■■ NHK-BSプレミアム 「コズミック フロント☆NEXT」


「コズミック フロント☆NEXT」 番組HP


語り: 萩原聖人(#1#3#5)、守本奈実(#3#5)、永作博美(#1#2#4#6)、真下貴(#2#4#6)


声の出演: 81プロデュース(樫井笙人・宗矢樹頼・玄田哲章・植竹香菜・幸田夏穂)


音楽: 寺田志保、歌・Yucca





■ これまでの放送



私のブログ
#1「太陽最後の日」#2「月のミステリー」(2015/04/02)
#3「クレオパトラが残した古代エジプト天文学」(2015/04/16)
#4「ミステリー 地球に最も似た惑星」(2015/04/30)
#5「100年前の大予言」(2015/05/14)





■ 第6回 「太陽系ミステリー ~“幻の惑星”が語る創世記~」


NHK-BSプレミアム

5/21(木)22:00~23:00

【再放送】 5/27(水)23:45~24:45


【概要】


今から200年以上前、ヨーロッパ最南端の天文台があったシチリア島のパレルモで、「太陽系で8番目の惑星」が発見された。
しかし、世間が沸き返ったのも束の間、その天体は余りにも小さく、さらに同じような天体が次々に見つかったことで惑星とは見なされなくなり、
正体がはっきり分からない、いつしかそんな天体があったことすら人々の記憶から消えて行った。

「宇宙(ほし)の街紀行 ~イタリア・シチリア島パレルモ」

 
  
(保管されている観測道具)


ところがあれから2世紀も経った2015年3月、NASA探査機DAWNが遂にこの天体に辿り着き、驚くべき映像とデータを私たちのもとに送り始めている。
そして、この「幻の惑星」たちが、太陽系の初期に起きた大事件を解き明かす、重要な鍵を握っていることも分かって来た。
それは、私たち地球の生命が存在するためにも、欠かせないものだったという。

最新科学で、太陽系の創世記のミステリーに挑む!





【あらすじ】


■ 調査File 1 200年の謎 "幻の惑星"の正体


□ シチリア島パレルモのノルマン宮殿の屋上にパレルモ天文台。
18世紀末から、イタリア神学者・科学者のジュゼッペ・ピブッツィ(1746-1826)が観測を続け、
1801年、おうし座の方角に一つだけ太陽系の天体とは異なる動きをする星を見つけた。
著書「新しい星の観測結果」によれば、惑星としては、水星・金星・(地球)・火星・木星・土星に加え、1781年にイギリスのハーチェルが発見したばかりの7番目の天王星を調べていた。8番目の惑星が見つかった! 他と同様にローマ神話の神様の名前「ケレスCeres」(大地の豊穣の女神)と名付けた。
当時、惑星が存在する場所には規則性があると提唱していたヨハン・ティティウス&ヨハン・ボーデの説「ティティウス・ボーデの法則」に一致するため、(火星と木星の間の新惑星)として認められた。
(太陽--地球の距離)を 1 とすると、(地球--各惑星の距離)は 0.4+0.3X2n 
水星0.4・金星0.7・地球1.0・火星1.6・ケレス星2.8・木星5.2・土星10.0・天王星19.6。


□ ところが、(火星と木星の間の新惑星)として、翌1802年にケレス星以外の「パラスPallas1802」、その後も「ジュノーJuno1804」、「ベスタVesta1807」、その他多数が相次いで見つかり、しかも従来の惑星よりずっと小さいと分かり、科学者たちを戸惑わせることになった。
「小惑星Asteroid」として「惑星Planet」とは区別された。
一方で、1846年に「海王星」、1930年に「冥王星」が発見された。
2006年には、冥王星とともにケレス・パラス・ジュノー・ベスタなどの小惑星をまとめて、「準惑星Dwarf Planet」と分類された。


□ 幻の惑星"ケレス"の正体は? そしてなぜ、火星と木星の間には無数の小惑星が集まっているのか?

