宮部みゆき (著) 「ソロモンの偽証」 

初出は、「小説新潮」2002年10月号から(一部断続的ながら9年に亘る)2011年11月号まで連載。

原作は超大作長編。拾い読みしながらアレコレ、ネットサーフィンする。


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【あらすじ】 <ネタバレご注意>


新潮文庫本セット

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■ 「第 I 部 事件」 741p

単行本2012年8月、文庫本【上下巻】2014年8月。

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その法廷は14歳の死で始まり、偽証で完結した。

1990年12月、クリスマスの未明イヴに、学校の屋上から雪の校庭に急降下した。
東京都城東区(江東区がモデル)城東第三中学校2年A組(2A)の男子生徒・柏木卓也、14歳。城東警察署少年課の刑事、佐々木礼子と庄田らは自殺と断定し、事件は早期解決したものと思われ、彼の転落死を悼む声は小さかった。
しかし、その死は校舎に眠っていた悪意を揺り醒ました。彼はなぜ死んだのか? 自殺なのか? 殺人ではないのか? 謎の死への疑念が広がり、疑心暗鬼が止まず連鎖して行く悪意。けれども、噂は強力で気がつけば私たち皆もそれに加担していた。
そして、それら悪意ある風評は、目撃者を名乗る匿名の告発状を産み落とす!! 同級生の犯行と告発する手紙が関係者に届いたのだ。自殺した生徒・柏木卓也は自殺ではなく、城東三中切っての不良少年・大出俊次が殺したとする3通の告発状。
校長である津崎正男、柏木の2A担任の森内恵美子、そして柏木のクラスのクラス長である藤野涼子の元に。さらに、過剰報道によって学校と保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まった。ひとつの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。マスコミの過剰・偏向報道。津崎校長はこの事実を公開せずに、告発状を出した人物が大出に嫌がらせを受けていた三宅であると特定する。
だが、その事実が公表される前に、狂ったように嫉妬による異常行動。2A担任・森内恵美子は、理不尽に嫉妬していた隣人・垣内美奈絵によりマスコミに流出し世間に晒されることとなる。告発状を報じたHBSの報道番組は、厄災の箱を開いた。そして、森内に重傷を負わせる。
これを受け三宅の唯一の友人であった浅井松子は、真実を告げるよう三宅を説得しようとする。が、その帰りに交通事故に遭い死亡する。また、殺人者として告発状で糾弾された大出の家では火災が発生し、大出の祖母も死亡する。大出俊次の父親。
拡大する事件を前に、術なく屈していく大人達。ことごとく無力な大人たちにはもう、任せておけない。気づけば学校は死を賭けたゲームの盤上にあった。
死体は何を仕掛けたのか? 真意を知っているのは誰? 「もう一度、事件を調べてください」。柏木君を突き落としたのは・・・。


