今日9/10(日)の早朝、NHK-Gで
「目撃!にっぽん」選、「走る~知的障害・陸上短距離 川上春菜さん~」を観た。
ハンディーのある若者が活躍できる環境に、ホッとする。
初放送 6/18(日)6:15~6:50
再放送 9/10(日)6:15~6:50
【出演】川上春菜さん
【語り】中村倫也アナ
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■ あらすじ
重度の知的障害がある川上春菜さん、19歳。
彼女は他人とコミュニケーションを取るのが苦手。
しかし彼女には陸上の才能があった!!
走り出した瞬間、その身体は力強く躍動する。
春菜さんが本格的に陸上競技を始めたのは、わずか2年前。
特別支援学校の先生に出会うまでは、誰もその才能に気付いていなかった。
体育の授業で走っている姿を、陸上競技の指導をしたことある先生が偶然見た。
この子は向いていると見抜いて陸上競技を始めさせ、並外れた脚力に秘められた才能を見い出したことが切っ掛けだった。
コミュニケーションを取るのが苦手なので、「ちゃんと走れ !!」と指示を出しても彼女にはうまく伝わらない。
そのため、走り方などの指示は先生が工夫しながら教える。
「全力で走る」を伝えたいときは「ウルトラ」って伝えることで全力で走るタイミングなどを指導する。
陸上を始めたことを切っ掛けに、次第に彼女も心を開いて行く。
家で生活する時も父親とコミュニケーションが取れるようになって行く。
陸上を始めるまでは父ともコミュニケーションが取れていなかったのだ!!
走ることを通して、心を開いて行く春菜さんを見つめる・・・。
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そして川上春菜さんは、2016年、陸上競技・リレー種目の日本代表に選ばれた!!
さらに2017年5月、タイで開かれた世界大会では400mリレーでアンカーとして走り、銀メダルを獲得したのだ!!
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■ 詳細内容
川上春菜さんは、知的障害がある短距離ランナーだ。
100mの自己ベストは13秒70で、知的障害のあるアスリートの中で国内トップレベル。
去年全国大会に優勝し、リレーの日本代表に選ばれた。
知的障害者への教育を研究している村中さんは、春菜さんのような例は見たことがないという。知的障害者の日本代表の団長も務める井上さんは、春菜さんの走り方を評価している。日本記録も出せるような能力を秘めているように感じるという。
春菜さんの走りを開花させたのは坂口先生 [教頭・坂口桂穣(けいじょう)]との出会いだった。体育の授業で春菜さんの走りを見た時に、「姿を観た時にこの子走れる」などと感じたという。
陸上の練習を開始した頃はうまく指示が伝わらなかったが、両足跳びを「うさぎジャンプ」と言ったら両足で跳び上がってくれて、坂口先生はこの子が一番わかる言葉を伝えようと決めた。全速力は「ウルトラ」という言葉を使い指導している。教え方の工夫次第でできるようになる、教える側の一番大事なことを教えてもらったと坂口先生は話した。
春菜さんは、能登町小垣で父親の政二さんと二人暮らしだ。政二さんは陸上を始めてから春菜さんが大きく変わったと感じている。
体重1,442gで未熟児で産まれた春菜さん。
小学2年生の時に知的障害だと診断された。
その頃、両親が離婚。友達とも遊ばず、あまり笑うこともなかったという。
陸上を始めて、人と話しをするようになり笑顔も増えて行った。政二さんは、走っている姿は今までの人生の中で一番いい姿だという。
2016年5月、「石川県障害者スポーツ大会」(金沢市/西部緑地公園陸上競技場)に参加し陸上女子400mで優勝した。
2016年9月、「日本ID陸上競技ユース選手権大会」(福島市/とうほう・みんなのスタジアム)では、陸上女子400mを66秒38で優勝、100mを13秒78で2位となり、
400mリレーの日本代表に選ばれた。
石川県立七尾特別支援学校珠洲分校高等部 (石川県珠洲市宝立町鵜飼6-20)の3年生の春菜さんは、2017年3月、転機を迎えた。
卒業後は福祉施設[社会福祉法人佛子園(ぶっしえん、白山市北安田町548-2)が運営する障害者支援施設「日本海倶楽部」(能登町立壁92) ] で働きながら、5月15~18日の世界選手権に向けた練習を行うことになった。
春菜さんの仕事は野菜づくりなどの農作業だ。
職場の仲間となかなか馴染めずにいた。19歳の誕生日に職場の仲間達からケーキをプレゼントされた。
なんで走ってるのと聞かれ「ちょっとだけ楽しいから」と話した。
練習の環境も変わろうとしていた。
世界選手権のために職場の協力によってもう一人コーチを増やせることになったのだ。新コーチの垣内雅博さんは知的障害者を支援する社会福祉法人 (佛子園 日本海倶楽部支援スタッフ)に勤め、陸上競技の経験がある。
坂口さん以外と練習するのは初めてだ。走りにも勢いがない。目まぐるしい変化に戸惑っていた。
世界選手権に向けて、穴水陸上競技場でリレー競技の練習を始め、8/12(土)から静岡県裾野市で日本代表の強化合宿が始まった。
春菜さんが出場するのは400mリレーだ。春菜さんはバトンを渡す必要がないアンカーを任された。スタートするタイミングが分からず動けない。バトンをもらうためには前の走者が近づいてきたのに合わせて走り出し瞬間的にトップスピードに乗る必要があり、受け渡しはバトンゾーンで行わなければならない。本番は1カ月後に迫っていた。
指導陣は、バトンの受け渡しで、タイミングよく走り出すための言葉を探している。最初に使ったのは「逃げろ」。しかし、スピードに乗ることができない。
そこで「ピュー」という言葉に変えたら少しずつタイミングを掴んで来た。「ピュー!!」
世界選手権の直前、石川県谷本正憲知事に出発前の挨拶を行った。
激励費を渡そうとすると春菜さんは「いらない」と言うので、戸惑った知事だったが、彼女に「これから有名人になるよ」と話し掛けた。
2017年5月、タイ・バンコクで行われた「世界知的障害者陸上競技選手権大会」(2017 INAS World Athletics Championships) は19の国と地域から140人が参加した。
日本代表として400mリレーのアンカーとして出場し、日本記録を更新(52秒14)、銀メダルを獲得した。
人と話すのが苦手に見える春菜さんは、走ることで人と繋がり、心に変化が生まれている。
知的障害者への教育を研究している村中智彦さん(上越教育大学/准教授)は、春菜さんのような例は見たことがないという。
知的障害者の日本代表の団長も務める井上明浩さん(特別支援学校/教員などを経て金沢星稜大学/人間科学部/教授)は、春菜さんの走り方を評価している。日本記録も出せるような能力を秘めているように感じるという。
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