前)に始まり殷朝(紀元前1700年~紀元前1046年) や古代エジプトには存在し、古代ギリシャ~古代ローマ~アラブ世界~中国などに様々な形態のものが存在した。シャーベットはアイスクリームのルーツにもなった冷菓。

ローマ帝国・第5代皇帝(紀元後54~68年) の暴君ネロは、アルプスから万年雪を運ばせバラやスミレの蜜・果汁・蜂蜜・樹液などで味付けしたドルチェ・ビータを食した。『千夜一夜物語』(原型は9世紀頃) には冷たい飲み物であるシャルバートの記述がある。

東アジアにも古くから氷菓を楽しむ習慣があり、『東方見聞録』(1295年) に氷菓が登場することからマルコ・ポーロが中国からソルベに似た氷菓を持ち帰ったと言われている。

16世紀中頃、パドヴァ大学教授マルク・アントニウス・ジマラが水に多量の硝石を溶かすと吸熱反応を示し水の温度を下げることができることを発見した。この原理を利用することで従来のように雪や氷を使用しなくてもシャーベットのような食品を人工的に凍結させることが可能となった。
17世紀末までには、ソルベがパリの町中で売られるようになりヨーロッパ中に広がって行った。



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□ ソフトクリーム (英語 soft serve ice cream、略称 soft serve / soft ice。和製英語 soft cream)


牛乳などを原料にして、アイスクリームと同じ製法で作られた氷菓のうち、柔らかい食感を出した物。コーンカップに入れて食べることが多い。


▽ 歴史


紀元前2000年前の中国・夏朝で、長時間煮詰めた牛乳を、雪で冷やし柔らかく固めて糊状にした氷菓。食感は現在のシャーベットに近い「アイスミルク」(中国語 冰牛奶 Bīng niúnǎi ビンニウナァィ)であった。

1295年、マルコ・ポーロは25年間に及ぶアジア横断の旅を終えてヴェネツィアに戻り『東方見聞録』を著すが、その際に北京で味わったアイスミルクの製法をイタリアに持ち帰っており、これによって氷菓の製法がヨーロッパに広まった。

16世紀中頃、イタリアの大学教授マルク・アントニウス・ジマラが、黒色火薬の原料・硝石が水に溶ける時に起こる吸熱作用で温度が下がることを発見した。更に氷に硝石を混ぜて物を一気に冷やす技術が開発され、天然の雪や氷を原料としないシャーベットが作れるようになった。

1686年、菓子職人フランソワ・プロコープが、パリに「カフェ・プロコープ」を開店し、1720年、今日のアイスクリームの原型ともいえるホイップクリームを凍らせた「グラス・ア・ラ・シャンティ」や、卵を用いた「フロマージュ・グラス」などを作り出し、乳成分たっぷりの新しいタイプのアイスクリームをもたらした。

1846年、米国の主婦ナンシー・ジョンソンが、樽の中に氷と塩を入れて冷凍させる「手回し式アイスクリームフリーザー」を発明し、一般家庭でもアイスクリームが作れるようになった。

1931年、米国でフリーザーから作り立てのアイスクリームを手渡そうと考案されたのが「オートマティック・ソフトサーブマシン」。これは掃除機のモーターを流用しアイスマシンとフリーザーを1つの箱に納めた機械で、現在のソフトクリームの誕生となった。

終戦後の1951年7月3日、明治神宮外苑で進駐していた米軍が「アメリカ独立記念日」を祝ってソフトクリームの模擬店を立ち上げ、初めて日本にソフトクリームが紹介された。
後の1990年、「日本ソフトクリーム協議会」がこの日を記念して7月3日を「ソフトクリームの日」と制定した。


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□ アイスクリーム(英語 ice cream)


牛乳などを原料にして、冷やしながら空気を含むように攪拌(かくはん、英語 stirring) してクリーム状とし凍らせた氷菓。

▽ 成分規格による分類

アイスクリーム: 乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分8.0%以上。
アイスミルク:   乳固形分10.0%以上、うち乳脂肪分3.0%以上。
ラクトアイス:   乳固形分 3.0%以上。


▽ 日本におけるアイスクリームのヒット商品


森永製菓・・・チョコモナカ (1972年発売開始)、バニラモナカ・ジャンボ (2013年発売開始)

 


井村屋・・・宇治金時バー (あずきバー1973年発売開始)




ミニストップ・・・ソフトクリーム・バニラ (1980年発売開始)

 


ロッテ・・・雪見だいふく (1981年発売開始)

 


赤城乳業・・・ガリガリ君・ソーダ味(1981年発売開始)、梨味(2012年発売開始)

 


ハーゲンダッツ(Häagen-Dazs、米国ゼネラル・ミルズ社、製造はタカナシ乳業が受託)・・・ミニカップ (1985年発売開始)、ドルチェ (2007年発売開始)

 

 

ロッテ・・・爽 (1999年発売開始)