2007年、米国NASAが探査機「ドーンDAWN」打ち上げ。太陽系の夜明け、つまり成り立ちを解き明かすのが最終目標。
「ドーン」は日本JAXAの探査機「はやぶさ」と同じくイオンエンジン。
「ドーン」に搭載する「ガンマ線・中性子検出器」は、天体の表面から放出される極僅かな放射線を捉えることによって、どんな物質が存在するか検出できる。
2011年に「ベスタ」、2014年に「ケレス」の探査予定、2014年9月に深刻なトラブル(想定外の量の宇宙放射線が降り注ぎイオンエンジン故障)で大幅に軌道がズレたが、2015年3月に前代未聞のケレス重力利用によって周回軌道に乗れた。
ケレス:
直径952km = 地球の1/10、質量9.47X1017t = 地球の1/6000。但し、小惑星帯の質量の3割を占める最大の小惑星)。
自転周期9.07時間、公転周期4.6年。
 
[ NASA / Jet Propulsion Laboratory (JPL) / California Institute of Technology (Caltech)]提供


□ このような小惑星が幾つも合体したのが地球を始めとした惑星なので、ケレスは、いわば惑星の卵のような存在なのだ。
クレーターが極めて赤く灰色がかっている(隕石の衝突で氷が融けた?)。窪みがベスタより浅い、表面は粘土。
内部構造の推理・・・核に岩石・金属--液体(水?)--マントルに氷--地殻に粘土--僅かに大気。
謎のクレーター内の発光現象あり!! 地下の氷が融けて噴き出ている??


*


■ 調査File 2. 小惑星に刻まれた太陽系の創世記


□ レベッカ・マーティン助教(米国ネバダ大学ラスベガス校)は、なぜ小惑星帯が火星と木星の間に在るのか? という謎解明に挑んでいる。

450億光年離れたおうし座HL星周辺の「原始惑星系円盤」。
今まさしく惑星が形成中と思われる帯で、合体を繰り返しているが、惑星に成り切れず残された小惑星。

スピッツアー宇宙望遠鏡の赤外線により、他の恒星の周囲温度を検知。
「スノーライン」(水蒸気と氷の境界線)の付近に小惑星を観測している。
物質(固体)密度が、恒星から近いと液体は蒸発し岩石のみが残る(地球型惑星Terrestrial Planets)が、或るゾーンからは液体は蒸発せず氷として岩石とともに残(木星型の巨大惑星Giant Planets)。火星は例外??
その最も物質が乏しい(固体密度が小さい)ゾーンに当たるのがスノーライン(小惑星帯Asteroid Belt)。


□ 2014年1月、Nature掲載論文「小惑星の分布から分かる太陽系の進化」。
フランチェスカ・デメオ博士(米国MIT)によれば、地球型は液体が高温に融け蒸発、表面でも活動が多く、創世記の情報が失われているが、小惑星には残されている。
小惑星のタイプを分類。
S型(岩石Stone、太陽に近いゾーンで形成)・・・イトカワ。
C型(炭素Carbon、S型より太陽に遠い)・・・マティルド。
P型、D型、M型、・・・。
ところが分布を調べると、単純ではなかった。
当初は太陽--S型--C型--P型--D型--と分布していたが、混ざり合った、
それは複雑な事件が起きていた証拠でもあると推理。

それに先立ち2011年、ケビン・ウォルシュ博士(米国サウスウエスト研究所)は、「グランドタック・モデルThe Grand Tack」のアイディアをシミュレートした。
太陽系の謎 1 なぜ火星は地球よりもずっと小さいのか??
太陽系の謎 2 なぜ小惑星は異なる型が混ざり合っているのか?? 
別々の謎に見える1と2には、何かの因果関係が潜んでいるのではないか????
奇想天外の大移動アイディアとは-----
木星
残っていた多くのガスの摩擦で公転運動にブレーキ⇒減速した木星は太陽に接近しつつ周囲の物質を吸い込み大型化し、やがて現在の火星軌道付近に接近⇒火星は大きく成れなかった。
木星に次ぐ土星
同じく太陽に接近し、公転周期が木星2: 土星3になった⇒激しい共鳴現象が起きたため共に遠ざかった⇒木星が遠ざかる時に小惑星を掻き混ぜたが、一部は地球に吸収された。
以上、木星が真犯人という説。そしてますます小惑星探査こそ太陽系の進化を解き明かす手掛かりとして重要と理由付けた。


*


■ 調査File 3 地球を変えた小惑星の謎


ドイツ南部のネルトリンゲンには巨大隕石のクレーターが在る。
1500万年前に直径1kmの小惑星が落下、スエバイトSuevite (ダイヤモンドも多数)の豊富な産出。
近くのシュタインハイムには別の小さなクレーターも在る。
ここにも1500万年前のスエバイト。
2つのクレーターは双子のような存在。