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■ 「第 II 部 決意」 715p

単行本2012年9月、文庫本【上下巻】2014年9月。

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事件の年は2年生だった藤野涼子は3年生になり、卒業制作で学校内裁判をしたいと言い出した。
2人の同級生の死。騒動の渦中にいるくせに私たちは何も知ろうといなかった。当事者の生徒たちを差し置いて、マスコミによる偏向報道。ただ事態の収束だけを目指す大人。
もう大人たちに任せておけない。保身に身を窶す教師たちに見切りをつけ、1人の女子生徒が立ち上がった。捜査一課の刑事を父に持つ藤野涼子は、級友の死の真相を知るため、ある決断を下す。
結局、柏井卓也はなぜ死んだのか? 何も分からないままでは、私たちは前に進めない。だったら自分たちで真相をつかもう! 校舎を覆う悪意の雲を拭い去ろう! 隠された真実を暴くため「学校内裁判」を開廷しよう ! そんな藤野涼子のの呼びかけが周囲に仲間を生み出し、中学3年有志による「学校内裁判」が幕を上げる。裁判でしか真実は見えて来ない。それは「学校内裁判」という伝説の始まりだった。
反対する教師がいる中、賛成する教師の北尾の力を借りて裁判を行うことになった。大出が柏木を殺していない事は明白だったものの、疑う者も多かったため、汚名を晴らすため藤野は弁護人に名乗り出た。裁判は陪審制となり裁判官・弁護人・陪審員が相次いで決定する中、唯一、検察官だけ決まっていなかった。そこに本校の生徒でこそないものの柏木と小学生時代の友人であった神原和彦という私立東都大学付属中学生が弁護人を志願して来た。そこで藤野は仕方なく検察官になった。
その後、検察側、弁護側がそれぞれの立場で事件に関する証言を集め事実関係を整理し、公判開始を迎える。遂に動き出した「学校内裁判」。期間はわずか15日。
検事となった藤野涼子は、大出の“殺人”を立証するため、関係者への聴取に奔走する。有志を集め証人を探せ! 彼女の覚悟は僕たちを揺さぶる。学校側の壁が崩れ始めた。不安と圧力の中、教師を敵に回して。教師による圧力に屈せず走り出す数名の有志たち。
一方、他校から名乗りを上げた弁護人の降臨。弁護を担当する他校生、神原和彦は鮮やかな手腕で証言・証拠を集める。無罪獲得に向けた布石を着々と打って行く。その手捌(さば)きに一同は戦慄した。彼は史上最強の中学生か? それともダビデの使徒か?
次第に明らかになる柏木卓也の素顔。繰り広げられる検事と弁護人の熱戦。
開廷の迫る中で浮上した第三の影、そしてまたしても犠牲者。告発状を書いた少女が遂に・・・。
僕たちはこの裁判を守れるのか? 夏。開廷の日は近い。14歳の夏を賭けた決戦、カウントダウン ! 


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■ 「第III部 法廷」 722p

単行本2012年10月、文庫本【上下巻】2014年10月。

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終戦記念日の8月15日、学校内裁判が遂に開廷。
大出俊次が柏木卓也を殺害した根拠は何もない。城東三中は“問題児”というレッテルから空想を作り出し、彼をスケープゴートにしたのだ。「以上、空想です」。弁護人・神原和彦は高らかに宣言する。
様々な証人が証言台に立つ中、対する検事・藤野涼子。事件の目撃者にして告発状の差出人、三宅樹理を証人出廷させる。あの日、クリスマスイヴの夜、屋上で何があったのか? 告発状の主、三宅が非公開の法廷に出廷し、改めて自分は柏木君が殺されるところを見たと証言した。白熱の裁判は、事件の核心に触れる。私たちは真実に一歩ずつ近づいているはずだ。
だけれど何かがおかしい。とんでもないところへ誘き寄せられているのではないか? もしかしたら、この裁判は最初から全て、仕組まれていた!? 一方、陪審員たちの間では不信感が募っていた。
上野は偽証していたのだ!! その後の裁判を通して事件や柏木についての情報が出揃う。柏木は幼い頃から病弱で両親は卓也を甘やかし続けた結果、歪んだ性格に育った。一方、神原和彦は幼い頃に両親を失い、不幸な境遇であるにも拘わらず人生に希望を持って生きていた。柏木はそんな神原の身の上の不幸を指摘し、絶望させてやろうと考えていた。しかし、柏木は何かと神原にチョッカイを出すものの効果無し。事件の夜、神原を中学校の屋上に呼び出した。怒り散らす柏木。最後には屋上のフェンスを乗り越え「帰るなら、飛び降りてやる!」と謎の脅し文句を投げつける。柏木は本心としては勿論、飛び降りる気はなく逆に和彦を落としてやろうと企んでいた。しかし、神原はその脅し文句を無視して帰宅してしまう。翌朝、転落した柏木が発見された。
そして最終日。最後の証人を召喚した時、私たちの法廷の、骨組みそのものが瓦解した。その登場に呆然となる法廷。その証人はおずおずと証言台に立った。裁判閉廷日に弁護人神原が検事側の証人として証言台に立つ。
神原は柏木が死んだその日の夜、神原が自分の思い出の場所を巡る「ゲーム」。柏木が死亡する直前まで彼と会っており、彼は自殺願望を持っていたと証言した。柏木の自宅から遺書のような小説が出て来て柏木は自殺願望があったことが確かとなった。
ひとつの嘘があった。柏木卓也の死の真相を知る者が、どうしてもつかなければならなかった嘘。最後の証人の偽証が明らかになった時、裁判の風景は根底から覆される。大出俊次には犯行時間帯のアリバイがあった。瞬間、真夏の法廷は沸騰し、やがて深い沈黙が支配して行った。
事件を覆う封印が次々と解かれて行く。藤野涼子が辿り着いた真実。三宅樹理の叫び。三宅は酷いニキビ顔がコンプレックス。その顔から地域一番の不良・大出俊次、その手下の井口充・橋田祐太郎に苛められていた。法廷が告げる真犯人。告発状の主・三宅も、クリスマスの雪道を駆け抜けた謎の少年も、死を賭けたゲームの囚われ人だったのだ。見えざる手がこの裁判を操っていたのだとすれば・・・。
陪審員は被告人大出俊次に無罪の評決を下す。この事件は「柏木による、柏木の殺人事件である」と評し、裁判は幕を閉じた。「犯人はいない」「被害者の卓也は誤って屋上から落ちてしまった」わざわざ他校から裁判に入り込んだ神原和彦は柏木の転落を「自分のせいだ」と思っていて、公の場で自分の罪を明らかにしたかった。

