大分、過ごしやすくなりつつある。

                 気温℃

          最高 最低

9/12(木)   28.7   22.7

9/11(水)   32.3   24.3

 

昨日9/12(木)午後3時過ぎてから、そろそろ曼珠沙華の開花と、思い当たる所を探しに出掛けた。

 

 

■ 「台東区立隅田公園」

 

隅田川言問橋たもと~「梅めぐり散歩道」(台東区浅草7丁目)近くの花壇で、今季初のヒガンバナを発見した!!

 

 

 

言問橋

向こう岸の墨田区役所/アサヒビール本社

 

桜橋

 

 

桜橋上から浅草駅前(花川戸)繁華街の夕暮れを見る

街の灯りはこれから

 

 

■ 向こう岸の「墨田区立隅田公園」

 

「墨堤桜並木」(向島1/2) の一角に、コスモスの花壇があった。

 

 

 

 

 

 

 

汐入池の夕べとアオサギ

 

 


 

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■ 松本清張の短編小説「たづたづし」のテレビドラマ


10日前の9/3(火)13:00~15:00、J:COM・日本映画専門チャンネルHDでの再映を観賞した。
次回は10/25(金)午前9:00~11:00

本ドラマ作品は、「松本清張作家活動40年記念」の一環として、27年前の1992年1月7日(火)、日本テレビ系列の「火曜サスペンス劇場」枠(21:03-22:52)で放映された。


□ スタッフ

脚本:宮川一郎
監督:嶋村正敏(日本テレビ)
音楽:大谷和夫
制作協力:NTV映像センター
製作著作:日本テレビ


□ キャスト

新田順三:古谷一行・・・農林省林野庁の課長補佐
新田美奈子:佳那晃子・・・新田の妻、父は通産省事務次官

平井良子:君島(旧姓・吉川)十和子・・・水道橋の経理事務所OL
平井晃:内藤剛志・・・良子のヤクザの夫、仙台刑務所に服役

渋谷一三:山谷初男・・・木曽の営林署署長
江藤:津嘉山正種・・・新田の上司

嵯峨周平、山口仁、志賀圭二郎、町田真一、松田朗、加藤満、高橋ひろ子、吉本選江、石井トミコ


□ あらすじ


殺した筈の愛人が生きていた!? 農林省のエリート係長・新田順三(古谷一行)が事件に巻き込まれる。

農林省林野庁に勤務する新田順三は、妻の父が通産次官という恵まれた環境もあり、順風満帆な出世街道を歩んでいた。
33歳の新田は最近課長補佐への昇進も間近だ。
その新田が、通勤電車の中でひょんなことから、武蔵境駅近くに住む24歳の平井良子(吉川十和子)というOLと知り合い男女関係を持つ。
関係は続きズルズルと深みに嵌(はま)って行った。
ところが3カ月後、良子はふいに、自分には夫がいて、恐喝傷害罪で仙台刑務所に入っており、後1週間で出所すると告白され、新田は愕然とする。
そして新田は自分の社会的立場の崩壊を恐れ、良子を長野県諏訪郡のJR富士見駅近くの山林に連れ出し、首を絞めた。
しかしその後、数日経っても新聞に良子の死体発見の記事が出ない。
徐々に不安になって来た新田は、長野県の地方紙を調べ始めたが、驚くべき記事が新田の目に入った。



***



原作を未読だったので、区立図書館から借りて来て読んだ。


■ 原作: 松本清張の短編小説「たづたづし」

初出は、月刊雑誌・小説新潮1963年5月号に掲載。

新潮社単行本「短編集 眼の気流」に収録され1963年10月刊行。


私が読んだのは、文藝春秋社単行本「松本清張全集38  皿倉学説」に収録され1974年5月刊行。

最新掲載本は、角川文庫本「昭和30年代短編集(2) 三面記事の男と女」に収録され2007年刊行。
・・・倫理観と性欲の間で揺れる昭和30年代の情痴事件、傑作短編集。高度成長直前の時代の熱は、地道な庶民の気持ちをも変え、三面記事の紙面を賑わす事件を引き起こす。「たづたづし」「危険な斜面」「記念に」「不在宴会」「密宗律仙教」の計5編。

 

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□ 原作の抒情的な表現 <抜粋>

本作での松本清張氏には、抒情的な表現が多く見られる。


「夕闇は 路たづたづし 月待ちて 行かせわが背子 その間にも見む」 [四巻七〇九]
この歌の意は、月が出るまでの暗がりの路は、たどたどしくて分かりにくいものです。あなた、どうか月が出るまで待って、その上でお出かけ下さい。その間にもあなたのお側にいとうございます。

