■■ NHK-BSプレミアム 「コズミック フロント☆NEXT」



「コズミック フロント☆NEXT」 番組HP


語り: 萩原聖人(#1#3#5)、守本奈実(#3#5)、永作博美(#1#2#4#6#7)、真下貴(#2#4#6#7)

声の出演: 81プロデュース(樫井笙人・宗矢樹頼・玄田哲章・植竹香菜・幸田夏穂・恒松あゆみの交替制)

音楽: 寺田志保、歌・Yucca




■ これまでの放送


私のブログ

#1「太陽最後の日」#2「月のミステリー」(2015/04/02)
#3「クレオパトラが残した古代エジプト天文学」(2015/04/16)
#4「ミステリー 地球に最も似た惑星」(2015/04/30)
#5「100年前の大予言」(2015/05/14)
#6「太陽系ミステリー」(2015/05/21)

 



■ 第7回 「生命の天体 ? 土星のミステリー」


NHK-BSプレミアム
5/28(木)22:00~23:00
【再放送】 6/6(水)23:45~24:45


制作:
Pioneer Productions for SCIENCE Channel (イギリス、2014)
DISCOVERY COMMUNICATIONS,LLC
「How the Universe Works: Season3 Ep.5 Saturn」


【概要】

 
今回のミステリーは、太陽系の中にも存在するという地球外生命体の可能性について。
生命が育まれる3つの条件---それは体を作る材料となる有機物の存在、水のような液体、太陽光のようなエネルギー源だ。

2015年4月、米国NASAの公開討論会で「10年以内に地球外生命体の兆候を見つける」と太陽系探査を専門とする研究者が宣言した。

地球以外の場所で私たちは生命体を確認できるのか? 
しかも、太陽系内での生命探査の最前線に迫る。


*


□ 火星

1975年、探査機「バイキング」を打ち上げ。
1976年、表面を調査したが生命の痕跡は見つけられず。

2012年、探査車「キュリオシティ」が到着。
以後、表面を移動しながら調査しているが、未だに生命存在の証拠発見に至っていない。


□ 木星の周囲を回る衛星

1995年、探査機「ガリレオ」による調査開始。
衛星のエウロパ、ガニメデには分厚い氷が在り、その下には大量の水が在ると推理された。


*



■ 調査File 1 なぜ土星? 生命探査最前線


その有力とされている候補地の1つが土星だ。
なぜ土星に注目が集まるのか?




NASAのミシェル・サーラー博士
土星の自転速度は速く10Hで1周。そのため嵐が激しい。気温はマイナス130℃、北極周辺には六角形(解明できていない)をした猛烈な嵐の渦。
本体には生命は考えにくい。
土星のリングは氷の粒子が数10万km/hで移動し衝突し合っている。
小さな傷の様に見えるのは生まれたばかりの衛星。
確認された衛星の数は65個。
そのうちの生命体が存在する可能性のある衛星はどれか?


□ 最大の衛星「タイタン」

濃い大気に包まれ、表面の様子は掴めない。
1997年、探査機「カッシーニ」を打ち上げ。タイタンには着陸機「ホイヘンス」を投入。
表面を捉えた画像・・・砂漠のような場所に丸い石(かつて川が在った証拠)や氷の塊がたくさん在った。かつて水のような液体が在ったと推理される(発見できず)地形が広範囲に分布。高低差は約100m。
そして遂に液体を発見。北極付近にレーダーを反射しないエリアで。
まるで地球のような山・沙漠・川・湖を発見した。但し、岩のように見えるのは氷。川を流れる水のように見えるのは液体メタン。蒸発したメタンは再び雨となって表面に降り、大気(メタン、有機物を含有)は循環している。
水こそ存在しないが、生命に必要な条件が幾つも在る。

NASAのクリス・マッケイ博士
水ではない液体でも生命(微生物)は存在し得る。但し、地球の微生物は水が在る(栄養豊富だ)と大きく成長する必要がないが、液体メタンの環境だと大きくなければならない(栄養分を効率良く摂取するため、ゴミ袋のように表面積を大きくする)。
着陸機「ホイヘンス」のデータによっても仮説を補強できる。大気に含まれた水素 + アセチレンが栄養 → エネルギー + メタンを排出。この仮説が正しければ、水素濃度に濃淡(増減)があるに違いない。増減があった。


*


■ 調査File 2  生命が存在する? 衛星の素顔


□ 直径500km程の小さな衛星「エンケラドス」

月の1/7。10年程前までは殆ど注目されていなかった。今、生命の可能性が最も高い天体として期待されている。
1967年に発見された、リングの外側に在る淡い「Eリング」。
その周りを回る衛星がエンケラドス。
1980年代にボイジャー2号が撮影に成功した。表面は全て氷で覆われており、クレーターが多く存在する場所と全く無い場所とに分かれている。後者では大きな地殻変動によってクレーターが消されたことを物語っている。
2007年、カッシーニ画像中央研究所(コロラド州)で、謎が解き明かされた。南極付近から宇宙空間へ100km以上、間欠泉が噴き出している。
2008年、タテに走る複数の青い筋(地殻変動による裂け目、「タイガーストライプ」と名付けた)。
表面温度マイナス200℃、タイガストライプの温度マイナス80℃(~20℃??)。
噴出物の正体は主に氷。