しかし、真相は全て「神原和彦の証言」。「本当の事件の真相」や「真犯人」が存在しなかったとは言い切れないのではないか!?



□ 「負の方程式」 150p

「第III部 法廷」文庫本【下巻】ボーナストラックとして収録。
『ソロモンの偽証』から20年後。“偽証”事件を描く書き下ろし150枚の中編。


2010年3月に柏木の遺体の第一発見者として、神原和彦の弁護助手をした野田健一。国語科教師となって城東第三中学校に帰って来た。
学校内裁判は「伝説・歴史」となっていた。
一方、その裁判を提案し検事を務めた主人公の藤野涼子は、弁護士になっており、また、裁判に関わった人物の1人と結婚している。その相手は、学者になった神原和彦。


杉村三郎
『ペテロの葬列』後に探偵となり2年が経過していた。当初こそ目的の為に嘘を吐くことに抵抗があった杉村だが、今ではそれも板に付き「嘘も方便」と割り切れる程になっていた。もはや、杉村にとって探偵業は天職と呼べるものであった。
そして、杉村は別れた妻とも今でも連絡を取り合っている。話題はもっぱら娘のことである。娘は過去の妻に似て病弱気味なところがあり、それが杉村にとって不安であった。そんな杉村に新たな依頼が舞い込んだ。


==以下、略す==






■ 劇場版映画 「ソロモンの偽証」

「20年後の藤野涼子」が教師になっている。
学生による裁判がメインの内容とあって、登場人物もほとんどが中学生。そして、その中学生キャストは、なんと1万人を超える応募の中から半年もの期間をかけたオーディションで決定した
舞台は城東第三中学校。あるクリスマスの日、男子生徒・柏木卓也が学校の屋上から転落して死亡した。警察は自殺と断定、事件は解決したものと思われた。
しかし、柏木卓也は自殺ではないという内容の告発文が届く。その中には、城東三中切っての不良少年・大出俊次が犯人とも記されていた。
マスコミの報道も過熱していく中、新たな事件が次々と巻き起こる。まさに負の連鎖。
そんな中、警察官を父に持つクラスのリーダー的存在・藤野涼子は、事件の真相を暴くため、「学校内裁判」を提案し、実行に移す。
誰かがウソをついている。校内裁判の果てに、彼らがたどり着いた驚愕の真実とは―。


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監督: 成島出
脚本: 真辺克彦

音楽: 安川午朗
主題歌: U2「With or Without You」(ユニバーサルミュージック)
エンディングテーマ: 「ADAGIO PER ARCHI E ORGANO IN SOL MINORE」作曲:レモ・ジャゾット、トマゾ・アルビノーニ

制作・配給: 松竹
劇場公開: 前篇「事件」2015/3/7(土)、後篇「裁判」4/11(土)

Blu-ray/DVD発売: 2015/8/19(水)、TSUTAYAでコンプリートBOXを予約 すると10%OFF!! 

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amazon DVD 前篇「事件」、後篇「裁判」


J:COMオンデマンド(VOD): 特別先行配信(45日間視聴可能=見放題)8/5(水)~18(火)、通常配信8/19(水)