女の家を出ると、夜の田園が広がっている。月の晩は、蒼白い光が一面の畑を濡らし、遠くの森や木立が白い露にぼやけた。樹も葉も光って、野菜の上にもその明るさが溜まっていた。昼間見ると、きっと汚いであろう場所も、月光にきれいに霞んでいるのだった。
満月が近づくにつれて光はいよいよ強く、木立の影はいよいよ濃い、往還に出るまでかなり長い防風林の径(こみち)を行くと、その先にまた月の光が落ちている。木(こ)の下闇を抜けたり、月の下に出たり、また木立の陰を歩いたりすると、わが身がこの世のものとも思えぬくらい現実ばなれがした。
だからこそわたしは、「豊前国の娘子大宅女 (おとめおおやけめ) の歌一首」という、この「夕闇は路たづたづし」の歌に心を惹かれたのである。

その夜の帰りの、わたしの気持のなんと憂鬱だったことか。恰度(ちょうど)、満月に近い、十三夜ころの月が出ていた。例によってあたりの田園は蒼茫(そうぼう)として淡い光にぼやけ、木立の影は墨を塗ったように径(こみち)の上を潰していた。木陰から月光へ、月光から木陰への、あの変化のある愉(たの)しい武蔵野の夜が、このときほど忌(いま)わしく思われたことはなかった。

車は山峡(やまかい)を走った。役員が横でしきりに何か云ったが、わたしには聞こえなかった。路は山峡の深い所では暗く、ひらけた所では月に照らされていた。車は、たどたどしくそこを進んだ。


□ 原作のあらすじ

表題は万葉集の引用。この頃の日本は、夫が妻の家に赴く通婚(かよいこん)であり、男が女の家に夜這(よば)いする交際が習慣となっていた。


「夕闇は 路たづたづし 月待ちて 行かせわが背子 その間にも見む」この歌の意は、月が出るまでの晩の路は、たどたどしくて分かりにくく危ないですから、ねえ背子(あなた)、どうか月が出るまで待って、その上でお帰り下さい。その間にもあなたのお側にいとうございます。

主人公は「わたし」と言う一人称で語られ、名前は一切出て来ない。わたしは32才にして課長になったエリート官僚で、妻は官僚の上司の娘。


或る日、私鉄電車で「平井良子」という24才の若い女性と知り合って深い仲になる。わたしは飽くまでも遊びの関係であり妻子がいて別れる気は更々ないと言い含め、一方、良子は独り身だとばかり思って逢瀬を重ねた。

だが良子は不倫と思いつつも本気になってしまった。或る日、良子は、たった一年だけでいいから一緒に暮らして下さいと泣きつく。そして、彼女には、恐喝傷害で仙台の刑務所で懲役5年の刑に服役している夫がいると告白する。その刑期が1年早まり1週間後には出所することになって、夫は別れてくれません。怖い夫に殺されても、あなたと少しでも一緒に暮らせたら本望ですと。

わたしは青ざめ、あたふたその場凌ぎに、一年後に希望通りにしようとしか言えなかった。わたしは、地位を守るとともに良子の暴力夫から復讐されるのを逃れたい一心で、遂に彼女を殺害しようと綿密な計画を立てる。

夫も探し出せないだろう田舎にいい家があると、良子を誘い出すことに成功。中央線の富士見駅から程近い八ケ岳の原生林に誘い込む計画通りに、喜んで付いて来た良子を絞め殺すのだった。

わたしは、良子の死体が人知れず放置され、発見される事無く土と同化してくれと期待して、地方新聞を毎日チェックした。それらしい記事は無く、一安心した。わたしは死体が放置され誰にも発見されず土と同化することを期待する。
それらしき記事が無い日々が続き安心していた或る日、地方紙の社会面の左隅のコラムに気付く。上諏訪市××町の「エルム」という喫茶店でのウェートレスの紹介記事。記憶喪失になり4日前に突然「ここで使ってください」と頼み込んで来たらしく、ルミ子さんと呼んでいつ記憶が戻るか話題になっている。わたしは咄嗟に平井良子だ!と思った。

妻には適当な口実を言って休日の上諏訪に向かう。エルムに行って外から確かめると、そのルミ子はまさしく平井良子だ。わたしは近くの本屋で立ち読みするフリをしながら思案する。この時に万葉集の本を偶然手にし、「夕闇は 路たづたづし 月待ちて 行かせわが背子 その間にも見む」の歌が目に入る。

「夕闇は 路たづたづし 月待ちて 行かせわが背子 その間にも見む」 わたしは思わず、良子の家に往復していた頃に想いを馳せる。再びあの甘い日々を取り戻したいと・・・。