標高3000mを超えるオーストリア・アルプスの山頂付近に氷河が広がる。
NASAの宇宙生物学者のリチャード・フーバー博士
エンケラドスの環境に似ているとして着目。氷河内部へと繋がる洞窟内にアイスパレス(氷宮殿)。ここの巨大な氷柱はタイガーストライプ内にも存在する筈だと推理。しかもヒョ氷柱からバクテリアを採取した。


*


■ 調査File 3  検証エンケラドス 生命存在の可能性


地球が生命を生み出すことができた理由は、3つの条件を満たしたから。
①有機物・・・生命を形作る材料となる、
②液体の水・・・有機物を溶かし反応を促進する。
③エネルギー・・・化学反応を促進する太陽のような源。

過去、地球だけが3条件が揃ったと考えられて来た。
太陽から程良く離れた距離(ハビタブル・ゾーン)に在る。
水が氷や水蒸気でなく液体で存在する程度の熱を、太陽から受けている。


しかし、エンケラドスは、ハビタブル・ゾーンから大きく離れているにも拘わらず、3つの条件を満たす場所が在ると期待される。

カッシーニ画像中央研究所のキャロリン・ボルゴ博士。
エンケラドスの氷の下に膨大な水が存在すると予測。
噴出した氷の粒子の直径が1/100mm以下の細かいサイズであり、水が噴き出し水滴となった後に凍ったからこそ細かい大量の粒子ができた。
太陽から14億kmも離れ熱エネルギーは殆ど届かないのに、表面がマイナス200℃と高いのは、何らかの熱が存在するからだ。
鍵を握るのは外周を回る衛星「ディオーネ」の存在、公転周期は66H。エンケラドスは公転周期33H。66Hに1度、土星--エンケラドス--ディオーネが直列に並んだ時、潮汐力(ちょうせきりょく)によって長細い卵形になる。 ⇒ 球形に戻る。その繰り返しに、地殻内部で摩擦熱が発生する。 ⇒ 氷が液体の水となる。⇒ 亀裂が起こり(水⇒)氷が噴出する。
2014年4月、「SCIENCE」誌に重力分布データが発表された。
南極付近に液体の水が在る。量は琵琶湖の1万倍。

カッシーニの至近距離観測データによれば、水の成分はC,O,Si(ナノシリカ),Rhなど多岐に亘る。
特に、宇宙空間には殆ど存在しない物質Si(ナノシリカ、水晶の成分)が検出された。

日本の「海洋研究開発機構」(JAMSTEC)の渋谷岳造博士と東大・関根康人准教授。
ナノシリカは岩石と水が高温で触れ合い融けて生成する。それまで深海熱水噴出域の生態系研究の蓄積があるので、熱水のような環境で生成したのではないかと考え、再現実験を行った。エンケラドスの主成分とされるカンラン石と輝石に3年間、高温を加えてナノシリカの微粒子生成に成功した。

有機物についても、カッシーニは、氷の間欠泉の内部を通過し、噴き出す成分にはシアン化水素・アンモニアなど様々な有機物が大量に在ることを観測した。
どうして、火星にも木星にもない有機物が土星の衛星に在るのか??
その理由は太陽からの距離にある。
水のスノーラインは、火星と木星の間。有機物が固体となる (ガスとして宇宙空間に逃げない) スノーラインは、木星と土星の間。

これによって、生命の3条件を揃えた天体と分かったのだ。
しかし、実はもう1つ大きな条件がある。それは----
④時間の経過。
3条件が揃って、物質が化学変化を起こし生命へと試行錯誤⇒進化するには、十分な時間が必要だ。
地球の場合は、西オーストラリア(ピルバラクラトン)34億年前の地層から閉じ込められたメタンガスの気泡と、原始的な生命の痕跡が発見された。地球誕生46億年前--12億年経過--生命誕生34億年前。

惑星科学研究所(アリゾナ州)のブライアン・トラビス博士。
エンケラドスが温度を維持するために最も重要なのは、土星と他の衛星に引っ張られる力=潮汐力(TDH)。シュミレートすると----
誕生時には1000℃近い熱 ⇒ 冷やされて15億年後に0℃。 
潮汐力が加わると、40億年後でも100℃近い温度が保てる。
エンケラドスに生命が在っても不思議ではないと推測。

さて、エンケラドスが誕生したのは何億年前なのか???