国際天文学連合/小惑星センター(米国マサチューセッツ州)では、2つの小惑星がペアとなった二重小惑星が比較的多いこと(地球接近の1/6)を掴んだ。


□ ケビン・ウォルシュ博士によれば、小惑星の多くは歪(いびつ)な形をしている原因は、弱い重力同士のためくっ付いている状態⇒太陽光の当たり方が均等でないため太陽光の圧力で回転してしまう(ヨープ効果)。
火星と木星の間だと太陽光が弱く影響が少ないが、地球軌道に接近するとヨープ効果が強まり回転が速くなる⇒飛び出した一部で小惑星ができる(二重小惑星の形成)。


□ 地球は、度重なる小惑星の衝突(隕石の落下)によって豊かな惑星となった。
地球にこれ程の豊かな水が在るのは奇妙なこと。
誕生した頃は高温で蒸発したが、後からその一部が持ち込まれたと推理。

地球の水はどこから来たのか?
ブリトニー・シュミット助教によれば、それは彗星と水分が残った小惑星。双方はよく似た仲間。
2014年、初めて彗星に着陸した欧州宇宙機構(ESA)の探査機ロゼッタ。
(彗星探査機ロゼッタ)
 

地球の水の起源を確かめるため、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸した。
氷の成分を分析すると、重水素。
ところが地球の重水素の割合と大きく異なっていた。これにより小惑星からの重水素に期待が寄せられる。

NASAの探査機ドーンが、小惑星ベスタから搭載する「ガンマ線・中性子検出器GRaND」のデータを送って来た。
驚いたことに岩石ばかりだと思っていたベスタには、含水(水素と酸素を含有する)鉱物が多いことが分かった。蒸発前に化学反応で取り込まれた。

隕石研究の第一人者・中村智樹教授(東北大学大学院)によれば、はやぶさが持ち帰ったイトカワの隕石欠片から含水鉱物を分析(700℃に加熱実験すると1割に当たる水が放出された)。



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【関連記事】


■ 小さな天体の大きなミステリー: NHK解説委員: 土屋敏之氏


ここのところ、「小惑星探査機はやぶさ2 が打ち上げられた」とか、「彗星にロゼッタが着陸した」とか、「冥王星にも何か行っててもうすぐ着きそうだ」とか、なんだか小さなというか正直マイナーな天体(失礼!)のニュースが多くない?
  
実は今、こうした「太陽系内の小さな天体」が熱い注目を集めている。
それは、地球をはじめとする惑星や太陽系の現在の姿が、どんな風にできて来たのか?を知るために、こうした小さな天体が重要な証拠を持っていることが分かって来た。
小さな天体を調べれば、我々のルーツが分かる(かもしれない)からである。

なぜ? これは、地球を例に挙げると、火山活動やマントル対流といった地学的な変化が常に起きているうえに内部は熱く融けた状態であり、表層でも大気や水の大規模な循環が続いて風化作用も働いている、さらには人間をはじめ生物の活動も盛ん。

一方で、46億年前に地球が誕生した時のままの環境・物証は地球上にはほとんど残っていない。つまり、地球の過去を知りたいのに、地球自体には史料が無い。


これに対して、小さな天体は重力によってギュッと圧縮されて内部が熱くなることが少ない。
特に太陽から離れた(低温の)場所にある小天体は、天然の冷凍庫のような状態にあるので、太古の情報がそのまま残っている。
そこで、「惑星のでき方」とか、「地球の水の起源」とか、太陽系の初期の謎を解くために、盛んに探査機が打ち上げられるようになったのである。


(太陽系内の小さな天体が、いま、惑星や太陽系そのものの成り立ちの鍵を握るとして注目されている! )


こうした小さな天体、英語で言うとSSSB(Small Solar System body)とか、Minor Planetといった言葉が使われている。
SSSBの方は「太陽系小天体」と訳され、彗星と小惑星は含むが惑星・準惑星・衛星は含まない。Minor Planetの方は、そのまんま「マイナー惑星」。

後者の方が「小天体」という概念に近い気もするが、これを広義の「小惑星」とも言う。MinorPlanetには準惑星も含まれる。
冥王星は「準惑星」なので、SSSBの方には含まれないがMinor Planetの方には含まれる。
今回の「小さな天体」は、Minor Planetの方も含めて扱っている。


さて、マイナーな天体たちの元締めとも言える組織を紹介する。その名もずばり、
IAU (国際天文学連合)・Minor Planet Center(マイナープラネット・センター)
米国マサチューセッツ州ボストン市郊外の、目立たないビルの中に在る。
ここは世界でこれまでに観測された小天体全てのデータを管理している組織。