 

【土星探査機カッシーニが捉えた土星の画像】

(以下、NASA/JPL/Space Science Institute⇒NHK HP提供。)

土星とリング(2013年10月)


 

土星のリングの一部(2008年11月)


衛星エンケラドス(2008年10月)


 



【用語解説】 Wikipedia・他から転載させて頂きました。

 
□ 無人土星探査機「カッシーニ」 (Cassini-Huygens) 


(Wikipediaより転載させて頂きました。)

カッシーニの名は天文学者ジョヴァンニ・カッシーニに由来し、ホイヘンスの名は天文学者クリスティアーン・ホイヘンスに由来する。
当初はガリレオ同様に小惑星に接近する計画であったが、予算の都合により断念された。
カッシーニには惑星探査機ホイヘンス・プローブ (2.7m, 320kg) が搭載されており、タイタンでカッシーニより切り離されてタイタンに着陸し、大気の組成・風速・気温・気圧等を直接観測した。
カッシーニとホイヘンスよりなる土星探査は、カッシーニ・ホイヘンス・ミッションと呼ばれ、欧米18カ国の科学者約260人が参画している。


1997年10月、NASAと欧州宇宙機関(ESA)によって開発され、タイタンIVBセントール型ロケットによって打上げられた。
2000年01月、小惑星帯を通過し、(2685) マサースキーの点状の写真を撮影。
2004年06月、土星軌道に投入。金星→金星→地球→木星の順にスイングバイを行なって土星軌道に到着している。
2004年08月、土星の衛星2個の発見を公表 (メトネ、パレネ)。
2004年09月、土星の衛星2個 (仮符号 S/2004 S3、S/2004 S4)、環 (仮符号 R/2004 S1) を発見。
2004年10月、土星の衛星2個 (ポリュデウケス、仮名称 S/2004 S6)を発見。
2013年04月、土星の北極にハリケーンのような大気の渦の姿を観測。渦は北極を中心として目だけで約2千キロ、地球の平均的なハリケーンの約20倍。
2013年07月、14億4000万キロ離れた土星上空から地球を撮影。

2014年04月、NASAは、カッシーニの観測によって土星の衛星「エンケラドス」に液体の水の大規模な地下海の証拠が発見されたと報告した。
地下の海の証拠はエンケラドスは「微生物が生息する太陽系で最も可能性の高い場所」の一つであることを示唆している。


 
*


 
□ 土星の第二衛星「エンケラドス」 (「エンケラドゥス」、Saturn II  Enceladus)



(「MASA Planetary Log」サイトより転載させて頂きました。)


1789年、天文学者ウィリアム・ハーシェルによって発見された。1847年、息子のジョン・ハーシェルがギリシア神話のギガース族の一人"エンケラドス" に因んで命名した。

土星から24万km離れたところを33時間ほどで公転している。
直径は平均500km程で、土星の衛星としては6番目に大きい。
反射率が極めて高く、太陽系の中で最も白い星とされる。表面は比較的新しい氷で覆われている。

2005年3月頃 カッシーニが、エンケラドスに極めて微量の大気を発見した。大気の成分は水蒸気と見られている。
しかしエンケラドスは重力が小さく、大気はすぐに宇宙に逃げてしまうため、火山か間欠泉などの大気の安定した供給源があるものとみられる。

南極付近の表面で活発な地質活動をしている証拠と思われるひび割れが見つかり、"Tiger Stripes"と名づけられた。
表面はこのひび割れから噴出する新しい氷によって絶えず塗り替えられて行くと考えられている。
さらにひび割れから噴出しているものが氷の粒子および水蒸気であり、地下に液体の水が存在し貯水池のような役割を果たしている可能性がある。
この地質活動を起こす熱源は不明であるが、内部の放射性物質の崩壊や、潮汐力によるエネルギーなどが考えられている。

カッシーニ探査機の観測結果を分析した米国ジェット推進研究所の発表によると、エンケラドスから噴出した水蒸気や氷の粒子がプラズマになり、
土星の磁場に取り込まれることによって土星磁場の回転速度がわずかに遅くなることが判明した。
つまり電波観測によりこれまで求められていた土星の自転周期は、エンケラドスの影響により実際の土星の自転より長くなってしまうことを意味する。


カッシーニの観測によって---

2008年03月、南極域のホットスポットの温度が摂氏マイナス93度であることと有機物の存在が確認された。
2009年06月、エンケラドスの水蒸気に塩化ナトリウムや炭酸塩が検出されたと発表された。
2014年04月、エンケラドスに液体の水の大規模な地下海の証拠が発見されたと発表された。
地下の海の証拠はエンケラドスは「太陽系で微生物が生息する可能性の最も高い場所」の一つであることを示唆している。

2015年03月、東大や海洋研究開発機構などの国際研究チームは、カッシーニが検出した微粒子の中に、岩石と熱水が反応してできる鉱物の微粒子「ナノシリカ」が含まれていることが確認されたと発表した。
模擬実験を行ったところ、ナノシリカができるためには90℃以上の熱水環境が必要と判明し、現在も活動が続いている可能性が高いことが分かった。
地球の深海底の熱水活動は生命誕生の場の一つと言われ、研究チームは「地球外生命の発見に向けた前進」と捉えている。