世界中の天文台やアマチュア愛好家が小惑星を新たに発見すると、こちらに情報が寄せられ、新発見であることが確認されると登録され、そのデータは世界中の専門家が利用できるように公開される。
また、小惑星だけでなく彗星、そして準惑星についても扱っていて、これら広義の小惑星(小天体)にMinor Planet Number(小惑星番号、あるいは小天体番号)を割り付けている。
例えばナンバー0001は、1801年にジュゼッペ・ピアッツィが発見したCeres。センターのコンピューターに保存されている最も古いCeresの軌道データは1802年1月にパリの天文台で観測されたもの。
1801年の最初のデータはなぜ無いの?と尋ねると、軌道データとしては少し不正確で登録されていないという説明だった。


さて、このマイナプラネット・ナンバー134340番の天体って何?
マイナープラネット・センターのコンピューター画面を見せてもらうと、そこにさりげなく「Pluto」の文字が・・・正解は「冥王星」。
2006年に冥王星が惑星から準惑星に「降格」された後、Minor Planet Centerがデータを扱うためにナンバーがふられた。
かつての第9惑星が、10万番台の小天体扱いに・・・なんだか可哀想な気もする。
でも、まもなく探査機ニューホライズンズが到着して、あっ!と驚く情報を届けてくれれば、きっとまた世界中の人たちが冥王星に注目してくれるはず。


 
(マイナープラネット・センターのコンピューターに入っている冥王星のデータ / マイナープラネット・ナンバー13430が冥王星Pluto)

つけ加えると、「準惑星」の中で最初に発見されたのも、実は冥王星ではなく、Ceres。
冥王星発見は20世紀になってからのこと。Ceresの発見は19世紀最初の年。冥王星どころか海王星より早く見つかっていたのだ。


このマイナープラネット・センター、元々はどこに在った?
実はこうした役割を担う国際的な組織は、第二次世界大戦前はドイツのベルリンに在った。
戦後、これをアメリカが担うことになり、1947年にオハイオ州シンシナチにマイナープラネット・センターが作られた。' 70年代に資金的な行き詰まりなどから、現在のマサチューセッツ州に移った。この移転の時に、古い紙資料の多くが失われてしまったが、今も70年代以降の観測報告書が大量に保存されている。現在の報告は電子メールで一瞬だが、以前は郵便やテレックスなどで寄せられていた。
中には、池谷・関彗星で有名な関勉さんの小惑星発見の報告などもあり、大切に保管されている。
IAU(国際天文学連合)・Minor Planet Center(マイナープラネット・センター)

米国マサチューセッツ州ボストン市郊外の、目立たないビルの中に在る。ここは世界でこれまでに観測された小天体全てのデータを管理している組織。
世界中の天文台やアマチュア愛好家が小惑星を新たに発見すると、こちらに情報が寄せられ、新発見であることが確認されると登録され、そのデータは世界中の専門家が利用できるように公開される。
また、小惑星だけでなく彗星、そして準惑星についても扱っていて、これら広義の小惑星(小天体)にMinor Planet Number(小惑星番号、あるいは小天体番号)を割り付けている。
例えばナンバー0001は、1801年にジュゼッペ・ピアッツィが発見したCeres。センターのコンピューターに保存されている最も古いCeresの軌道データは1802年1月にパリの天文台で観測されたもの。
1801年の最初のデータはなぜ無いの?と尋ねると、軌道データとしては少し不正確で登録されていないという説明だった。


さて、このマイナプラネット・ナンバー134340番の天体って何?
マイナープラネット・センターのコンピューター画面を見せてもらうと、そこにさりげなく「Pluto」の文字が・・・正解は「冥王星」。
2006年に冥王星が惑星から準惑星に「降格」された後、Minor Planet Centerがデータを扱うためにナンバーがふられた。
かつての第9惑星が、10万番台の小天体扱いに・・・なんだか可哀想な気もする。
でも、まもなく探査機ニューホライズンズが到着して、あっ!と驚く情報を届けてくれれば、きっとまた世界中の人たちが冥王星に注目してくれるはず。

つけ加えると、「準惑星」の中で最初に発見されたのも、実は冥王星ではなく、Ceres。
冥王星発見は20世紀になってからのこと。Ceresの発見は19世紀最初の年。冥王星どころか海王星より早く見つかっていたのだ。


このマイナープラネット・センター、元々はどこに在った?
実はこうした役割を担う国際的な組織は、第二次世界大戦前はドイツのベルリンに在った。
戦後、これをアメリカが担うことになり、1947年にオハイオ州シンシナチにマイナープラネット・センターが作られた。' 70年代に資金的な行き詰まりなどから、現在のマサチューセッツ州に移った。